0364吾輩は名無しである
2022/06/15(水) 08:46:41.15ID:qAK0sR1Hいろんなものを書いていて、総なで斬りを一度やってみたいんだろうけどもね。
大江 ぼくはそれをやったほうがいいと思いますけれどもね。
山口 しかし、彼の知のディスプレイが、支配のための知というふうなところがあるでしょう。批判するものを活かすような批判の仕方が彼はできないの。
林 藤枝[静男]君とか、大岡[昇平]君の褒め方でもあれじゃ納得しないな。ぼくはいい気になって、小林秀雄からずっとやられてきて、高橋英夫にいたって、君やられているじゃないかといったら、その次の号を見たらぼくがやられている。人の好い人らしいね。
文体というよりも、なんかちょっとこなれが悪いようなところがありますね。ぼくはわりにあの人のものを読むんだけれども、しんどいな。
非常にムラがある人なの。そしていろいろ非常によく読んで批評しているかと思うと、なんか断簡零墨か、ちょっとしたものを読んですぐ反射的にやっつけるとかね。
大江 わが国の作家というもの、ぼくなんかもそうですけれどもね、だいたいそういうふうにやっていますよ(笑)。
林 作家はむしろいいんですよ、いいけれども、彼なんかやはり批評家だからな、それはやっぱり。相手の立場とか、考えをグローバルに批評している中に、ヒョッとそういうものが出たりするところがありますね。あれがいけないな。それならその調子で相手に取っ組んでものを言わなくちゃ、そういう軽いところがあるな。
でも頭はいいな、一種のよさを持っていますね。あの難しい『テル・ケル』とか、ああいうのを読みこなすんだからもうかなわないよ(笑)。