>>894

冒頭として、いい感じじゃないですか。文字数は原稿用紙換算で29枚ほど。第一章にしちゃ長いかもしれません。
しかし、きちんとツカミがある。単発でなく、ポンポンとタイミングよくイベントを繰り出してますね。

1.賞金稼ぎの主人公が山中で賞金首(ポイズナー)と戦う。
2.突如、ヒロインが現れて横取りするや否や、なぜか問答無用で主人公にバトルを仕掛ける。
4.主人公、特異体質により勝利すると、ヒロインがポイズナーであると告白、相棒を志願する。
5.ヒロイン、シャワーのサービスシーンかと思いきや、胸を麻酔なしで自分で縫う豪胆なシーン。
6.二人で別の賞金首とバトル。

これだけ詰め込んであるせいか、展開がテンポよく、速いのでさしたるブラバポイントがない。しかも詰め込み過ぎの感じはしません。
ですので、期待できる作品になりそうです。良い、ではなく、期待できる、なのは、以下の難点が感じられるからです。

テンポがいいと申し上げましたが、出だし(「俺、キース」〜「知ることができる。」)はインパクトもスピードもありません。
自己紹介やターゲットに関する説明だけですので。そんなことは後回しでよく、出だしは危険な敵がいることさえ分かれば充分。
例えば、その次の台詞「お馬鹿さんがまた一匹死ぬために来たのか」から始められないか、検討の価値があると思います。

文章もテンポの悪いものが散見されます。段取りが良すぎたり、地の文と台詞が重複して冗長になっていたり。
例えば、接続詞(「すると」など)は書かなくても通じるなら削るべき。「その/それ/etc」も極力控えるべき。
台詞と地の文の重複は例えば以下。

>  耐えたんじゃない、吸収したんだ。俺の能力は魔鎧だけじゃない、俺の身体はどういうわけか炎や熱を吸収して自分の活力に変えてしまうのだ、
> それがどんなに大きな炎であろうと、どんな形の熱だろうと俺にとっては栄養に過ぎない。
> 「聞いて驚くな、耐えたんじゃなくて吸収したんだ!」

ここは地の文がほぼ不要になっていると思います。台詞により、このシーンで必要な情報はほぼ出ていますので。
長い地の文で会話がぶった切られるのも問題ですが、地の文を読んでいるとき、読者的には主観時間の経過を感じてしまいます。
上記シーンでは、多少間が空いても大丈夫ではあるんですが、その前段でバトルが進んでいるシーンはもたつき過ぎです。

01> 「いいえ、冗談じゃないわよ!」
02>  少女は手に炎を集め、俺の方に向かって放つ。
03> 躊躇なく攻撃してくることからして本当にポイズナーらしい。
04> 「安心しなさい、死なないようには手加減してあるわ!」
05>  回避なんて出来ない、そう思うぐらいの大きな炎に俺の身体は包まれる、
06> 確かに炎の威力は控えめだったが、大きさに関して言えばどう考えても手加減していない。
07> だが俺の場合、むしろ手加減してない方が嬉しいと言えるだろう。
08> 「嘘でしょ!炎に耐えるなんて!」

01でヒロインが戦闘開始宣言し、攻撃が02で描写されています。もう炎が放たれたことがイメージされますね。
しかし、03で主人公の推測が語られてしまう。地の文の存在による読者の主観時間だけでなく、主人公の思考時間も感じてしまうわけです。
04は、主人公に攻撃がヒットしたと見たヒロインを感じさせますね。ここは素早さが出ていて、いい感じです。

ところが、05で主人公が回避不可と判断し、理由として炎の大きさをあげている。さらに「包まれた」と言ってますね。
主観時間経過が長いだけでなく、、05で炎が主人公に接近し、ヒットしたと語られているわけです。
これは、先の04での印象と齟齬し、04ではヒロインは放った炎が主人公にヒットする前に、安心させたと解釈しなおすことになります。
イメージの作り直しになるわけですね。これは主観時間経過だけでなく、二度手間の徒労も感じてしまいます。
(※ 上記はわざと誤読した面がありますが、そういう取り方になる可能性を示すためですので、ご容赦ください。)

例えば、以下のようにする手もあると思います(急造のラフですので、長さの例だけのものでしかありません)。

> 「いいえ、冗談じゃないわよ!」
>  少女はさっと手に炎を集めるや、俺に放った。
> 「安心しなさい、死なないようには手加減、って嘘でしょ! 炎に耐えるなんて!」
>  俺はニヤリとして言ってやる。
> 「耐えた? 違うな、吸収したんだよ」