>>339
>プーシキンのなかに扇動家の一面を見つけるとは面白い見方だね

プーシキンはデカブリストに友人が多く
それゆえニコライ1世に睨まれて
死因である決闘も保守派から仕組まれたものだとも噂されている
だからツルゲーネフもドストエフスキーも
プーシキン文学の本質について直接的言及をあえて避けている

ただし、根っからの煽動家体質であるドストエフスキーにかかると
たとえば「未成年」のヴェルシーロフが述べている
真のコスモポリタン=真のロシアインテリゲンチャ=真のロシア人=世界の指導者
という図式がプーシキンに適用され、
混乱の極みであった当時の西欧社会の救世主のようになってしまう
もちろんプーシキン文学に酔いしれているロシア国民もその一味と再定義される

この演説を聞いた民衆が喜んだのなんの
まるで1970年代のロックコンサートのような大騒ぎになってしまった
もっともこの7か月後にドストエフスキーは急逝して
さらに2か月後には皇帝アレクサンドル2世は暗殺されてしまう
だからちょうどいいタイミングで死んだのだともいえる