>>873

たとえば中世異端審問で火刑に処せられた罪人の場合は
処刑開始当初は

「薪をくべないでくれ!」と叫んでいたのに

熾火でジワジワと嬲り殺しにするような手法下で一定の時間が経過すると

「もっと薪をくべてくれ!」懇願するようになる

人間の死に対する恐怖や生への執着なんてものは
実際の肉体的苦痛の前では脆いものなんですよ
中世」異端審問のような残虐刑は文明社会ではほとんど根絶されている
しかし、現代日本では人道主義の美名のもとに
過度の医療措置によってこれと似たような苦しみを
何の罪もない一般人が味わいながら死んでいく

古市や落合はおもに財政問題というコスト面で論じたので
磯崎のような通俗ヒューマニストの逆鱗に触れたわけだけど
終末医療における患者や家族の苦しみにかんしては
だいぶ前から言われていたことであってね
とくべつ珍しい議論でも何でもない
それこそが身体性に即した議論なんだよ
尊厳死や安楽死をめぐる議論とはそういうものであってね


ただ古市は本業が社会学だから
社会学者として政策学的に終末医療の社会的意義について言及しただけで
文芸誌の対談として妥当だったかどうかはともかく
目新しい議論でも、とんでもない発言でもない