>>588
崇徳院のドロドロとした怨念と情念が燃え上がる「白峯」も好きだったみたいだね。
三島は人間の持つ純粋志向、言行一致の美学に魅せられていて、体面の為なら狂死も是とする「葉隠」にも惹かれていた。最後まで鍋島藩の侍の手引きを手元に読み返していた。
死が身近にあってこそ生が輝く事を知っていた。
「戦争の時代、明日死ぬかもしれない世界が妙に幸福に思える時があった」と話しており、
終戦後の生への倦怠感、拍子抜けは最後まで三島の心を満たさなかった。
リルケの様に若くして純粋に美しく死にたかったけど、生き長らえ戦後の昭和を駆け抜けて美学に殉じて自死した。
女性と情死した太宰も死ぬ事を利用する作家だったが、向き合い方がまるで違う。