そうだ、彼の方へ、彼の方をさしてその人は進んで来る。顔には

こじわのいっぱいある、やせた小柄な老人が、静かに喜ばしげに

笑っている。棺はもはやそこにはなかった。彼はゆうべ客人たち

を集めて、談話を交換した時と同じ着物をきている。顔ぜんたい

があかるい表情を帯び、眼はきらきらと輝いている。これはどう

いうわけだろう。きっとこの人もふるまいに呼ばれたに相違ない、

ガリラヤのカナの婚えんに招かれたに相違ない……