書物は汚して読むもの、でしょう。
カバーをはいで、印をつけたり線を引いて、
読んでいる最中の思いついたこと、出来事、メモを余白に書き込むことで、
そのときの自分が生きた証が、その本に刻まれる。
汚さないよう壊さないよう気をつけながら読んで何になるのか?貴重な本はもちろん別ではあるけれど。
食物はよく咀嚼して、自分の唾液を絡ませて噛まないと、栄養にならない。

電子機器は壊さないように気をつけないといけない。
でも本は、紙は、そうじゃなくていいはずだ。
なにをやるにしても腫れ物に触るような正確さを求められる、窮屈な時代。
紙に触れて、汚して、甘えて、自由な世界へ解放しよう。
古今東西の書物には、あらゆる精神の滋養が、無尽蔵に潜んでいる。よく咀嚼して、とりこもう。