>>65
確認したので、「死霊」の初めの方を思い出して欲しい。

津田安寿子については、病院を訪ねてきたときの記述にはじまり、いろいろある。
細身で気品があるとか、彫刻のような美しさとか、性格についても気丈さとか繊細さにも触れている。
まさに絵にかいたような類型的な美少女として描かれている。

彼女は理念の象徴としてではなく、現実社会の、それも現実を否定する感性の象徴として表れていると言っていい。
そうした感性を、美少女としてしか表現できないこと自体が、また、類型的であると言える。
それは作品の舞台が「非現実的」であるかどうかとはかかわりなく、埴谷自身の現実へのかかわり方を象徴するものだ。

こんな風に考えている。