今週中には読み終わりそうです
ガブリエル・オークという平凡な男は結構面白い

pastral tragedyという章タイトルが示すとおり、小説の最初の数章では、借金をしてうまく行きかけている牧場をつぶしてしまう
悲劇においても、彼はより強くなり、愛他的な態度を貫く
また、後の章とはまったく逆なことに、小屋を閉め切って寝込んでしまい、窒息しかけるところをバトシェバに助けられる
バトシェバの中の、虚栄心のうわべにそれを恥じる純朴な心があることを知る重要な場面で、富を得て虚栄心が肥大したかに見えても折に触れて実際的な地に足のついた能力を発揮してみせる
バトシェバは「新しい女主人mistress」でありながら自らの足で見回りをし、災害を防ぐ実際的な能力を繰り返し見せることになる
ガブリエルに見守られるだけの無能な主人ではない(しかし偏在する見守る目は、常にある)

ガブリエルはsound(健全な)、地に足の着いたと同時に星に興味を持つ(地面から天空に描写が移り変わる場面は非常によい)田園の男ではあるが、理想化されているわけではない
彼は「熱のない人」でもある・・・(登場の最初から、soundだけれど、の後にやたら見慣れない表現で辞書で調べた)
どうやらハーディの小説にはこの「熱のない人」という小説があるようで、次にはこの小説を読むことになりそう
lukewarmnessという単語、生ぬるさはwrongheadeadnessよりも悪いのだ!という激情から距離を置く人々、19世紀後半のイギリスにおける「熱のない人」たちはどういう人たちだったのか
そういう目で見ると、この小説にも重要な場面でそのような描写が繰り返されている
この点は、「熱のない人」を読んでからもう少し掘り下げて読んでみたい