『美徳のよろめき』『午後の曳航』は三島の観念のみでこしらえた空疎な駄作だが、『愛の渇き』はモーリアックの『テレーズ・デスケルー』を換骨奪胎し、三島の感覚で戦後日本に蘇らせた傑作