ハスミンがやったことは両義的で、それまであった芸術派、教条的な左翼映画観や、ハスミンに言わせると不十分な映画史的知識に基づいた映画史観的映画論、それらに対しては本人としては正しい映画史的知識とフローベールとか当時のフランス現代哲学の手法を織り込んだ理論を突きつけて、
一方では難しい哲学書を読むのはかったるいけど、映画を見て語るのはなにやら哲学的でかっこいいと、立教の地方出の少年たちに代表されるような当時のトンガリたい若者たちに思わせた
お芸術としての映画とポップでカウンターとしての映画という一見対立するような立場を両面で確立した
どちらも根っ子にあるのは映画を見るのは気持ちいい、快楽だ、というのがその姿勢からほの見えたからあれだけ受けた