>>177
先生とKの倫理というのが、それぞれの死をもって成就している。
これは日露戦で美化された、塹壕に飛び込む兵士の特攻と軌を一にしている。
それを、乃木希典が子供と自身の死を引きかえにした。

そうした明治的な倫理を断ち切る〈こころ〉を追究したのが、漱石。
その意味で、明治的倫理の総決算を目指した作品ということ。

〈倫理〉はどこから来るのか?
漱石は追求してやまなかった。
そのテーマは、漱石から太宰に引き継がれたということもできる。