《フローベールの愚かさに対する見方のなかでもっともショッキングでもあれば、またもっとも言語道断なことは、
愚かさは、科学、技術、進歩、近代性を前にしても消え去ることはないということであり、
それどころか、進歩とともに、愚かさもまた進歩する! ということです。

……現代の愚かさは無知を意味するのではなく、先入見の無思想を意味するのだと。
フローベールの発見は、世界の未来にとってはマルクスやフロイトの革命的な思想よりも重要です。》
(クンデラ「エルサレム講演」『小説の精神』)