地形的平行主義、反復と的確なプロットによる登場人物のperceptionの急な変化
“Hardy did a thousand times better what I am trying to do,” he wrote, marveling at the “admirable geometrical parallelism” he created, the use of repetition and superposition and the way the perception of a character changes so swiftly.
Marcel Proust to Robert de Billy
プルーストは、ハーディの小説でみられる石工が切り出した石を組み合わせるように、完璧なプロットを作り、反復や平行を作るさまを賞賛する
ハーディ自身、この「青い瞳」が同時代でもっとも巧みなプロットを持つ小説と賞賛を受けた、と喜んでいる
「失われたときをもとめて」には主人公に決定的な体験を引き起こすものとしてマドレーヌ、エルスチールの絵画、そしてヴァントゥイユの楽曲が出てくる
このヴァントゥイユのわずか1フレーズがまずスワンに決定的な体験をさせたもので、小説を読み進めるごとに数十年をかけてこの楽曲が進化していく
それは徐々に伴奏・多重奏と複雑化していき、全体との調和において輝く反復される主題となっていく
ハーディの小説は、岩石でできた島に高く石が積み重なっていくように、あるテーマが折り重ねることができるとプルーストは言う
これはラスキンという二人の共通点、高く積み重ねていく建築に1フレーズの「意図」を凝視する特質が現れている(ルーアン大聖堂のたった一つの石彫刻の苦悶する男を捜し求めたプルースト)
まさに、ハーディの小説は小説内においても小説間においても折りたたみ、積み重ねられている