>>540
 いろいろな要素があるけど一本の話として見えづらい感じかなあ。

 母を奪った集団の親玉に恋をするというきっかけだけを見れば、まあアリですね。
 しかしこのきっかけが駆動するのは、許されん恋やわー的な物語である気がします。
・主人公を抑圧する外的な規範が恋を許さないというパターン。「あなたはどうしてロミオなの?」
・主人公を律する内的な規範が恋を許さないというパターン。「尼寺へ行け!」
 だいたいどっちかになると思われ。
 でも今回のストーリーを見ると、別にそういうのではなさそうだし。
 親玉に恋をするのはミイム召喚のきっかけにすぎないわけで。
 
 本の存在も同様です。
 母を奪われ、父が旅に出て、そして思わせぶりな手紙と一緒に本を送ってくる──
 という展開からは、
「父が母を取り戻そうとして戦っており、本はそのカギになる」
 などの対立関係が予期されます。
 でもそういう話は始まらないわけで。
 これもやっぱりミイム召喚の理由付けのためにある設定に見えます。

 そしてノイズが出てくるわけですが。
 ノイズのエピソードでわかるのは、ノイズには謎があり香奈の本に関係しているかもしれないということ。
 以下次号!みたいな。

 つまりいくつも新しい話の種がぶっこんであるように見えるんですね。
 でもどの話も本格的に始まってないように読めるので、よくわからないなあという印象になるんだと思います。
 
 これは1つの話として考えたとき、どういう話になるんでしょうか。
「○○な状況にある主人公が××することを通して△△になる話」
 というような一文ぐらいに凝縮したストーリー(いわゆるログライン、プレミス)に戻ってみたときどうなるかということですね。
 概要にある内容をプレミスっぽく書くなら、

 憧れの人に近づけずに満たされない思いを抱えている主人公が、
 憧れの人そっくりの少女を作り出し、
 その少女とのかかわりを通して本当に自分に欠けていたものを克服する話。

 とでもなるんでしょうか。あくまでも一例として。
 これだったら、憧れの人は母を連れて行った教祖じゃなくてアイドルとか学園一の美少女とかでもいいでしょう。
 なにかしら主人公の欠陥に関係する人であればいいんですから。
 で、ノイズもまあいらない子になりそうですよね。
 でもそういう話がやりたいのかなあ。そうでもないような気も。