『戦争と平和』を一緒に読もう!
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3月開始を予定しています。 当方、以前に【米川訳】で既読。 今回は【北御門訳】をメーンに、 新たに【藤沼訳】と【英訳】も参照。 先行での参加も可。 描写としては方形にじっと固まった兵士と、 乱雑で左右不揃いな皇帝とお付きの者達ののびのびとした行進を対照させるシーンか 効果的には均斉や整然だとちょっと薄れてしまうな それだと藤沼訳の、のんびりも微妙にニュアンス違うのか 「無秩序のようではあるが自律性がある」ということかな。 アメーバとか粘菌のような活動。 【英訳】の翻訳者 Larissa Volokhonsky は ロシヤ語を正確に英語に置き換えるから理解に役立つ。 第三巻読了 ピエール大活躍だが… 義勇軍とはぐれて戦場を一人ウロウロするピエール ナポレオンを暗殺しようとするがナポレオンがどこにいるのかもわからず、モスクワをウロウロするピエール レフ・トルストイ 皇帝ナポレオンをバカにし過ぎ ドイツ人もバカにし過ぎ 第四巻まで来た 第一章エレンいきなり死亡(ドラマでいうとナレ死) ピエールは生き伸びた アンドレイが死んでしまったぁぁ(;_;)/~~~ >>226 ナポレオンを支持する貴族がいたり、フランスかぶれのロシア社会の様子も書かれていて面白い ドイツの扱いはちょっと軽い感じ 新潮文庫の解説によると登場人物559人と書いてあるけど、どういうカウントしたんだろ ピエールの目の前で処刑された5人は入ってるだろうけど >>91 の馬車に乗ってた3人?の女も含むのか 【北御門訳】誤訳だか誤植だかが多すぎる。 「将官」を「将校」と間違えて「会話文」もタメ口にしている。 仕事が忙しくて、この1週間本を開くことができなかった。 レフ・トルストイ『復活』の Larissa Volokhonsky による【英訳】はないんだよね。 いつになったら出るのだろうか? レフ・トルストイはクトゥーゾフを持ち上げ過ぎ! デブのスケベ爺w 典型的な露助男だ。 アレクサンドル皇帝の目の色は「碧い」のか? 「灰色」なのか? 第3編第15章 【北御門訳】 しかしその美しい灰色の眼には依然として、…… 第3編第10章 【北御門訳】 ……、とにかく彼はその碧い眼で…… オーストリア皇帝フランツUもドスケベ絶倫男だったw 第3篇第15章 【米川訳】 ちょうど、あけはなした窓から新鮮な野の空気が、ふいに息苦しい部屋へ匂いくるように、 いま駈けてきたこの華々しい青年の群れから、青春と精力と成功の確信が、 クトゥーゾフの陰気な司令部へ流れこむのであった。 【北御門訳】 ちょうど開け放した窓から不意に新鮮な野の空気が息苦しい部屋の中へ薫ってくるように、 いま馬で駆けつけてきた華やかな若者たちの姿から、 若さと精力と成功に対する確信の気分が陰気なクトゥゾフの司令部へ流れ込んできた。 【藤沼訳】 まるで開け放した窓から急に、新鮮な野外の空気が、息苦しい部屋のなかに吹き込んだように、 駆けつけて来たこの颯爽たる若者たちから、若さと、活気と、勝利の信念が、 陰気なクトゥーゾフの本営に吹き込んだ。 【原卓也訳】 中公 新集世界の文学 p351 開け放した窓から蒸し暑い室内へふいにすがすがしい野の風が吹きこんだかのように、 馬をとばしてきた華やかなこの青年たちから、 若さとエネルギーと、成功の確信とがクトゥーゾフの陰気な司令部に吹きつけた。 【工藤精一郎訳】 新潮文庫 p526 さながら開け放された窓から、ふいに息苦しい室内へ香り高いさわやかな野の空気が流れこんできたように、 この馬をとばしてきた絢爛たる若武者たちから、若さと、活力と、勝利への確信とが、沈滞したクトゥーゾフ司令部に吹きこまれた。 As fresh air from the fields suddenly breathes through an open window into a stuffy room, so youth, energy, and certainty of success breathed upon Kutu-zov's cheerless staff as these brilliant young men galloped up. Richard Pevear and Larissa Volokhonsky これ原卓也訳じゃなくて原久一郎訳に卓也が筆を加えた訳だけどね それどうなんだろう、集英社版世界文学全集は原久一郎と共同翻訳者名になっている 異同を比べるために買うのもどうかと思ってスルーしてるけど 少なくとも中公版の翻訳について書いてあるところでは父の名は出てない ここで見る限り原卓也のが 一番磨かれてる感じがする 気になってしまったので原久一郎・原卓也訳買ってきた 中公版のは新訳かなこれは 【原卓也・原卓也訳】 ちょうど、開けはなたれた窓から新鮮な野の空気が息苦しい部屋へさっと入ってくるように、 青春と活気と成功への自信が、いま駆けてきたこのはなばなしい青年の群れから、 陰気なクトゥーゾフの参謀部へ、軽やかに流れ込んできたのである。 ミスってた 【原久一郎・原卓也】 集英社 世界文学全集 47 p354 ちょうど、開けはなたれた窓から新鮮な野の空気が息苦しい部屋へさっと入ってくるように、 青春と活気と成功への自信が、いま駆けてきたこのはなばなしい青年の群れから、 陰気なクトゥーゾフの参謀部へ、軽やかに流れ込んできたのである。 トルストイ 『戦争と平和』原久一郎・原卓也訳 集英社版 世界文学全集 一九七八年 六月二十五日発行 c1978 p533 「戦争と平和」は、昭和四八年集英社愛蔵版世界文学全集に収めるにあたって、私が、父、久一郎の翻訳のスタイルをそのまま保つよう努めた上、 現代の若い読者にも容易に理解できるよう、字句や表面の面で大幅に手を加えたのであったが、今回、さらに加筆したところが少なくない。 父はすでに故人となったため、訳文の責任はすべてわたしが負うものであり、責任の所在を明らかにする上であえて共訳としたものである。 なお、本書の翻訳にあたっては、生誕百年記念九十巻全集(一九二八―五八)の第九―一二巻をテキストとして使用した。 トルストイ 『戦争と平和』 原卓也訳 中央公論社 世界の文学新集 昭和43年5月23日初版発行 c1968 p570 この翻訳のテキストには、生誕百年を記念して刊行されたソビエト国立芸術文学出版所刊の九十巻全集第九―一二巻(一九三〇―一九三三)を用いた。 挿画は、ソビエト国立芸術文学出版所刊(一九六〇年刊行)の豪華本によった。画家はB・セローフである。 原卓也訳の方が先で 原卓也が父・原久一郎の翻訳に手を加えたのは後だった… 原卓也の読みたいけどあまりに古すぎて かわりにカラマーゾフ読んでみよ 亀山のでうんざりしてそれから読んでないので カラ兄も原卓也訳で読んだ 亀山は決定的なシーンで訳がよくなかったので あまり自分はおすすめしない 何年か前ブームになってた時 期待して読んだけど その前に何度か米川ので読んだのと違って やたらテンポがまどろっこしく感じられ 全巻買ってたので最後まで読んだけど苦痛で嫌になった 米川訳は古いけど人物の個性はうまく表現してるように思う なぜ今まで原卓也個人訳注目されて来なかったんだ トルストイスレの過去ログでも言及ないし ネットにもほぼないぞ 中公は文庫化するべきだ 新潮の原卓カラマーゾフは版を重ねてるんだし もったいない wikipediaも追加されたの6月19日だし ここのスレ住民だろうけど 情報って拡散されないとほんと広がらない 第1部第1篇第18章 「これはあなたの被保護人のしわざです。 あの小間使いにするのもいやな、 あなたの好きなドルベッカーヤ夫人です、 あの卑劣な、むしずの走るような女です。」 第1部第1篇第18章 【米川訳】 「これはあなたの被保護人のしわざです。 あの小間使いにするのもいやな、 あなたの好きなドルベッカーヤ夫人です、 あの卑劣な、むしずの走るような女です。」 第1編第21章 【北御門訳】 「それはあなたの被保護者(ごひいき)の陰謀です。 あなたのあの親愛なるドルベッカーヤ公爵夫人、 アンナ・ミハイロウナの、 私だったら小間使いにもしたくないあの胸くその悪い、 低劣な女の陰謀ですわ」 【藤沼訳】 「これはあなたが目をかけている、 あなたのお気に入りのドルベッコイ公爵夫人です。 あたしだったら女中にもしたくありませんけれどね、 あんな低級な、いやらしい女」 【北御門訳】 貴族の令嬢が「胸くその悪い」なんて下品な言葉を発することはないだろうね。 田舎者の翻訳者の会話文は感心しないものが多い。 講談社文庫の【工藤訳】『嵐が丘』もそうだ。 翻訳者は青森県出身だそうだ。 第3編第18章 【北御門訳】 彼の前方をクトゥゾフの調馬師が、馬衣を着せた何頭 かの馬を曳いて歩いていた。調馬師の後に輜重車が続き、 その後から兵隊帽に半外套を着た、足の曲がった老僕が 歩いていた。 「ティート、おいティート!」と調馬師が言った。 「何だね?」と老人は放心したような声で言った。 「ティート、麦打ちに行けよ」 「ええい、この馬鹿っ!」と老人は腹立たしげに唾を 吐きながら言った。そしてしばらく沈黙の行進が続いた 後、またしても同じ駄洒落が繰り返された。 ちょっと前に出ていたな。ということで、 第3編第12章 【北御門訳】 ……多分馭者らしい一人の声が、 ティートと呼ばれる、アンドレイ公爵もよく知っている クトゥゾフ付きの老コックを揶揄っていた。《ティート、 おいティート!》 「何だ」と老人が答えた。 「ティート、麦打ちに行けよ!」と剽軽男が言った。 「ちえっ、ふざけるなっ!」という声が聞こえたが、 やがてその声も従卒や下僕たちの哄笑にかき消されてし まった。 ざっとスレを読んだけど中村白葉訳ってそんなに酷いのか。 河出のトルストイ全集は中村白葉と中村融の親子訳(?)だよね。 で、何が「駄洒落」か解らない。 【英訳】はたぶん意訳。「訳注」はない。 そこで、 【藤沼訳】 第1部第3篇第13章「割注 」 チートという怠け者が少しも働かずに、飯を作ることだけに熱心だったとい う古くからの笑い話をもとにして、同名で料理人のチートをからかったもの 複数の翻訳を読み比べないとなんともいえない。 『イワンの馬鹿』(岩波文庫)は悪くはなかった。 【北御門訳】は「アマチュアの翻訳」のような気がしてきた。 【原卓也訳】 中公 新集世界の文学 p98 第1部第1編第21章 これはあなたが目をかけてらっしゃる、あのドルベツカーヤ夫人のしわざですわ。 あんな卑しい、けがらわしい女、あたくしなら女中にするのさえいやですけど 【原卓也訳】 中公 新集世界の文学 p337 第1部第3編12章 クトゥーゾフの中庭では、荷造りする従卒たちの声がしていた。 アンドレイ公爵も知っている、チートという名の、年とったクトゥーゾフ専用のコックをからかう、 御者のものと思われる声が言った。 「チート、おい、チートったら?」 「なんだい?」老人が答えた。 「チート、麦打ちに行きな」剽軽者が言った。 「ちぇ、くそくらえだ」という声がしたが、その声は従卒や召使の哄笑にかき消された。 翻訳するなら藤沼訳のように訳注を入れて処理するか 原卓訳のように駄洒落の効果を一つ落とすか 英訳のように意訳するかどれか選ぶだろうから その点では確かに北御門訳の処理はちょっとダメだね 河出文学全集の中村白葉訳最近一冊100円で売ってるのどっかで見たけど スルーしてしまったな 戦争と平和だけそんな持ってても仕方ないし…と まあ今度見かけたらチェックしてみるか 第1部第3篇第19章 【米川訳】 ▲兵士らはアンドレイ公爵を運んでくる途中、 妹のマリヤが首にかけた金の聖像が眼に入ったので、 そっととりはずしておいたが、捕虜にたいする皇帝の優しい態度を見ると、 急いでその聖像をもとへ戻した。 ▲アンドレイ公爵は、誰がどうしてかけてくれたか気づかなかったが、 思いがけなくも、軍服の上から細い金の鎖のついた聖像がかかっていた。 第1部第1篇第24章 【米川訳】 ▲……、彼女は楕円形の古い救世主の像を、荘重な手つきで両手に捧げつつ、 兄の前へさし出した。黒い顔をした救世主は銀の衣を着て、 細かい細工をほどこした銀の鎖につるされてあった。 第3編第19章 【北御門訳】 ▲アンドレイ公爵を運んで来る途中、 公爵令嬢マーリヤが兄に掛けてやった金の聖像を見てそれを取り上げていた兵士たちは、 捕虜たちに対する皇帝の優しい態度を見て、急いでそれをもとへ戻した。 第1編第28章 【北御門訳】 ▲……、楕円形の古い救世主の像をうやうやしく両手に捧げて、兄の前に差し出した。 その像は黒い顔をして、銀の衣を纏い、こまかい細工をした銀の鎖に吊るされていた。 第1部第3篇第19章 【藤沼訳】 ▲アンドレイを運んで来て、マリアが兄の首にかけた金の聖像にふと目をつけ、 首からはずして取ってしまった兵隊たちは、 皇帝が捕虜に対するときに示した親切さを見て、あわてて聖像を返した。 ▲アンドレイは、だれが、どんなふうにしてまた聖像を自分にかけてくれたのか見えなかったが、 ふいに軍服の上の胸に、小さな金の鎖のついた聖像がのっているのに気づいた。 第1部第1篇第25章 【藤沼訳】 ▲……彼女はこまかい細工の銀の飾りと銀の鎖のついた、 卵形の古い由緒ある黒い顔の小さな救世主の聖像を、 おごそかな手つきで兄の前に両手で捧げ持って、 興奮にふるえる声で言った。 >>273 訂正 ×第1部第1篇第24章 ○第1部第1篇第25章 「金の鎖」か「銀の鎖」か、 はっきりしてもらいたいものだ! 【英訳】はのちほど。 >>277 こんだけ翻訳で一致してるんだから トルストイの間違いでしょう 【ロシヤ語原文】を見たら、翻訳に間違いはない。 レフ・トルストイの勘違いだった。 翻訳者は読者に注意喚起すべきだ。 【英訳】も【和訳】と同様、【ロシヤ語原文】に忠実。 第四巻第四部まで読了 長々話が続き、何人も死んでしまったがピエール、ナターシャが相思相愛になるところで一区切り。 ピエールが味わう幸福感の下りはこちらも感慨深く読みました。 ピエールとアンドレイは親友だったっけ。あちこち忘れてしまっている。 ナターシャは最初に会ったときから、ピエールに好意的だった。 トルストイの間違いで言うと『イワンイリイチ』の時間に関する矛盾がよく取り上げられるね。 エピローグまで読了 ピエールの成長物語であったか 作者が歴史についてあれこれ語る部分は評判が悪いようだが、書かずにはいられなかったのかなと思った 中村白葉訳買ってきた 河出のカレッジ版世界名作全集の1巻だけあった 1巻の巻末に詳しい書誌情報あるかと思ったら載ってなかった。 だからトルストイ全集版との違いも個人訳なのか共同訳なのかが分からない とりあえず既存箇所 >>27 【中村白葉訳】 『戦争と平和』 河出書房 カレッジ版世界名作全集9 第1部 第1篇 第1章 p12 「〈どうかこの話をまとめてください。そしたらわたくしは永久にあなたの〉こよなく忠実なラーブ(奴隷)になります。 〈もっとも、わたくしの領地の百姓頭が報告を書く時にはいつでもラープですがね〉その娘さんなら、家柄はいいしお金持ちだし。 わたくしに必要なものはぜんぶそろっていますからね」 >>35 p13 若い公爵夫人ボルコンスカヤは、金糸で刺繍したびろうどの袋に編み物を入れてやって来た。 >>41 第1巻 第1編 第7章 P34 公爵夫人がはいってきた。彼女はもうべつな部屋着に着かえていたが、 それもおなじように優美で、清新なものであった。 >>47 第1巻 第1編 第8章 p38 ナプキンから銀製品、陶器、玻璃器類にいたるいっさいのものが、 若い夫婦によく見られる特殊な新しさの刻印を帯びていた。 【中村白葉訳】 『戦争と平和』 河出書房 カレッジ版世界名作全集9 >>89-93 第1巻 第2編 第7章 p183 羽ぶとんの上には、乳のみ子を抱いた女と、老婆と、若い、紫色にみえるほど赤い頬をした、 健康そうなドイツ娘とがすわっていた。 >>94-95 第1巻 第2編 第8章 p187 単調で複雑な顔を持った全中隊をあげて >>126 つまり、事を決するのはきみがたの〈ジュレスタイン(クレームス近くの山の名)の小ぜりあいの力〉でなく、 つまり一般に火薬の力でなく、それを発明した者なんだからね 【中村白葉訳】 『戦争と平和』 河出書房 カレッジ版世界名作全集9 >>197-198 ,201 第1巻 第1編 第4章 p20 ボルコンスキイ公爵は、あまり背の高くない、目鼻立ちのかっきりしてかわいたような感じの、 みずぎわだって美しい青年であった。 >>208-210 ,214,217 第1巻 第3編 第8章 p319 これらの声の恐ろしい、耳を聾する音響に包まれ、 四辺形のまま化石でもしたようにじっと動かぬ軍隊の大集団のただ中を、 無造作に、しかし均整を保ちつつ、そしてもっともおもなことは、自由に、 何百という騎馬の扈従が動いて来、その先頭に二人の人 ――両皇帝が、馬を進めていた。 >>237 ,240-241 第1巻 第3編 15章 p358 ちょうど、あけはなった窓から急に新鮮な野の空気が、息苦しい部屋へにおって来でもしたように、 この急に駆けつけて来たかがやかしい青年の一群から、陰気なクトゥーゾフの司令部へ、 若さと、精力と、成功の確信がにおってきた。 【中村白葉訳】 『戦争と平和』 河出書房 カレッジ版世界名作全集9 >>257-260 ,269 第1巻 第1編 第21章 p101 「これはあなたの〈被保護人〉のしわざですわ、 あなたのお好きなドルベツカーヤ公爵夫人、アンナ・ミハイローヴナのしわざですわ、 あの、わたくしなら小間使いにするのもいやなような、あの卑劣な、けがらわしい女」 >>262-263 ,269 第1巻 第3編 第18章 p374 彼の前をクトゥーゾフの調馬師が、 何頭もの馬衣をつけた馬を引いて歩いていた。 調馬師のあとから一両の軍用車が進み、そのあとには、 軍帽に半外套姿の、足のまがった老僕が歩いていた。 「ティート、おい、ティート!」と調馬師が言った。 「なんだね?」と老人は、放心したような調子で答えた。 「ティート!麦打ちに行けや」 「ええ、ばかめ、ちぇっ」腹だたしげにぷっと唾をはいて、老人は言った。 黙々たる行進が続いて、また同じ戯れがくり返された。 北御門訳は中村白葉訳を参考にしてるのか 語彙と並べ方が似てる箇所がある 【中村白葉訳】 『戦争と平和』 河出書房 カレッジ版世界名作全集9 >>263 ,269 第1巻、第3編、第12章 p344 クトゥーゾフの庭では、荷造りしている従卒たちの話声が聞こえていた、 ひとつの声――アンドレイ公爵も知っているティートという老人のコックをからかっている、 たぶん御者らしい声が、こう言っていた―― 「ティート、おい、ティート?」 「うん」と老人は答える。 「ティート、麦打ちに行けや」と剽軽者は言う。 「ちょっ、畜生め」こういう声は、従卒や下男たちの哄笑に包まれて、聞こえた。 鈴木悦という左翼運動家が『戦争と平和』を訳しているようですが、読んだ人いますか? 本日復帰 【北御門訳】 訳し漏れの箇所が結構ある。 【英訳】 疑問訳あり。 【ロシヤ語原文】では「帆立」なのに【英訳】では「鶏冠」になっている。 「銀の鎖」「金の鎖」 レフ・トルストイはわかっていて使い分けたのではないのだろうか。 小説家は「言葉」という絵の具で絵を描く。 敬虔な妹が兄にわたす場面では「銀」でなければならない。 フランス軍兵士は「金の鎖」が目について掠めとる。 「金」「銀」の違いに気づく読者なら、それくらいわかるだろう。 【中村白葉訳】も悪くない。 【北御門訳】も悪くはないんだが、会話文の翻訳がよくない。 第2部第1篇第15章 【米川訳】 その音はどんな人でも同じ間をおいて、同じ音程に発しうるものであったが、 しかし、それは千度は人をひやりとさせても、 千一回目にはふるいつきたいほど人を感動させたり、 涙さえ催させたりするような種類のものであった。 第4編第15章 【北御門訳】 その音は、どんな人でも同じテンポで同じ時間出すことができるものであったが、 その音も多くの場合冷淡に聞き流され、人々を感動に震えさせたり、 涙を流させたりする歌い手は千人中一人と言っていいくらいだった。 第2部第1篇第15章 【藤沼訳】 その音は同じ音長を保って、同じ間合いで、だれでもが出すことのできるものだったが、 千回は人を冷ややかな気持のままにしておくのに、千一回目には戦慄させ、 泣き出させてしまうような音だったのだ。 >>299 北御門は他の二人と 根本的に意味が違っているような… 第2部第1篇第15章 【原卓也訳】 中公 新集世界の文学 p437 微笑をかたちづくった口から流れ出る声音は、 だれもが同じ間隔、同じ音程で発しうるものであったはあったが、 しかし、聞く者を千回も無関心のままおいておきながら、 千一回目には戦慄させ、感泣させるような声音だった。 第2部第1篇第15章 【中村白葉訳】 河出書房 カレッジ版世界名作全集9 p445 微笑にたたまれたような口からは音声が── だれもが同じ間をおき、同じ時間をおいて発しうるものではあるが、 しかし千たびまで人をひやりとさせ、 千一回目にはじめて戦慄させたり、涙を催させたりするような声音が、 流れ出すのであった。 ついでに 【島村抱月, 鈴木悦共訳】 全譯 戦争と平和 目黒分店 p623 そして、その微笑を含んでゐる口からは、 音調が注ぎ出された── それは誰にでも同じ音程を出すことが出来、 時の同じ長さの間續けることが出来るが、 併し千度それを聴いても平氣でゐられ、千一度目に 吾々の胸を慄かせ、泣き出させるといふやうな音調であった。 抽出した文章を含む段落をよく読むと、 【北御門訳】が正しい解釈だと思われる。 【工藤訳】はどうなんですか? 「4万3000ルーブリ」という金額は現在の貨幣価値ではどのくらいなのだろうか? 【藤沼訳】第1分冊では「4億3000万円」ないし「4300万円」だそうだが。 イミフなんだけれど、金貨と紙幣じゃ価値が異なるみたい。 『カラマーゾフ』とは話の規模が違うね! 『白痴』の貴族連中と『戦争と平和』の貴族連中とでは 雰囲気がちょっと違う気がする。 「カラマーゾフ家」も一応「貴族階級」なんだよね。 『スペードの女王』を読んだとき、描写された建物内部の雰囲気から ルブランの『アルセーヌ・ルパン』諸作品の雰囲気を連想した。 ロストフ若伯爵の「4万3000ルーブリ負け」はプーシキンのパクリだよね。 【工藤精一郎訳】 新潮文庫 第2巻 第1部 第15章 p98 それは同じ間と、同じ音程で、だれもが発することのできる声だが、 千度聞いてもなんの感興もわかぬものが、 千一度目には胸をゆすぶり、感動の涙を流させるような、 そうした声音であった。 【Richard Pevear and Larissa Volokhonsky訳】 sounds that anyone can produce for the same lengths of time, at the same intervals, but which leave one cold a thousand times, then for the thousand and first time make one tremble and weep. >>306 加賀乙彦が「ドストエフスキーは地主階級の出身だから貴族の描写はだいたい想像(そのかわり都会の庶民の描写はリアル)、トルストイは実際の伯爵だから貴族や荘園の農民の描写はリアル」みたいな事を講演で言ってた 集英社新書のドストエフスキーを語るやつに出てた 1人か? 2人か? 3人か? 考えていたら1週間が過ぎた。 第2部第2篇第1章 【米川訳】 第1段落 「トランクを入れておきましょうか? お床は? お茶はいかがでございます?」と 侍僕がたずねた。 第3段落 駅長、その妻、侍僕、…… 第6段落 侍僕は半分ページを切ってある…… 第5編第1章 【北御門訳】 第1段落 「トランクを運び込んでおきましょうか? ベッドは? それにお茶はいかがでしょうか?」と 下僕がたずねた。 第3段落 駅長や、その妻や、侍僕や、…… 第6段落 侍僕は半分ページを切ってある、…… 第2部第2篇第1章 【藤沼訳】 第1段落 「トランクを持ってまいりましょうか? 床をお延べいたしましょうか、お茶はいかがで?」 側仕えがたずねた。 第3段落 駅長、駅長の女房、側仕え、…… 第6段落 召使いがピエールに、…… 【英訳】 @ his valet B the valet E His servant 【ロシヤ語原文】 @ камердинер B камердинер E Слуга 米川は3箇所とも同一人物と考えたのだろうか。 同一人物ではないとしても、【ロシヤ語原文】3番目の単語の違いは 言い換えだと解釈したのだろうか。 北御門は最初と2番目は異なる人物と解釈したと思う。 「下僕」と「侍僕」か。 【ロシヤ語原文】を反映していない。 藤沼は【英訳】に似ている。 「側仕え」と「召使い」の違いって? 最初と2番目は駅長の部下だと思う。 3番目はピエールの「召使い」。 第2部第2篇第10章冒頭 【米川訳】 フリーメーソンへ入会してからまもなく、ピエールは自分の領地でなすべき仕事に関し、 詳しい指導の書付けをもらって、自家所属の百姓の大部分が住んでいる、 キーエフ県へ出かけたのである。 第5編第10章冒頭 【北御門訳】 共済組合へ入会して間もなく、 ピエールは自分の領地でなすべき仕事に関するこまごました指示の書きつけをもらって、 自家の百姓の大部分が住んでいるキーエフ県へ赴いた。 第2部第2篇第10章冒頭 【藤沼訳】 フリーメーソン団体に入会を許されてからまもなく、ピエールは領地でするべきことを、 彼自身が自分のために書いた充実した指針を持って、 彼の所有する農民の大半がいるキエフ県に出かけた。 【英訳】 Soon after he was received into the brotherhood of the Masons, Pierre left for the province of Kiev, where the greater part of his peasants were, with a full set of instructions he had written out for himself about what he was to do on his estates. 【ロシヤ語原文】に近いのは【北御門訳】と【英訳】。 【訂正】 >>319 ×【ロシヤ語原文】に近いのは【北御門訳】と【英訳】。 ○【ロシヤ語原文】に近いのは【藤沼訳】と【英訳】。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
read.cgi ver 07.5.4 2024/05/19 Walang Kapalit ★ | Donguri System Team 5ちゃんねる