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トマス・ハーディ2
0001やれやれ、僕は名を失った
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2010/09/14(火) 01:01:34
『帰郷』が気に入っている。入手困難な千城版を愛読している。
今、『遥か群衆を離れて』を角川文庫で読んでいるが、
『帰郷』や『日蔭者ジュード』よりやや落ちる。
0293吾輩は名無しである
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2016/05/04(水) 00:14:39.95
>>292
じゃあ、このスレに来なけりゃいいだろ
0295吾輩は名無しである
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2016/05/04(水) 11:11:04.94
「む-6-○」は村上柴田翻訳堂の「む」
村上春樹は「む-5-○」
である模様
0297吾輩は名無しである
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2016/05/04(水) 12:40:17.52
ハーディの著作というより「村上柴田翻訳堂」という企画モノの作品という扱いにされちゃったんだろうね
村上柴田翻訳堂のはハーディ以外もみんな「む-6-○」だし
まぁ括りはさておき、復刊されただけ有り難いと思うしか
0298吾輩は名無しである
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2016/05/04(水) 14:36:24.90
新潮「ありがたく思えよ」
0299吾輩は名無しである
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2016/05/04(水) 23:43:14.71
身障者「村上と並べておけばバカなハルキストが買ってくれるにちがいない…」
0300吾輩は名無しである
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2016/05/05(木) 12:09:10.66
ようやく300
0301吾輩は名無しである
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2016/05/06(金) 17:24:26.43
身障者w
0302吾輩は名無しである
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2016/07/24(日) 17:58:04.22
「キャスターブリッジの市長」
最後泣いた。
0303吾輩は名無しである
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2016/07/24(日) 19:13:49.55
あれ困るよな
夜の果ての旅は「い」だ
でかい書店でもなかなか見つからなかったわけだ
0304吾輩は名無しである
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2016/07/24(日) 22:27:28.98
え、翻訳家で探さなければいけないのか
0305吾輩は名無しである
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2017/03/01(水) 22:59:19.37ID:HzTlwzVc
ハーディ全集「遙か群衆を離れて」いまだ刊行されない。翻訳が難航しているのか。
この日本語訳はこれまで角川文庫と千城から出たのみだが、どちらの本も滅多に見つからない。
なかなか日本の読者には読まれない可哀そうな小説だ。最近イギリスで再映画化された。
0306吾輩は名無しである
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2017/03/01(水) 23:47:00.88ID:HzTlwzVc
天が裂けたとはこのことだろう。その稲妻のひらめきが、あまりにも珍しいものだったので、
二人は、なんともいえない危険性もしばらくは忘れてしまって、ただその壮麗さにみとれる
ばかりだった。ゲイブリエルは、てっきり目がつぶれたのだと思った。バスシーバのあたたかい腕が、
彼の手に握られたままふるえているのが、ひしひしと感ぜられる。それは今まで経験したこともないような、
胸のわくわくする感激だった。それにしても、恋も、命も、人間のすべてのいとなみも、怒り狂う大宇宙の
すぐそばでみると、なんてちっぽけな、つまらないものなのだろう。

「遙か群衆を離れて」
0307吾輩は名無しである
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2017/03/09(木) 15:36:05.57ID:2N3D5lBh
今年は『キャスターブリッジの市長』(千城出版)を読む。
0308吾輩は名無しである
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2017/03/10(金) 10:58:18.03ID:1k21m5Br
『遙か群衆を離れて』角川文庫150円でGET
0309吾輩は名無しである
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2017/04/01(土) 07:47:56.36ID:t2AyqtCG
テス読み終わった

たいした量読んでいるわけじゃないけど、物語を書くということに関して、ナンバーワンだと思うんだよね
0310吾輩は名無しである
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2017/04/01(土) 08:44:13.54ID:NfJo74fj
テス好きだよ
ピュアで愚かでいじらしくてたまらない
最後のストーンヘンジの夜明けとか舞台設定も上手いと思う
0311吾輩は名無しである
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2017/04/01(土) 14:00:08.13ID:0TecaoPw
テスなんて高校時代以来だな
0315吾輩は名無しである
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2017/04/03(月) 16:41:19.53ID:3GXdRVNF
まず自分が語れや
0316吾輩は名無しである
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2017/04/05(水) 20:10:26.21ID:CHwGHbkv
ある日
0318吾輩は名無しである
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2017/04/05(水) 21:58:32.66ID:PTGxJeLy
くまさんに
0319吾輩は名無しである
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2017/04/05(水) 23:43:00.77ID:E82J/MIP
『森に住む人たち』という小説があるんだな。読んでる奴いるか? いないよなw
0320吾輩は名無しである
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2017/05/01(月) 13:56:18.89ID:S+5W5x4a
Thomas Hardy, OM (2 June 1840 - 11 January 1928)
Novels

The Poor Man and the Lady (1867)

Desperate Remedies (1871) 『窮余の策』
Under the Greenwood Tree (1872) 『緑の木蔭―和蘭派田園画』『緑樹の陰で』
A Pair of Blue Eyes (1873) 『青い眼』
Far from the Madding Crowd (1874) 『遥か群衆を離れて』『狂おしき群をはなれて』
The Hand of Ethelberta (1876) 『エセルバータの手』
The Return of the Native (1878) 『帰郷』

The Trumpet-Major (1880) 『ラッパ隊長』
A Laodicean (1881)
Two on a Tower (1882) 『塔上の二人』
The Mayor of Casterbridge (1886) 『カスターブリッジの市長』『キャスタブリッジの町長』
The Woodlanders (1887) 『森に住む人たち』

Tess of the d'Urbervilles (1891/92) 『テス』『ダーバヴィル家のテス』
Jude the Obscure (1895) 『日陰者ジュード』
The Well-Beloved (1897) 『恋魂』
0321吾輩は名無しである
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2017/05/03(水) 13:53:37.88ID:8IELpEQz
いま刊行中のトマス・ハーディ全集(大阪教育図書)では、長編小説のタイトルは以下のようになっている。

@窮余の策 A緑樹の陰で B青い眼 Cはるか群衆を離れて Dエセルバータの手 E帰郷
Fラッパ隊長 G熱のない人 H塔上の二人 Iキャスタブリッジの町長 J森林地の人々 
Kダーバヴィル家のテス L日陰者ジュード M恋の霊
0322吾輩は名無しである
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2017/05/07(日) 11:34:43.73ID:1wSo7CTx
>>321
14作すべて読んだ人はどれだけいるだろう。
自分は11作所有、読んだのは4作のみ。
0323307
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2017/05/17(水) 23:41:42.77ID:7g1M6oyO
いよいよ『キャスターブリッジの市長』を読み始めた。
やはりハーディの堅牢な文体を読むと、充実した気分になる。
0324吾輩は名無しである
垢版 |
2017/05/18(木) 09:44:08.45ID:oxEZaKvb
ハーディの5大傑作で、これまで文庫になっているのは、『遙か群衆を離れて』角川文庫、
『帰郷』新潮文庫、『ダーバヴィル家のテス』岩波文庫、『日陰者ジュード』岩波文庫・中公文庫で、
『キャスターブリッジの市長』だけ文庫化されていない。
0325吾輩は名無しである
垢版 |
2017/05/18(木) 11:50:05.40ID:V6czSwO2
「テス」はちくま文庫にもなったね
0327吾輩は名無しである
垢版 |
2017/05/25(木) 14:16:58.99ID:p7pf3/0l
『キャスターブリッジの市長』を藤井繁訳で読んでいるが、じつに読みやすい。
ハーディは叙情的な風景描写が傑出しているが、方言が多く、ごつごつしていて、
必ずしも読みやすくはない作家という認識だったが、こういう翻訳もあるんだな。
我が子と思っていたエリザベスの出生の秘密を主人公が知るくだりなどうまい。
0328吾輩は名無しである
垢版 |
2017/05/29(月) 19:34:52.57ID:cMnABKNn
>>324
おいおい、いい加減なこと書くなよ。
『カスターブリッヂの市長』宮島新三郎訳 前篇昭和9年8月 後篇昭和10年8月
世界名作文庫31,32のち春陽堂文庫1011,1012
『カスターブリッジの市長』上田和夫訳 昭和46年12月 潮文庫59
と2度も文庫化されている。
0330吾輩は名無しである
垢版 |
2017/05/29(月) 21:27:41.11ID:UUR80a+6
俺、大学時代、上田和夫教授の授業を受けていた
卒論も見てもらった
俺の中では結構誇りになっている
俺自身は勉強のできない馬鹿だったけどね
0331吾輩は名無しである
垢版 |
2017/05/30(火) 09:23:39.68ID:bxeVRlLi
『キャスターブリッジの市長』読了。
入り組んだダイナミックな展開の物語で、重厚な感銘を受けた。
ただ、ルセッタとヘンチャードがあっけなく死んでしまうのがやや疑問。
人間はあんなに簡単に死ぬものではなかろう。
0332吾輩は名無しである
垢版 |
2017/06/06(火) 10:33:50.62ID:N6z+Zveq
いい作家だと思う。
0333吾輩は名無しである
垢版 |
2017/06/06(火) 20:52:13.62ID:y0vEQ6LJ
この人に不幸が訪れそうだけど
幸せになってくれないかな
あー、やっぱりダメだったかー
って感じでいつも読んでる
面白いよね、ハーディ
0334吾輩は名無しである
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2017/06/07(水) 16:15:19.02ID:FlsFQa2h
ハーディはなぜ悲劇ばかり書いたのか?
0335吾輩は名無しである
垢版 |
2017/06/08(木) 12:03:38.03ID:SNS8PYJR
根が暗いからでしょ
0336吾輩は名無しである
垢版 |
2017/06/12(月) 09:46:50.48ID:sKvtPIIR
狂乱の群れから離れて
帰郷
キャスターブリッジの市長
森に住む人たち
ダーバヴィル家のテス
日陰者ジュード

この6作くらいは常時文庫本で売っていてほしい
0337吾輩は名無しである
垢版 |
2017/06/25(日) 01:22:11.61ID:oKbqzsMx
どれを読もうかな
0338吾輩は名無しである
垢版 |
2017/06/28(水) 00:59:56.36ID:8NAs9Uwb
「遥か群衆を離れて」の方が明らかに原題のニュアンスに即しているぞ。
0342吾輩は名無しである
垢版 |
2017/06/30(金) 18:16:12.09ID:lB/D3ll8
ハーディか忘れてた
読んでみるか
0343吾輩は名無しである
垢版 |
2017/07/01(土) 10:49:04.04ID:zx1azpzP
>>342
何を読むの? 『テス』?
0344吾輩は名無しである
垢版 |
2017/07/01(土) 12:00:18.43ID:KD6XgADx
>>343
帰郷
0345吾輩は名無しである
垢版 |
2017/07/01(土) 16:10:17.27ID:7K/tgPDD
>>343キャスターブリッジの市長かな
ハーディは短編も長編も揃えてある
でもテスと新潮の短編集しか読んでないんだ
0346吾輩は名無しである
垢版 |
2017/07/02(日) 00:22:04.39ID:5bOO0HS4
自分は次は何を読もうかな。
『恋魂』にしようか。『森に住む人たち』にしようか。
0347吾輩は名無しである
垢版 |
2017/08/03(木) 13:18:05.60ID:uwpXa6bg
狂乱の群れから離れて
0348吾輩は名無しである
垢版 |
2017/08/04(金) 06:49:25.70ID:RlQpxP1z
狂乱の貴公子リック・フレアーVS狂犬ディック・マードック
0349吾輩は名無しである
垢版 |
2017/08/09(水) 15:31:46.04ID:eYItINu3
「狂乱の群れから離れて」
小説も映画(ジュリー・クリスティ主演)もとても好き
でも知っている人がぜんぜんいない
0350吾輩は名無しである
垢版 |
2017/08/10(木) 23:48:24.71ID:eJb8NIDt
THOMAS HARDY FAR FROM THE MADDING CROWD

遙かに狂乱の群を離れて  宮島新三郎訳 春陽堂 1933年

遙か群衆を離れて  高畠文夫訳 角川書店 1969年

狂おしき群をはなれて  滝山季乃・橘智子訳 千城 1987年

これまで日本で出版された翻訳は以上3点だが、ネットでも滅多に見つからない
たとえ見つかっても6千円くらいするから、手が出ない
ハーディ全集から新訳が出ても、定価が高いから状況は変わらない
0352吾輩は名無しである
垢版 |
2017/08/11(金) 18:51:46.82ID:JUwt7fkJ
>>350
面白そうな小説ですね
0353吾輩は名無しである
垢版 |
2017/08/11(金) 19:03:49.21ID:q2qnap/2
>>352
角川版と千城版を持っていますが、面白いですよ
農場を相続した若い女性が目の前に現れる3人の男性から結婚相手を選ぶ物語
ハーレクイン・ロマンスの嚆矢といっていいかもしれません
0354吾輩は名無しである
垢版 |
2017/08/11(金) 23:53:47.28ID:umlNcsTE
怒り狂う群衆のくだらない争いから遠くはなれて
酔わされることのない望みは惑うこともなく
隔離された冷ややかな谷間に生きているように
静謐な彼らの生きざまを保っていた
Far from the madding crowd's ignoble strife,
Their sober wishes never learned to stray;
Along the cool sequestered vale of life
They kept the noiseless tenor of their way.

少し読んでみて、文体や言い回しが気に入ったのでFar from the madding crowdに取り組んでみることにしました!
詳しい人たち色々教えてください!
0355354
垢版 |
2017/08/12(土) 21:36:28.50ID:OtQNNryi
シェイクスピアの引用(マクベス)などを見つける
これはまるで、メルヴィルのエイハブ船長ではないか!という(どうでもいい)箇所を見つける
書き出しも妙に映画的な描写で、アナクロニスムを楽しむ読書になりそうだ

タイトルといい、読者におもねった部分もあるようだけれど
男主人公の読書の偏りも、興味深い
0356吾輩は名無しである
垢版 |
2017/08/12(土) 22:50:30.24ID:1TfZ90hn
ギリシャ悲劇や聖書からの引用も多いのがハーディ文学の特徴
文学から文学を織り紡ぐ正統派の創作法で、ナボコフも得意だね
0357354
垢版 |
2017/08/15(火) 01:02:56.78ID:hV272Wi/
順調に読み続けている
主人公はバトシェバ(ソロモン王の母で、ダビデによって夫を殺された人物)、彼女を支える男主人公はガブリエル(守護天使)
敵役はTroy(男性にはそこそこ誠実だけれど、女性に対してはクレタ人(Cretan)のように嘘をつく)
脇役中の脇役にカインという人物がいて、その名前の由来は文盲の母親がアベルに殺されたほうだと勘違いしたからという
バトシェバはその名前の由来は両親が死んでいるために知ることはない、と書かれる
19世紀の小説には変な名前の登場人物がたくさんいた、という一例だろう

“P-p-p-p-p-pl-pl-pl-pl-l-l-l-l-ease, ma’am, p-p-p-p-pl-pl-pl-pl-please, ma’am-please’m-please’m ??” “‘A’s a stammering man, mem,”
“Andrew Randle, here’s yours ? finish thanking me in a day or two.
会話の言い回しが面白いところもしばしば
Of love as a spectacle Bathsheba had a fair knowledge; but of love subjectively she knew nothing.
見世物としての愛についてはバトシェバはよく知っていた、けれど参加者としての愛についてはまったく知らなかった
実体験としての愛を少しずつ知っていく
地に足の着いた、身分もふさわしい求愛を「わたしはtameするような男が欲しい、あなたには無理でしょうけど」と断る
無骨な牧場主に戯れの匿名のバレンタインカードを送り、名前を突き止められて、外面のうちにこもる暗い情愛を知る
表面的で軽やかで技巧的な、求愛に接し、キスを知る
自分の中の、内面世界を嫉妬の感情とともに自覚する
0359吾輩は名無しである
垢版 |
2017/08/16(水) 16:37:20.49ID:s4CgI0bf
今週中には読み終わりそうです
ガブリエル・オークという平凡な男は結構面白い

pastral tragedyという章タイトルが示すとおり、小説の最初の数章では、借金をしてうまく行きかけている牧場をつぶしてしまう
悲劇においても、彼はより強くなり、愛他的な態度を貫く
また、後の章とはまったく逆なことに、小屋を閉め切って寝込んでしまい、窒息しかけるところをバトシェバに助けられる
バトシェバの中の、虚栄心のうわべにそれを恥じる純朴な心があることを知る重要な場面で、富を得て虚栄心が肥大したかに見えても折に触れて実際的な地に足のついた能力を発揮してみせる
バトシェバは「新しい女主人mistress」でありながら自らの足で見回りをし、災害を防ぐ実際的な能力を繰り返し見せることになる
ガブリエルに見守られるだけの無能な主人ではない(しかし偏在する見守る目は、常にある)

ガブリエルはsound(健全な)、地に足の着いたと同時に星に興味を持つ(地面から天空に描写が移り変わる場面は非常によい)田園の男ではあるが、理想化されているわけではない
彼は「熱のない人」でもある・・・(登場の最初から、soundだけれど、の後にやたら見慣れない表現で辞書で調べた)
どうやらハーディの小説にはこの「熱のない人」という小説があるようで、次にはこの小説を読むことになりそう
lukewarmnessという単語、生ぬるさはwrongheadeadnessよりも悪いのだ!という激情から距離を置く人々、19世紀後半のイギリスにおける「熱のない人」たちはどういう人たちだったのか
そういう目で見ると、この小説にも重要な場面でそのような描写が繰り返されている
この点は、「熱のない人」を読んでからもう少し掘り下げて読んでみたい
0360吾輩は名無しである
垢版 |
2017/08/16(水) 23:26:58.75ID:8onO1RvZ
>>359
ヒロインの名は、角川版ではバスシーバ、千城版ではバスシバと表記している
0361吾輩は名無しである
垢版 |
2017/08/17(木) 07:50:57.42ID:TjCvC8ki
>>360
Bathshebaの英語圏の読み方ですね
According to the Hebrew Bible, "Bat Sheva," more commonly known by the anglicized name Bathsheba (/baθ??i?b?/ or /?baθ??b?/)
カイン・ボールという名前も英語読みではケインになっています
たとえばシェリーの解き放たれたプロメテウスとするか、プロメシュースとするか
バイロンの「カイン」をケインとするか、という問題です
19世紀のイギリスは、このように旧約聖書やギリシア神話などから名前を持ってくる傾向がありました
バトシェバという「名前の由来がよくわからない」、意味ありげな名前を強調するためにそう記載しました
実際に発音聞いてみると、映画版でもバットシェバと発音しています(これもわかりやすくするためだと思います)
細かいこだわりですみません
0362吾輩は名無しである
垢版 |
2017/08/17(木) 12:10:10.71ID:pbdNuWcu
ハーディ14長編で唯一持っていないのが『熱のない人』
そのうち手に入れよう
0363吾輩は名無しである
垢版 |
2017/08/20(日) 07:22:40.77ID:8o2ycah8
「Far from the madding clouds」をほぼ読了
脇役だと思っていた従業員たちがとても脇役とはいえず、当初はかなり素通りしていた彼らの酔っ払っての会話がまさに「熱のない人」についての執拗な繰り返しであるという点から読み直している
“And there’s two religions going on in the nation now ? High Church and High Chapel. I’ll play fai; so I went to High Church in the morning, and High Chapel in the afternoon.”
高教会は良いとして、ハイ・チャペルとは何なのか?
最後のやたら印象に残るキーツの引用、バラの花が再び蕾に戻るように結婚式が行われる、その意味
酔っ払った従業員たちの会話は、それぞれがHigh Church、High Chapel、そしてどちらにも通う人、日曜日に通わないことをざんげする人、明確に書き分けられている
「熱のない人」ガブリエルはニケイア信条の説教をあくびをかみ殺し、今日の晩御飯の内容について考えるような人だ
he went to church, but yawned privately by the time the congregation reached the Nicene creed, and thought of what there would be for dinner when he meant to be listening to the sermon.

一瞬だけ出てくるThirdly Parson、牧師サードリーの発言も、そう読み直すと非常に含蓄がある
0364吾輩は名無しである
垢版 |
2017/08/20(日) 07:28:28.71ID:8o2ycah8
「熱のない人(ラオデキアの人)」も平行して読み始めた
読み始めてすぐに、22章のThe Great Barnのすばらしい描写につながる場面に出くわす
far nobler in design, because more wealthy in material, than nine-tenths of those in our modern churches.
「現代の」教会建築よりもはるかに古の建築家と現代の観察者の魂が一致している
この現代の建築とはHigh Churchのことであり、儀式典礼を厳かにし、洗礼の儀式も大仰なものとする流れにそったものだった
一方でHigh Chapel、俗人が説教し、どんな小さなことからでもうまく説教を作り上げてしまい、灰色と茶色を好む(酔っ払いたちの会話から)
325年のニケイア信条について説教するのは、「聖書の言葉しかしゃべらない」、High Churchのほうなのだろう
at High Church they pray singing, and worship all the colours of the rainbow;
and at High Chapel they pray preaching, and worship drab and whitewash only.
「非国教徒はやることが徹底していて、雨が降っても槍が降っても礼拝に行く。」
そして、どうやらバトシェバの方はHigh Chapelの信徒であるようだ
(ボールドウッドとトロイが少しあいまいで、これは読み直さなくてはならない)

ファニーの結婚式の章タイトルはAll Saints and All Souls(万聖と万霊)だが、そもそもなぜ紛らわしくSpiredな教会が立てられているのか
熱のない人ガブリエルの読書はバニヤンの「天路歴程」と「失楽園」を含む
ハーディが小説家の前に詩人であり、詩人の前に建築家であったことがこの二作には非常によく表れていると思う
象徴的な描写や音楽的な描写、詩的な描写や引用、また名前に秘められたほのめかしなど、書くべきことは多いけれど非常によい読書だった
0365吾輩は名無しである
垢版 |
2017/08/24(木) 02:54:04.07ID:NXlDXUye
ハーディ自身は、ラオデキアの人だったのだろう
しかし、「熱のない人」「微温のひと」「生ぬるい人」どう翻訳してもこの言葉の願意は逃げていく
まず第一にこの言葉は「ヨハネの黙示録」を引用した、非カトリック、非国教会への罵倒である

幼児洗礼は無効である、アナバプテスト(再洗礼派)にとっては成人洗礼を拒否する信徒は生ぬるい人ではない
しかし、幼児洗礼は有効である、と教えられ育ってきた人間が、土地になじむために成人洗礼を拒否したとき、それは生ぬるい人と呼ばれる
自分の信仰をかたくなに守る人間が「熱のない人」と呼ばれるのは皮肉な印象を受ける
むしろ、19世紀のイギリス宗教改革、ピューリタンは禁酒・禁欲運動に走り、国教会は典礼儀式に走るその熱情から離れている人である
ガブリエル・オークは聖餐台と酔っ払いの間にいる人であると表現されていた
カトリックの化体に反抗したはずが、聖餐台が復活している国教会とピューリタンが禁止する酒の快楽の間
登場はまるで国教徒が洗礼を拒んだ、という信念の人のようでありながら、実のところなぜ洗礼派教会で洗礼を受けようとしたのか?
Far From Madding Crowdsでは群集はおおらかに主要登場人物を取り囲み、共同体を形成しており、少なくとも好意的であった
A Laodiceanでは、ロンドンというウェセックスの外部が導入され、共同体に入り込んだ異物は束縛を受ける
血筋も、建物も、宗教も、接ぎ木をされており、その違和感が去ることはない
接ぎ木が成功?した体裁のFar From Madding Crowdsとは異なるが、オウクとバトシェバはハッピーエンドでないという意見は根強いようでもある
0366吾輩は名無しである
垢版 |
2017/08/24(木) 11:22:21.63ID:LidwTmTb
バスシーバとオークの結婚生活がどうなるかは確かに予断を許さない
バスシーバは主人、オークは使用人だったわけで、オークは気のいい働き者だが、
バスシーバの態度があまりに尊大であれば、オークはキレてしまうだろう
0367吾輩は名無しである
垢版 |
2017/08/25(金) 18:57:02.49ID:ju3JtQQS
バスシーバという名前は、19世紀イギリスにおいてはダビデが湯浴みをのぞき見て、兵士を戦争に赴かせて妻とするという挿話を喚起したことは間違いない
ヴァージニア・ウルフの父親が、この小説を12回に分けて連載小説としたこと、作者の名前を匿名としたことは読解に面白い光を当てる
第一回の小説では、バスシーバの名前はじらされ続けた末に(私の名前を当てて御覧なさい、変な感じで好きではないのです)明かされる
この第一回ではオウクは二度にわたってバスシーバを覗き見る
彼女が手鏡で自分の顔を眺めているさま、馬の上で「女性がしないような体勢をとること」、深夜におばとの会話を盗み聞くところ
そもそもダビデは幼少の頃は羊飼いだった
ところが連載第一回が終わるときには、肉欲にまみれたオウクはすでに運命的な挫折を味わい、tenperanceの人として脱皮することになる
トマス・グレイの田園詩をタイトルにして、羊飼いと覗き見というヴィクトリア朝の聖書になじんだ引喩で婦人方をひきつけて、初回のラストでひっくり返す
この山場は連載小説という体裁から毎回周到に作られているという発見は楽しい
ここではバスシーバのイメージはダビデの不道徳さを暗示するが、一方で彼女はダビデの息子たちを調停しようとし、ソロモンを生んだ賢母というイメージもある
0368吾輩は名無しである
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2017/08/25(金) 18:58:37.50ID:ju3JtQQS
ハーディの青年時代にはアメリカで南北戦争があり、これはCivil Warと呼ばれるが、ハーディはイギリスのCivil War、日本で言う清教徒革命を書き続けた作家だ
ただし、彼は因果を書く作家ではなく、結果を書く作家であり、清教徒革命の結果を、異物が入り込んだ田園のそのどうしようもない結果を書いている
アメリカの当時の大統領はエイブラハム・リンカーンであり、その父方の祖母の名前はバスシーバという
リンカーン一族は、ハーディが対象にし続けた「パティキュラーバプティスト」であり、イギリス由来の追放されたピューリタンでもある
ウェセックス地方はロンドンから遠いゆえに、バプティストの砦となり、産業革命でロンドンから近くなって深入りを避ける「熱のない人」が生まれる
生まれにおいての洗礼を必須とする出自の非対称性を揺らがす、熱情から離れた平等主義で、リンカーンもまた超平等主義という熱情から離れたラオデキアの人
リンカーンとハーディが同一平面で浮かび上がる読書体験は貴重なもの
0369吾輩は名無しである
垢版 |
2017/08/25(金) 19:00:33.23ID:ju3JtQQS
連載小説として捉えると、一度バトシェバのつがいとしての情熱を去勢させられたオウクの変わりにダビデの役割を果たす挿話が山場として次々に登場する
ボウルドウッドやトロイはまさにバトシェバのエピソードを反復・ほのめかしする者として現れる
トロイの出現する章は、雑誌に掲載された一回だけをまとめて読むと異常に濃密な、異質なテキストになっている
ハーディのほとんど全ての長編小説は、19世紀イギリスの月に一度連載小説が会員に配達されるという特殊な制度において発表されている
この特殊な制度は、さらにその後三巻本として発売されるというこれまた特殊な制度に引き継がれる
「悲惨な二巻」という言葉があるように、作者が読者の関心をひきつけようとする山場は明確に設定されているのがこの時代の小説
そのような観点から、ハーディの有名な小説を読み直すこともまた愉しい
0370吾輩は名無しである
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2017/08/27(日) 01:42:26.99ID:NQZDFtL5
A Lodicean全六部のうち第三部まで読み終えた
ポーラという主人公は例を見ないくらい複雑な人物造形がなされている
ただし、それは他人から見てのことで、「女とは・・・」「金持ちとは・・・」「ピューリタンとは・・・」という名指され方に迎合しないということでもある
オウクと違って、「名づけの圧力」から少し離れて超然としていられる特権は、ポーラにはない
オウクは熱情を外から眺めていればいいが、ポーラは男主人公たちの熱情をかわし続けなくてはならない
My not owning all may not have the dreadful meaning you think, and therefore it may not be really such a grievous thing.
There are genuine reasons for women’s conduct in these matters as well as for men’s, though it is sometimes supposed to be regulated entirely by caprice.
この言葉は、女性のすることがcapriceであることもあるが、男性のようにしっかりとした理由があることもある、と主張する
ポーラを「熱のない人」と説教する牧師、「中世の城にギリシアという異教はそぐわない」という「世論」、キスを要求する求愛者、・・・
彼らはオウクのように、見ることをしない、むしろ見るのは陰謀をめぐらす男である
言葉とは男性のもの、女性の心を表す言葉は存在しない、と漏らしたBathsivaをさらに強調するポーラは、何重にも名指されるべき属性を負わされている
Bathsivaの女中Liddyが貴族の末裔に生まれ変わったような人のよいスタンシー嬢のポーラ評は男たちの評価をあっさりと振り払うだけの強さがある
‘Is Miss Power a severe pietist, or precisian; or is she a compromising lady?’ he asked abruptly.
‘She is severe and uncompromising ? if you mean in her judgments on morals,’ said Charlotte, not quite hearing. The remark was peculiarly apposite,
属性の名づけによって理解しようとする兄を一蹴するこの場面はすばらしい
「熱のない人」でもなく、「静寂主義者」でも「典礼主義者でもなく」、道徳的な判断においては、妥協をしない人
まさに兄が聞きたいのは「道徳的な判断において」であり、その限りにしか答えず、しかも適切な評価を下す
0371吾輩は名無しである
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2017/08/28(月) 03:10:18.31ID:Q0OVEfuo
外面において自由奔放な異物たるポーラ・パワーは、一見何でもすることのできる力(Miss Power ? Miss Steam?Power )を持っている
だからこそ、外から見た彼女は気まぐれとしか映らない
洗礼を考えぬくこともなく、建築について考え抜くこともなく、恋愛や結婚についてもきまぐれそのものと「見られている」
しかし、彼女の内面はさまざまな権力関係を考慮し、熟考した上で軽々しい言質を与えないという性質を持っている
confederateという、秘密を打ち明ける存在として主人公サマーセットは指名される
こうして「共謀者・協力者」という明確な名前を与えられることに主人公は歓喜する

‘And will you love me?’ Paula did not reply.
‘Will you, Paula?’ he repeated.
‘You may love me.’
‘But don’t you love me in return?’
‘I love you to love me.’
‘Won’t you say anything more explicit?’
‘I would rather not.’
バートルビーのI woud rather prefer not toを思わせる「それはしたくありません」
男たちはこれを「気まぐれ」と解釈する(Far from madding Crowdsでもjest、capriceは重要な場面で使われた)
‘To everything there is a season, and the season for this is not just now,’
But I am not the less of opinion that it is possible to be premature in some things; and to do this just now would be premature.
熱情、愛情を持っていない女性ではなく、彼女の顔色や胸bosomを「語り手は」繰り返し存分に描写する(登場人物たちは奇妙にそれに触れない)
時季、prematureを待つその知性はオウクだけが持つ特質だった
0372吾輩は名無しである
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2017/08/28(月) 03:17:21.74ID:Q0OVEfuo
主人公はポーラから名づけられたい欲望と名づけたい欲望を、去勢されるがごとくポーラに制される
‘But how will they live happily together when she is a Dissenter, and a Radical, and a New-light, and a Neo?Greek, and a person of red blood
while Captain De Stancy is the reverse of them all!’
嫉妬に駆られではあれ、別の人物から蔑まれたポーラの属性を列挙してしまう主人公は、形容詞で表現することに満足できず、名詞でどうにか形容しようとする
それはポーラからすれば望ましくないはずなのだが

ポーラはこの小説でLaodecean「熱のない人」に始まってどのような名詞で呼ばれるか
developing into the ordinary gay woman of the world
世間一般の陽気な女性になってしまった、これの何が悪いのか?
people who show contempt for their Maker’s intentions by flippantly assuming other characters than those in which He created them?’
彼女は創造主の意図に逆らい、神が創造した性格と別の性格を身に着けようとする人間だ
さまざまな立場から言葉を投げつけられ続けるポーラは、その名づける人々自身を映し出す

窃視者であり、詐欺師confidence manである敵役は熱のない男として描写されていたが、突然熱に浮かされた男に変貌した
‘Captain, we are both warm, and punctilious on points of honour
大尉さんよ、俺たちは二人とも興奮していて、名誉の問題になると融通が利かない

この小説では、さまざまな人物が当初「熱のない人」として現れ、それが表面でしかないことを露呈していく
正体不明の男として登場した大尉、デア、エブネルに加えてサー・ウィリアムもその一員だ
breathing refrigerator「生きた冷蔵庫」と呼ばれる人物まで登場する
彼らが(本来の)熱のある人に変貌するさまは丹念に描写される
0373吾輩は名無しである
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2017/08/29(火) 06:29:39.17ID:iCO4/ocy
the ordinary gay woman
この言葉をポーラに投げつけたのは「ラオデキアの人」と名指し、目の前で成人洗礼を拒否された牧師である
この牧師は、中央の教会と、町の教会の二つの牧師を勤めており、町の教会を建てたのはジョン・パワー、ポーラの父親である
ジョンは大陸の鉄道の半分を建設した、という鉄道王であり、産業革命後のイギリス社会の階級を駆け上がった人である
そのような人たちにとって、没落する王党派貴族は紛れもなく対立する存在であった
ジョージ4世時代、貴族は王の趣味もあって愛人だらけの淫蕩があった
そこに、勃興する中流階級の倫理的リゴリズムが出現する契機があった
ジョン・パワーが実際にどうだったかはともかく、ピューリタニズム、欲望を節制し、婚外妊娠などもってのほか、そのような純潔主義を標榜した
既存階級への倫理的優越性としてのピューリタニズム、典礼儀式でなく自ら神に祈る者でなくては洗礼に意味などないというパティキュラー・バプティスト
これは逆に、幼児洗礼を受けても倫理的に堕落した人間は神に選ばれていない、とする二重予定説の信奉となる
その背後に、堕落した貴族/王党派への強烈な対抗意識は間違いなくあった
ジョン・パワーによって建設された教会の牧師は、実に素朴な清貧の家に住む好ましい人物でもある
華美装飾を嫌い、社交界で屈託なく王党派と交わるピューリタンの娘ポーラ・パワーを悲しんでいる
清貧の教会を作ったのは清貧の顔をした大富豪という矛盾は、カルヴァニズムの真実her oscillation from her family creed of Calvinistic truthに隠されている
このマックス・ウェーバーが指摘したカルヴァン主義の強調と資本主義の融合に、違和感を覚える人々は成功した中流階級にも広まっていた
神の名において蓄財は勤勉・抑圧において正当化されるが、勤勉・抑圧を隠れ蓑にして蓄財の手段としているのではないのか
19世紀における中世への興味、ゴシック・リヴァイヴァル、前ラファエル派、そしてイギリス・カトリックへの改宗の増加
ポーラはこのような文脈における、ラスキンやペイター、プルーストと直結する女性であり、彼らの間にいるしかない女性である
0374吾輩は名無しである
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2017/08/29(火) 06:31:08.58ID:iCO4/ocy
サマセットにとってポーラがDissenter, and a Radical, and a New-light, and a Neo-Greek, and a person of red bloodであることはひとつも障害にはなりえない
あえてポーラのネガティブとされる属性を数え上げるとしても、裏返せばサマセットはこのような新しい思想や古典趣味(ルネサンスやゴシック)を全て同時代として接しているし、さらにそのような様式は全て消え去るものだと考えている
he concluded that all styles were extinct, and with them all architecture as a living art.
彼とポーラの間にある障壁は収入格差と婚姻法の改革だけである

ポーラの人物造形において、サマセットの妙にほかの登場人物への屈託のなさ(ロマンスの登場人物のような単純さ)とは違う複雑さをハーディは苦労して書いている印象が強い
サマセットは夢中になったという書割を演じているようで、「熱のない人」として登場する人々は複雑な性格として現れたと思いきや、「熱のある人」になったとたんごく単純な予想のできる人物になってしまう
サー・ウィリアムは当初、成り上がりものと分け隔てなく付き合う奇妙な貴族としてシャーロットと並び高く評価されたはずだった
その熱があらわになるとき、彼の奇妙な寛容は説明されてしまい、なんとも言えぬ俗物じみて見えてしまう
真意の見えぬ「熱のない人」は仮面をはがされたとき、わかりやすさ・薄っぺらさを隠し切れない
しかしロマンスに回収できないような複雑な造形のなされた人々がいて、それこそ「ラオデキアの人」と名指す牧師、ポーラその人、そして素朴な貴族の末裔シャーロットなどには奇妙にひきつけられる描写が多いと思った
0375吾輩は名無しである
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2017/08/30(水) 19:53:06.63ID:ZbUe4K4h
「熱のない人」を読み終えた
ハーディが自分の小説を三つに分けた中で、最後の分類、手法による独創性を描くとした小説‘Novels of Ingenuity’にあたる
読み進めながら、何度も出てくる単語が表象・代表representationだった
この小説は、提示presentationではなく、多様なアイデンティティが出現した19世紀において、複雑な背景・人格を持つ一人の女性のさまざまな表象representationをめぐる小説でもある
Far from Madding Crowdsにはrepresentationやその派生語はわずか5回ほどしか出てこないのに対し、この小説では実に40回以上も出てくる
このような指摘がされているか、見つけられなかったがおそらく他のハーディの小説と比べても、格段に使用頻度が高い(テスやジュードも10回以下)
ポーラの人物像を、さまざまな登場人物が「名詞によって名指す」が、それは登場人物に映ったポーラを彼らの視点から提示するということでもある
そして、representationはpresentationと異なり、利害によって歪められることもある
ラストまで読んで、もう一度representation再現前・表現・体現・象徴・言葉による解釈提示をめぐる小説として読み直した

例えば当時ひそかに流行し始めていた合成写真という手段が効果的に用いられる
写真とはpresentation、真実を映すものとしてのイメージがあり、サマーセットの写真を加工して酔っ払ったように見せ、サマセットの人物像を歪めることに成功する
写真が忠実な写し絵であり人物の模倣と信じる登場人物たちは、捏造された泥酔するサマセットという「像」を真実の人間像と錯覚する
それを知ったとき、そのさまはHe has been misrepresented!と表現される
提示と再提示の錯視・同一視を用いて、彼のイメージは不当に表現提示された
ハーディはこのmisrepresentationに抗おうとする人物が複雑な存在として登場する
0376吾輩は名無しである
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2017/08/30(水) 20:05:58.36ID:ZbUe4K4h
投げつけられる「名詞による形容」に抗い続ける女として主人公を読んできたものにとって、このrepresentation全てにポーラ自身やその親友シャーロットが反論しているのに気づくことは、自明のことながら感慨深い
再現をテーマにし、同時にその再現の限界性、あえて言うならばバスシーバとボールドウッドの婚約がポーラとスタンシー大意の婚約に反復されざるを得ないことを示しており、「完全なハッピーエンド」を自認するには現実への洞察を投げ捨てない作中人物を作り上げている

この小説は、サマセットがポーラとの結婚をなしえたことで終わる、がどことなくすっきりとしないエンディングを持つ
それは全てをひっくり返すような最後のせりふがため息をつきながら言われるからでもあるが、この女主人公は実に多くため息をつく
‘And be a perfect representative of “the modern spirit”?’ she inquired
‘representing neither the senses and understanding, nor the heart and imagination, but what a finished writer calls “the imaginative reason”?’
サマセットがたどり着いた幸福な未来、それは二人で「近代精神の完璧な体現者representation」になること
「知覚と理解の体現者でもなく情緒と想像力の体現者でもなく、『想像的な理性』 の体現者になること」

最後まで、「representation」から離れられない未来の夫に対して、ため息を押し殺しながら放たれる言葉はまさにこの小説の本領発揮といっていい
But, George, I wish?’ And Paula repressed a sigh.‘Well?’
‘I wish my castle wasn’t burnt, and I wish you were a De Stancy!’
「今が今のようでなく、あなたがあなたでなければよかったのに!」こんなせりふで終わるハッピーエンドがありうるだろうか?
これはrepresentationに取り付かれたサマセット、あるいは「現代」への消極的な異議申し立てなのだ
この小説が書かれたのは1880年ごろで、女性についての小説の言語を変えたいという意識を持っていた
ロマンスや扇情的な犯罪のプロットではなく、このような言葉への意識に独自なものを感じさせるというか、少なくとも足掻いている作家と思う
三種類の小説のうち評判が悪いといわれる‘Novels of Ingenuity’の三作は近年再評価が進み、確かに興味深い
次はエーぜルバータの腕The Hand of Ethelbertaを読んで行きたい
0377吾輩は名無しである
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2017/09/02(土) 06:17:17.45ID:0ZZ7mKZN
同じ作者の小説を続けて読んでいると言い回しの類似や、こだわりに気づけて興味深い
「エセルバータの手」では「熱のない人」ほど頻繁ではないが、おそらくついで、representが出現する
‘And you think the verses may tend to misrepresent your character as a gay and rapturous one, when it is not?’
これは女主人公が書いた詩を、「みだらなもので、 gay and rapturousな人格であると、本当はそうでないのにmisrepresentする」という場面
0378吾輩は名無しである
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2017/09/03(日) 14:48:13.22ID:9gNfWLyY
主人公の名前はEthlbarta、19世紀になって出現した名前で、7世紀のケント王エゼルバルドに由来する
古英語では"noble bright"を意味する
the subtitle of a comedy to indicate, though not quite accurately, the aim of the performance.
行動の目的を、(必ずしも正確にではなく)指し示す喜劇という副題を持つ小説を、35年は時代に先駆けていたとハーディは語る

まさにそのとおりで、この小説もまたFar from madding Crowdでの「バレンタイン・カード」のように行動の目的は別の意味を持つ
Bathshevaにとってはjestにすぎなかった行為は、匿名を暴かれ、その後の彼女の生活を大きく変える
Ethelbartaにとっては、詩と詩人は別物である
It would be difficult to show that because I have written so called tender and gay verse, I feel tender and gay.
It is too often assumed that a person’s fancy is a person’s real mind.
ある人が楽しむことはその人が本当に考えていることを示しているわけではない
that’s the world’s fault, not mine.
愛情のある陽気な韻文がもてはやされることは詩の特性であり、作者が浮気な、gayな人とみなされるのは世界に責任があるのであると言い放つ

しかし、a detached bride than a widowとして引き取ってくれた恩人であるLady Petherwinにとっては譲れない
夫を亡くしてその母と同居するということは、 an avowal that you rejected the idea of being a widow to prolong the idea of being a wife
未亡人でなく、妻(嫁)としてあり続けることを宣言したのであり、結婚生活が数ヶ月で、死別して4年経っていることは言い訳にならない
ナオミとルツをめぐる「原則と忠誠」は、Ethelbartaにとってはhumour(人文主義もしくは人間主義)に関わる「程度」の問題である
同時代のニーチェを思わせる言葉が二人の対立点を浮き彫りにする
don’t be so unreasonable as to blame a live person for living!
0379吾輩は名無しである
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2017/09/04(月) 02:44:19.52ID:u7sqGSIv
Bathshevaの忘れられない、よく引用される言葉に、
It is difficult for a woman to define her feelings in language which is chiefly made by men to express theirs.
この類の言葉をハーディは書き付ける
「女についての格言」を漏らしてしまうような妹に対して、それは男の作った格言であって、自分のcircumstanceの表現を作ることができない非才の暴露に過ぎないとEthelbertaは言う
既成の「論理」は既に作られており、そのような類型・紋切型によって言葉は流通する
しかしその流通は交流ではなく、生きた人間を縛るもの
Bathsheba、Paula、Ethelbertaは順序だてて、論理的に問い詰められる
アイデンティティを押し付けられる彼女たちは、しかしそれは論理の暴走であることに立ち止まろうとする
jest、capriceであった動機を、より重大なものとして捏造しようとする「あなたは私を好きなのですか?それとも尊敬しているのですか?」に答えないBathsheva
詩風に基づき、詩の論理・定型において生み出した詩を別のコンテキストにおいて解釈し、意図を捏造されることに抵抗するEtheberta
戯れに署名もなく「marry me」とバレンタインに贈ったことを、真性の愛の告白、あるいは挑発として認識する
陽気な匿名の詩集を出版したことを、亡くなった夫への不貞を「意味する」と名指される
その認識は「男の作った」ことばによる論理では訂正不能であり、説得不可能である
Lady Petherwinも女性ではあるが、二者択一をつきつけるその論理はBoldwoodの奇妙な二者択一に酷似している
たとえばそこにはピューリタニズム、旧約聖書におけるナオミとルツをそのまま現代に適用させる枠組みがあって、そのような枠組み思考が崩壊していく時代にハーディは生きていた
同時に、崩壊に対して共同体が分裂し、枠組みを純化・極端化へ推し進めようとする時代でもあったようだ
0380吾輩は名無しである
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2017/09/08(金) 05:43:30.17ID:mP7CF6Bt
ウィリアム・モリスが建築学会の一員であった頃、彼は古建造物保護活動家でもあった
「微温の人」は古城を修復するか、保護するか、維持するか、修理するか、補強するか
のRestorationとProtection、Repair、Preservation、remodeling、rebuilding
これらの単語は、建築思想が異なる
英国国教会、聖公会とピューリタン教会の設計思想の違いはここでも顔を出す

「微温の人」では上記の単語は明確に区別して使用されている
この城はprotectするべきかrepairするべきかrestoreするべきか
そこにおいて、サマセットの設計図が「ある思想のrepresentationとなっている」という言葉の意味が判る
対立する建築家の案は、ポーラやサマセットの一貫性、思想が欠けており、repair以上のことができない
何よりも、その建築家が新聞に出したポーラへの批判は、「Restoration or Demolition?」であり、これは1870年代にイギリス中で始まった教会堂修復へのモリスの抗議文にある言葉なのだ
「古建造物保護協会」はprotectionを目的としてrestorationに反対するものであり、モリスは「削り取り反対運動」と呼んだ
0381吾輩は名無しである
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2017/09/09(土) 00:53:02.97ID:oJ5I/bM7
城壁の設計図はひとつの思想をrepresentしている、と繰り返しかかれている
それはmodernism, eclecticism, new aristocracies, everything, in short, that Paula representedとポーラが体現するとされているものと同じである
建築物もまた、ある精神の具現化であり、それはポーラが何らかの時代精神の具現化・象徴として扱われることと等価である
ド・スタンシー家の先祖の肖像画が血統をrepresentし、その三人の末裔が肖像と同じrepresentをし、大尉が肖像画にあわせて甲冑をかぶってみせるさまもrepresentである
サマセットも建築物がなんらかの思想の表現であるとする時代の空気を味わった人である(ラスキンの建築の七灯を読まなかったはずがない)
だがそこには、建築は実用性を映すという思想があり、オウクのGreat Bahnでもらした感慨と同じく構造が実用と一致を目指す
rebuilding、repair、電報のための専用の電信ケーブルがスタンシー城に入り込むさま
英国国教会は、典礼のための華美な実用性を持った改修を実行するが、モリスはそれに反対する
教会堂は国教会が成立するはるか前の物でありながら、所有権は全て国教会に所属する(それがヘンリー八世の改革)

ポーラは財産・産業革命のrepresentationであり、スタンシー家は貴族の血統の具現化であり、両者の結婚は和解の象徴
marrying this girl, who represents both intellect and wealth, in fact, except the historical prestige that you represent.
この知性と富を同時に体現する、ただし彼の体現する歴史的な特権だけ持たない女性との結婚
from a representative of the new aristocracy of internationality to a representative of the old aristocracy of exclusiveness
新しい時代の、国家をまたにかける貴族制から包括的な古の貴族制のrepresentationへ

例えばサマセットがポーラに対して
‘You represent science rather than art, perhaps.’‘How?’ she asked, glancing up under her hat.
‘I mean,’ replied Somerset, ‘that you represent the march of mind, the steamship, and the railway, and the thoughts that shake mankind.’
貴方は芸術というより科学を「体現」されておられる、というのは、蒸気機関の精神を体現している、それから鉄道、人類を動かさせる思想を
0382吾輩は名無しである
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2017/09/10(日) 23:59:22.89ID:i2DiVeam
繰り返されるrepresentの洪水は表象がテーマになる20世紀後半よりもはるかに先立っている
建築物があるがままでなく、象徴としての意味を持つ、その持たされた意味によって表象の受け手に影響を与える
あるrepresentationを与えられた時の受け手の反応に注目する必要がある

洗礼とはそもそも象徴であり、概念の実体化というabstractionの間逆の行為である
それは概念を受け入れることであって、同じ洗礼であっても概念の表象が変わったとき、異なる意味を持つ
その変化した意味を、昔と変わらない同一の意味として扱う人間には、変化した意味を受け入れることに躊躇する受け手が理解できない
時代・宗教・性別・階級・教養によって異なるこの受け手の反応がハーディの重要な特質だと思う

情景と要約が小説に取り入れられることで、またその二つの様式が移り変わることでリズムを形成する
「微温の人」の(病に倒れ口述筆記にうつる前の)前半部は、アリストテレスの三一致の法則を適用した痕跡がある
熱のない人の第一部は半月の出来事のうち、章ごとにきれいに一日が始まって終わるまでを情景として描き、要約はごく一部にとどまる

サマセットはまず人格を要約されて小説舞台に登場し、ポーラは部分部分に分かたれて情景をもって描写される
オウクもまた、人格の要約からプロットが始まり、情景としてのバスシーバの積み重ねが物語を作る
サマセットやオウクの人格提示はやはり重要で、焦点人物として特権的でありながら小説の主人公とは少し言いがたい

登場人物の情景によって積み重ねられる物語は要約に抵抗する
登場人物同士の対話、その対話の際の「聞き手」の反応という異物に注意しなくては失われるものがある
Hardy wished to be remembered as ‘a man who used to notice such things’
たとえばrepresentという言葉が繰り返されること、ポーラが「頬が赤らむ」「ため息を押し殺す」という本当は受け手に読み取られていない反応を書き付けること
対話が同じ言葉をめぐってなされているようで、実際にはそうでない齟齬が生じる情景の提示がすばらしい
0383吾輩は名無しである
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2017/09/17(日) 22:13:47.95ID:Nyas+rgk
エセルバータは洗礼名で、その洗礼名の由来となった人物はこの小説にはかかわりがない、とされる
その人物は貴族であった、という見過ごされそうな要約は実は重要ま、小説にかかわらないといいながら読解において面白い意味を持つ
名前をつけたのは誰か?エセルバータの両親であり、「貴族の執事」という使用人階級の父親だろう
エセルバータの姉妹、ピコティやコーネリア、ソルといった名前はやはり異質な名前で、言ってしまえばキリスト教伝来前のアングロサクソンにさかのぼる名前だ
そのような、新しい名前をつける主人に仕える父親だからこそ、エセルバータはガヴァネスとなるだけの教養を身につけるべく教育を受ける
しかし、ガヴァネスという女教師は「教養のある女性」とは異なる意味をもつ

19世紀イギリスでは女教師とは特殊な立ち位置にあった
Bathshevaはもう少しでガヴァネスになるところだった、と不自然に登場すぐにおばの発言が出ていたし、トロイは貴族の落としダネであるが、その母親はフランス人のガヴァネスだった
おばは、ガヴァネスになるかもしれなかったBathshevaを、明らかにオウクには「本来」つりあわない人間だと見ているが、結婚してはいけないほどにつりあわない人間とも見ていない
オウクを断るBathshevaの理由は「もっとお金のある女性を」だった
0384吾輩は名無しである
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2017/09/17(日) 22:17:13.04ID:Nyas+rgk
この時代のガヴァネスの定義は、「父親が裕福で、淑女としての教育をしたけれども破産してお金がなく、お金がないことを除けば淑女と何も変わらない女性」である
だからこそ、お金のある淑女の子女を教育し、しつけることができるが、「屋敷の客人でもなく、使用人でもなく、友人でもない」という立場の人間である
ジェイン・エアは終盤で親族の遺産が転がり込んでくるまでは破産した牧師の娘であり、繰り返し「ガヴァネス」の罵倒を浴びる存在だった
そこで身分の違い、性別の違いは「感じる力」において無意味であるというジェイン・エアは確かに危険な小説だった
なによりも、ジェインは「美しくもない」、ガヴァネスという零落した淑女が「女の魅力」によって有産階級と結婚するというガヴァネス小説を裏切っている

ヘンリー・ジェイムズの「ねじのひとまわし」には、雇い主に魅了されたガヴァネスが登場するが、この主人公は「女性という、男性に劣った性」と平然と言い放つ
身分違いである、にも関わらず、この裕福でハンサムな雇い主への熱情を無視して狂気をはらんだ(かに見える)幽霊譚は成立し得ない

エセルバータは登場するやいなや、ジェイン・エアの「ガヴァネスにおける結婚の葛藤」を大急ぎで片付け、ジェインが好都合にも遺産を相続して立派なレディとなる、その後から小説が始まる
そもそも、エセルバータは優秀な成績で教育を終え、ガヴァネスとして屋敷に入り込み、その未成年の息子と結婚する(ついでに三角関係も小説開始の前に済ませている)
しかし、彼女が教育していたはずの「子女」は消えてしまう
もし彼女たちが家を出ないなら、エセルバータは「レディ・ペザウィン」という使用人の娘という立場を隠した「レディ」になり、財産すら分け与えられる存在にはなれない
レディは養われるものであり、養うのはその夫なのだから
エセルバータがhand、自らの筆によって金を稼ぐという「レディ」にあらざる行為を徹底的に咎められる背景には、レディとは「自ら金を稼ぐ」という悪徳から離れた階級規定も存在する
エセルバータが「詩に現れた心情は詩の論理のもので私のものではありません」という建前と同じく、「息子の嫁は未亡人と異なる」という夫人もまた、「それはレディでない」という本音を突きつけることはしない
0385吾輩は名無しである
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2017/09/17(日) 22:23:12.40ID:Nyas+rgk
ガヴァネスは、それを雇う裕福な中流階級が増えるにつれ、19世紀を通して地位を零落させていく
「エマ」の家庭教師は「ジェインエア」の「12人もガヴァネスを変えたけれどほとんど無能だった」とこれ見よがしに言われる家庭教師とは違うし、「女家庭教師互助組合」ができたり、余った女としてオーストラリアに送られたりする時代とももちろん違う
彼女たちの、唯一淑女Ladyと「お金がない以外対等である」「教育とマナーを受けた」職業婦人というプライドの強さと「禁じられた恋愛」を除いては19世紀イギリス小説は貧弱なものになるだろう

エセルバータは、見た目の定義上はレディであるが、Bathshevaがガヴァネスになれなかった理由、too wildと同じである
時に仮初の「レディ」という立場にふさわしくないwildernessを有し、そもそも家庭教師先のgentlemanには好かれるがgentlewomanには好かれない
当時、「パンチ」紙のガヴァネス広告には「美しくない婦人を希望・恋愛お断り」という風刺広告が出されたように、「望ましくない」身分違いの恋を持ち込む美貌の女性だった
Bathshevaのtoo wildは活動的、と当初解していたが、彼女は自ら牧場を見回り、経営に従事するwildな新しい女であることを牧場の従業員たちはコロスのような会話の中で強調していたのだった
カラミティという大いなる悲劇によって「息子の非合法な未亡人」でなく「死んだ息子の世間的に立派な嫁」として引き取るPetherwin夫人はこの「金をもらう」という「レディ」に反する行為でつまづく

エセルバータもまた、レディと「金のないことを除けばレディと同じ」ガヴァネスという二つの仮面をかぶり、レディの手を求婚者に与えようとしてガヴァネスに過ぎない「エセルバータ自らの手」を求婚者に与えることになる
その手を取る人間はレディではなく、エセルバータという個人の美貌を(詩によって偽られた心情でもなく)もって評価する
ジェインのように都合のいい親戚の財産など降って沸いてこない、心情による愛もないエセルバータは、Bathshevaが試みたように、「経営」に進出する新しい女になっていくだろう
そしてオウクという守護者(この小説では兄弟たち)の手助けなど必要なく、かつて恋した経済的には無能力な恋人などと結ばれることもなく「自活した女性」として生きていく
0386吾輩は名無しである
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2017/09/22(金) 17:20:14.53ID:kSiYNj9D
南が丘文庫
http://www.minamigaoka.info/BOOKS/
Official Homepage

横浜市立南が丘中学校の母体である、平成研究会、通称、経世会とは、自由党吉田茂派を起源に持ち、周山会(佐藤栄作派)・木曜クラブ(田中角栄派)の流れを汲む、鉄の軍団と呼ばれた保守本流集団である。

横浜市立南が丘中学校OB会
0387吾輩は名無しである
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2017/09/23(土) 23:49:24.90ID:2savKRK7
「エセルバータの手」に関連して
ヘンリー・ジェイムズの「ねじのひとまわし」は1890年代に発表されているが、これは3重の構造をもっており、女家庭教師の物語は同時代ではない
あるクリスマスに集った幽霊譚の百物語のような会合で、50年前の出来事を語ったものであり、女主人公は10年前に死んでおり、其の手記を40年前に彼女に出会って恋した男が語るというものである
語られるものであるが、家庭教師の美しい手で、死の前に語り手に送ったものを、「私」の前で読み上げるという構造を持つ
時代としてはほぼ1840年代の物語で、ガヴァネス小説を読んで雇い主とガヴァネスの恋愛小説に浮かされた主人公の心理が描かれている
実は異端そのものであった「ジェイン・エア」が1847年であり、時代は同じである
そこには、「主人として遇され」「子女の友人として遇され」「重要な客人として使用人に遇される」ことへの驚きが書き付けられてもいる
主人公自身冷遇され、つまらない生活を送るだろうことを覚悟して赴任し、「小説で見たように」ハンサムな雇い主に自分がextraordinaryな女性であることを認識してもらうことを妄想する
まさに、この物思いにふけっているときに幽霊と思わないで最初のapparitionに遭遇してしまう
現実の雇い主は「自分に迷惑を一切かけないこと、連絡をしないこと」という命令を下し、実際に2回しか生涯であってもいないにもかかわらず

重要なのは、幽霊が存在しないとしたら妄想によって家庭を崩壊に追いやったことになる家庭教師が、「美しい手」で手記を残していること
しかもこの小説の後も家庭教師の仕事は続けており、10年後には語り手の妹を指導し、大学生であった語り手を恋に陥らせるほどに「あの職業であんなにすばらしい人はいない」とまで言わせていること
あのような悲劇のあとで、まるで健全なガヴァネスであるかのように、憑き物が落ちたかのように描かれている、序文がもっとも不気味であるといっていい
そもそも、執拗に反復が繰り返される小説でなかば幽霊と一体化していく女教師を先どるかのように、「私」と「語り手」は奇妙につじつまの合わない会話を交わす
0388吾輩は名無しである
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2017/09/23(土) 23:58:25.46ID:2savKRK7
「ねじのひとまわし」のエピソードの10年後の30歳の家庭教師、40年後の60歳で死んだ家庭教師は一切小説には書かれていない
40年にわたって友情を育んだ「語り手」と女主人公のイメージは、語られる内容から遠くはなれている
この小説を幽霊が実在するか、しないかということが論争になり、エドマンド・ウィルスンなどの妄想、ガヴァネスの性的欲求不満によるヒステリアという解釈は説得力もある
しかし、同時代においては幼児性愛・同性愛に取り付かれたその過激さが糾弾されたように、家庭教師個人の妄想で片付けられない描写が多い

この手記は「美しい手で」“Is in old, faded ink, and in the most beautiful hand.”「最も美しい手で」書かれている
さらに、まさにこの悲劇の10年後にShe was the most agreeable woman I’ve ever known in her positionとまで言われる
悪意をもってうそをついた、とする読解は物語が終わった半世紀後まで狂気の尾が引いていることになってしまう
少なくとも、本人にとっては真実で、さらにおそらくその妄想はそのままにMilesを死に追いやった瞬間にdispossesed、憑き物が落ちてしまったのだろう
妄想を駆動した熱情は、主人に一度も会うこともなく、幽霊のように消えてしまっている、かのようである
ジェイムズの幽霊はそれ自体まったく怖くない、とV・ウルフは言っている
幽霊譚で一家が破滅した後、家庭教師を続け、10歳下の青年に40年にわたって恋煩われ、美しい筆跡で自己批評的ですらある手記をつむいだその後の人生こそが分からない

本質的に「結婚によってしかガヴァネスという身分から離脱できない」にもかかわらずセクシュアリティを抑圧されたさまは、ヘンリー・ジェイムズも書き込んでいること
前任のガヴァネスは「私」に劣らず美しく、with extraordinary beauty、しかし But infamousであり、雇い主お付の男own manと恋愛関係に陥る
そのとき、善良な家政婦は言う“SHE was a lady.”“And he so dreadfully below,”
家庭教師は文字の読めない家政婦にとってはladyであり、御付の男は「恐ろしいほどに身分が下」であり、the young lady who should go down as governess would be in supreme authority.
ガヴァネスとしてgo downするようなladyは最高の権威を与えられるのであり、使用人との恋愛などhere - for a governess! ありえない
0389吾輩は名無しである
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2017/09/24(日) 00:34:27.90ID:hZpSgOQK
「エセルバータの手」はハーディの有名な作品には入らないけれども主人公の人物造詣は奇妙に惹きつける所がある
ハーディの小説には、情景で出現する人物と要約で出現する人物がいて、「主人公」は出現するなりどのような来歴か作者によって語られる
エセルバータは作品を通して、さまざまに語られる
彼女は誰なのか、どのような人物なのか、次に何をするのか、とアイデンティティと性格がほかの作中人物に問われ、話題になり続ける人物である

このような特性は「微温の人」におけるポーラにも強く見られるものであった
重要な違いはunknowabilityがポーラにはなく、ポーラは外界の制約に抗うが、彼女の持つ秘密はただひとつ、自身の心情である
そしてそれは描写(頬、視線、ため息、bosom)によって、周りに気取られることがないことも含めて開示されている
絶えず語られるエセルバータは、しかし同時に作者によっても語られる
エセルバータが隠している部分をも、作者は軽やかに要約して提出してしまってもいる
その要約こそが彼女の秘密であり、明かされないゆえに登場人物たちはさまざまな語り口で彼女を語る

She is one of those people who are known: everybody knows a little, nobody knows her entirely.
彼女は誰にも知られていながら、誰一人彼女の全体像を知られていない女性
curious undefined character which interprets itself to each admirer as whatever he would like to have it.
Old men like her because she is so girlish; youths because she is womanly; wicked men because she is good in their eyes; good men because she is wicked in theirs.’
誰もが、自分にないものを彼女に見て。それゆえに好きになるような人物
Like the British Constitution, she owes her success in practice to her inconsistencies in principle.’
まるでイギリスの慣習法による国制のように、原則において束縛されないことによって成功している
彼女が変幻自在にアイデンティティを変えてみせるその根底には「ガヴァネス」という立場にまつわる歴史的な変遷が影を落としている
0390吾輩は名無しである
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2017/09/24(日) 00:37:47.96ID:hZpSgOQK
ヘンリー・ジェイムズの回顧する1840年代英国のガヴァネス
そしてまさに同時代の「ジェイン・エア」とアン・ブロンテによる「アグネス・グレイ」が実に面白い
ほぼ同じ年代としてもうひとつ「虚栄の市」におけるガヴァネス
もう30年さかのぼってジェイン・オースティンにおいては、ガヴァネスが家族の一員であり、自然と紳士と結婚して尊敬されている「エマ」
5人の娘を「ガヴァネス」なしで育てるなんて、あなたの母親は奴隷のように働いたのですか?とある「プライドと偏見」
プライドと偏見では、ガヴァネスはつよく信頼され、教えられる子女との間に亀裂がない
I always say that nothing is to be done in education without steady and regular instruction, and nobody but a governess can give it.
1840年代には、二つの立場の間に亀裂が明確になっている
そしてそれが、一見同じ空間にいるように産業革命でなりながら矛盾として噴出しているのがハーディの時代のように思う
オースティンの時代ほど一体化しておらず、ブロンテ姉妹の時代ほど対立しておらず、生ぬるく同居し、結婚も許されていながら抑圧されている
アグネスは、家庭教師を渡り歩き、信頼する「メソディスト」に思われるほど清貧の副牧師と「学校教師」となる
ジェインは、突然の親戚の遺産によって、クレオールの「本妻」が焼け死に、自らも罰を受けて片腕と盲目になった「紳士」と対等に結婚する
前者は「レディの世界」から降りていて、後者は失われた「レディ」の資格を回復するが、それは自らの手によってではない
二人とも、「ガヴァネス」から「レディ」への道は自らの手では達成できていないし、サッカレーにおいてのように「美しくない」
エセルバータは自らの手で「レディ」となることができる時代であり、同時に「自らの手で」なったことへの無言の視線にさらされる
0391吾輩は名無しである
垢版 |
2017/09/26(火) 01:47:59.94ID:qrhVln3p
サッカレーのvanity fairが面白い
"Marry that mulatto woman?" George said, pulling up his shirt-collars. "I don't like the colour, sir. Ask the black that sweeps opposite Fleet Market, sir. I'm not going
to marry a Hottentot Venus."

改めて読むと、どうしてもポストコロニアルの観点から読解することになるが
小説の最初から黒人や西インド諸島の奴隷商人などが出現し、インド駐在も重要な存在として出てくる
アメーリアという善良で、裕福な商人の娘で誰にも愛される娘の婚約者は、アメーリアの父が破産するや、婚約を破棄され、裕福な商人の娘を紹介される
その娘は小説の冒頭にも登場したMiss Schwarzという同級生で、彼女はジャマイカで奴隷を働かせる商人の娘だ
それに反応したジョージの発言が上記だ
「私はホッテントットのヴィーナスと結婚する気はない」「上院議員になれる、では私のprideはどうなる?」
結局彼は既に婚約した、と言う理由で、そのoathを破ることをよしとせず破産したアメーリアと結婚することになる
0392吾輩は名無しである
垢版 |
2017/09/26(火) 01:50:35.40ID:qrhVln3p
そしてこのジョージは、その前、アメーリアの友人として紹介されたベッキーが「アメーリアの結婚相手にふさわしいか確かめようと思って」と軽口を叩いたときに、こう答える
「家庭教師風情が、確かめるだと?」
このジョージは、否定的な形象ばかりなされる
しかし、そもそも「ムラート」なる奴隷商人の娘との結婚を上院議員になれる、と紹介したのは彼の父である
A governess is all very well, but I'd rather have a lady for my sister-in-law. I'm a liberal man; but I've proper pride, and know my own station:
「ガヴァネスだってよろしい、だけど私は自分の義理の妹になる人間には淑女がいい」
「私はリベラルな人間だ、だけど私にもprideがあり、私のあるべき場所を知っている」

この、リベラルだと自分を形容しながら、父や婚約者が「ムラート(サラ・バートマン!)」や「ガヴァネス」を受け入れるにも拘らずprideゆえに罵倒する
彼は貴族でもないし、なりあがり者arrivisteの原型ではないか
mesalliance「身分違いの結婚・結合」それを可能にするのは何か?
虚栄の市で戦死し、しかし最後まで幽霊のように繰り返し小説に付きまとうこのGeorge Osbourneは19世紀イギリスの階級闘争の重要な屈折点として存在しているように思う
ガヴァネスを軽蔑し、ムラートを軽蔑するジョージは中途半端な存在である
立身出世のために「ムラート」の娘と結婚することは矜持が許さず、「破産した娘」の婚約を破棄するには「矜持が許さない」
その父親の世代、植民地経営を背景に繁栄した父親は「上昇」のためにムラートとの結婚は問題ではないし、破産した娘の家とは恩義があっても絶縁する
父の世代は経済のみしか見ておらず、中流階級に上昇した次の世代のジョージはまるで上流階級のような「矜持」にこだわる
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