小説「日系日本人」

これは何も、彼が民族主義ないし国家主義に目覚めたというわけではない。
彼は自身の国籍が日本国籍であるということと、自身の人種がアジア人であるということが、日本人だらけの日本では全く意識する必要のないこの特徴が、自分の住むこの世界で実はさほど無視できないことなのではないかと考えたのである。