小林の批評を高く評価する人もいるが、僕はその中に下品さを見るだけだな。
自分の思い付きを強い言葉で断定する。

たまに見聞きする中小企業のオヤジと同じ下品さだ。
小林が一時期骨董品で商売していたというのも、本当かも知れない。

「これは贋物です」
「贋作でも真作に劣らぬ力があるじゃないか。お前にはそれがわからないのか」
「力はわかりませんが、お金にはなりません」
「ばかやろう、このど素人が!」

安吾の競輪事件もこんな感じだっただろうな。

酒を呑み、オダあげてクダを巻く。
そんな光景も真実の姿に近いのだろう。

断定の強さは、心の弱さかもしれない。
開戦の報に触れたときのふやけた文章を読者は忘れるべきではない。