今どきの作家の語学力について
原文にあたるのは研究者だけでいいよ。極論いえば作家に語学力は不要 文豪の翻訳力―近現代日本の作家翻訳 谷崎潤一郎から村上春樹まで
井上 健【著】
武田ランダムハウスジャパン(2011/08発売)
序論(一)作家翻訳をいかに問題とすべきか
1 作家の翻訳という場
2 翻訳文学を先導するものとしての作家翻訳――再読『洛中書問』
3 作家翻訳と創造性の問題
4 翻訳学の展開と翻訳文学研究の課題
序論(二)戦後翻訳史の転回点と作家=翻訳家村上春樹の出発――1972−1982
1 戦後翻訳文学史における六〇年代と七〇年代
2 村上春樹のフィッツジェラルド体験
第二章 大正作家の翻訳
1 外国語と母語との間で:大正作家の翻訳
2 谷崎潤一郎訳トマス・ハーディー
3 佐藤春夫訳エドガー・アラン・ポー
4 芥川龍之介訳テオフィール・ゴーティエ
第三章 翻訳者としての詩人たち
1 「方便」としての翻訳――三好達治の翻訳
2 逐語訳から本歌取りとしての翻訳へ――立原道造訳テーオドール・シュトルム
3 ファンタジーを訳すには――堀口大学の訳業
第四章 戦後作家は何を訳そうとしたのか
1 幻想の叙法――中村真一郎訳ジェラール・ド・ネルヴァル
2 悪夢を訳す――長谷川四郎訳フランツ・カフカ
3 瑞々しくもしたたかな語りを訳す――三浦朱門訳ウイリアム・サロイヤン
4 音楽の予感――古井由吉訳ローベルト・ムージル
5 短篇小説翻訳作法――吉行淳之介訳ヘンリー・ミラー
6 「声」の再生――富岡多恵子訳ガートルード・スタイン
7 字幕から翻訳へ――池澤夏樹と世界文学
8 アンチヒーローの系譜を訳す――小島信夫訳バーナード・マラマッド
9 人称代名詞の間に――野坂昭如訳トルーマン・カポーティ 東アジア人だから、多言語を読み書きできる人は少ないんじゃ?