まあ、それぞれいいとこがあると思うけどね、例えば、ホムンクルスが死んでしまう場面
ここでのポイントは、「Jetzt、nun、schon」をリズム良く訳すことだが、高橋義孝訳が一番良く出来ている

原語
Homunkulus ist es, von Proteus verführt...
Es sind die Symptome des herrischen Sehnens,
Mir, ahnet das Ächzen beangsteten Dröhnens;
Er wird sich zerschellen am glänzenden Thron;
Jetzt flammt es, nun blitzt es, ergieset sich schon.

高橋健二訳
あれはプロテウスに誘い出されたホムンクルスだ・・・
強いあこがれに支配されているしるしだ。
もだえ震えるうめき声さえ聞こえるようだ。
輝く玉座にぶつかって砕けそうだ。
そら燃える。きらめく。もうあふれ出す。

高橋義孝訳
あれはプローテウスにおびき出されたホムンクルスなのです・・・
やむにやまれぬ憧れを示す兆候なのです。
不安の呻き、喘ぐ声が聞こえてくるような気がする。
輝く玉座に触れて、砕け散るのではなかろうか。
や、燃え上がった、ぴかりと光ったぞ、ああ、もう融け始めた。

手塚富雄訳
あれはプロテウスに誘われて出て行ったホムンクルスです・・・
抑えようのない憧れのしるしです。
切ない呻きと喘ぎがここまで聞こえてくるような気がする。
あれは輝く玉座に身を打ちつけて砕けるだろう。
ほら、燃え立つ、きらめく、もう火の潮となって流れ出る。