0299吾輩は名無しである
2019/07/14(日) 12:12:02.26ID:ITybAhuS【米川訳】
その音はどんな人でも同じ間をおいて、同じ音程に発しうるものであったが、
しかし、それは千度は人をひやりとさせても、
千一回目にはふるいつきたいほど人を感動させたり、
涙さえ催させたりするような種類のものであった。
第4編第15章
【北御門訳】
その音は、どんな人でも同じテンポで同じ時間出すことができるものであったが、
その音も多くの場合冷淡に聞き流され、人々を感動に震えさせたり、
涙を流させたりする歌い手は千人中一人と言っていいくらいだった。
第2部第1篇第15章
【藤沼訳】
その音は同じ音長を保って、同じ間合いで、だれでもが出すことのできるものだったが、
千回は人を冷ややかな気持のままにしておくのに、千一回目には戦慄させ、
泣き出させてしまうような音だったのだ。