tenjuu99(天重誠二)
日本の近代絵画のケースについて考えているけど、そこでの近代化は制度的に芸術を受けいれることだった。それで美術大学と画
壇が形成された。その流れと独立に江戸絵画の流れがあり、これは職人的な前近代的世界だけど、はっきり自律性をもったもの
で、完成度も高い。
漱石の内発的、外発的という話でいえば、制度的な芸術というのは外発的なものだけど、かといってではこの職人的絵画の世界に
「内発的」発展なるものがあったかというと、無いとおもう。師弟関係のなかで、それぞれ独立した優れた画家が生まれてきただ
けだ。漱石の「内発的」発展こそが近代化なんだというのは、まさしくドグマであって、これは「まともに近代化していない」論
の原型をなしているとおもう。
2023/06/29