自信がないと公に向かって語り掛けるというようなことはできない。
「私は正しいし物事をよく知っている。だから教えてあげよう」というのが一般的に本を書く人の感覚だろう。
ただ書くというのは自分で思っているほど簡単ではなくて、「試しに小説でも書いてみるか」と挑戦してみる
とわが身の能力の無さを思い知ってズタズタになる。
 そこからさらに書けるようになるまで書き続けるかどうかではないだろうか? 遠藤周作が小説を書き始めた
ころ小学生でも知っているような漢字が書けなくて大恥をかいたというような話を読んだことがある。大江健三郎
も学生時代に書いた小説があって少し読んだことがあるけれども、読む方が恥ずかしくなって読めないほど稚拙な
ものだった。誰でもそういうレベルから苦労して作家になっていくのだと思う。