千城のfar from the madding crowdの題名の訳がおかしい。
「狂おしき群れを離れて」となっている。この「狂おしき」について2点指摘したい。
第1に、文語を用いるなら「狂ほしき」(狂ほしの連体形)とすべきだろう。
第2に、口語で考えるならば、「狂おしい」(狂おしいの連体形)となろうが、狂おしいの用法は、狂おしいまでの情熱、狂おしい気持ちというように、狂おしい(気が違いそうなの意)+心情で用いる。
例えば、狂おしい心にある群衆、群衆は狂おしい怒りを持っている、なぞである。
「狂ほしき群れ」「狂おしい群れ」なぞという国語表現はない。「気が違いそうな群れ」と言い換えれば誤用に気付こう。
 訳者は、あからさまに「狂った群れ」とするのを憚ったのだろうが、とんだへまをしたわけだ。そもそも国語では「狂気の群衆」「狂乱の群衆」なぞという表現は取らないので、「正気を失った群衆」「正気でない群衆」というように否定もしくは否定的な表現を好む。
が、それはともかく、かかる中学生以下の国語力、読まずとも中身のレベルは知れる。訳者は大学教授であろうか、笑止千万、中学生以下の学生相手なら納得もできるが。