小倉不逞日乗
2015.05.23 Saturday
author : 老岡田純良
久々の気になる本――まとまり無し。

 「宿敵関係にあった江藤淳と大江健三郎――。二人の文学者の履歴が同時並行的に進む」
 「『同年、江藤は……』『その頃、大江は……』といった具合にシャッフルしながら」
 「それだけではない。著者自身の履歴や読書史も随時混入されてゆく」
 「一般的な伝記のスタンスとはだいぶ異なる。インタレストの対象に『私』も含まれる」
 小谷野敦の自己撞着には日本人の私小説らしさがある。谷崎潤一郎や川端康成の評伝を綴
りつつ、その中に拭い難い執拗さで自分自身を塗り込めて行く。好悪などは別にして、やは
りそれが面白い。
 面白いのは評者に加わった大澤聡(1978-)。その目線は、こちらと合う。楽しみな人だ。
大澤聡は、ここで小谷野敦の本篇だけでなく、その活動の総体を含めての新しい私小説創作
と言っている。これはその通りだと想う。
 先日当地に降臨ましまして「相手を間違えた下らん妄言」を書き残した小谷野敦センセイ。
その内、自著には俺の悪口でも書いて呉れると嬉しいのだけれど。鳥井賀句センセイのよう
に。

コメント
自己撞着って自家撞着のことか? 返事もできないキチガイが。
| 小谷野敦 | 2015/05/26