0273吾輩は名無しである垢版 | 大砲2014/09/19(金) 22:52:26.58 こういう生活は、もし彼が貧乏で必要にせまられておくっているのだったら、惨めないたましい感じをあたえたでしょうが、 これがまったく金持ちの酔興である点に、少なくとも世間の常識からは、そう思うほかないところに、ある救いと愛敬がありました。 しかし、こういう乞食の住居のような部屋に着古しの背広で坐っていても、長身の荷風の姿勢には、どことなく優雅なところがありました。 ことに上半身をやや反らして、片手で髪をなであげる動作をするときなど、驚くほど若々しく見えました。 中村光夫「人と文学」