「お前はなんとしたことじゃ? ここは当分お前のおるべき場所でない。お前が俗界で偉大な修行をするように、今わしが祝福してやる。お前はまだまだ長く放浪すべき運命なのじゃ。それに妻も持たねばならぬ、きっと持たねばならぬ。

そして、ふたたびここへ来るまでは、まだまだ多くのことを堪え忍ばねばなりませんぞ。そうして、仕事もたくさんでてくることじゃろう。しかし、お前という者を信じて疑わぬから、それでわしはお前を俗界へ送るのじゃ。

お前にはキリストがついておられる。気をつけてキリストを守りなさい、そうすればキリストもお前を守って下さるであろう。
世間へ出たら、大きな悲しみを見るであろうが、その悲しみの中で、幸福になれるじゃろう。これがおまえにたいするわしの遺言じゃ。悲しみの中に幸福を求めるがよい。

働け、 たゆみなく働け。よいか、今からこの言葉を覚えておくのじゃ。なぜというに、お前とはまだこのさきも話をするけれど、わしは残りの日数ばかりでなく、時刻さえもう数えられておるからじゃ。」