ドン・キホーテは決闘をふっかけては、コテンパンにのされることを繰り返す
では、実際のところ何勝何敗なのか?
ウラジミール・ナボコフが一戦一戦数え上げている

結果はなんと20勝20敗
殴り倒したら同じ数だけ殴り倒されていることになる
しかも前編が13勝13敗、後編が7勝7敗
サンソン・カラスコに対しても1勝1敗

ナボコフは自分と違って意図して引き分けにしたのではないだろうセルバンテスのバランス感覚を面白がっている
ハーバード大学で講義するために綿密に精読して作成された「ナボコフのドン・キホーテ講義」は相当に面白い
実作者として技法を発見して楽しむナボコフがおもしろく、またその視点が非常に斬新で色あせないものがある

無意味に思われる、抄訳ではほぼ省略されるサンソンとの第一戦の勝利を「転回点」と位置づけるナボコフ