「ローゼマイン、私は父上と約束した。ジルヴェスターをアウブとし、私はその補佐としてエーレンフェストに尽くす、と。
私は父上との最後の約束を破る気はないのだ。この手でジルヴェスターを排してアウブ・エーレンフェストになるくらいならば、
アーレンスバッハに婿入りした方がよほど良い。だから、アウブ・エーレンフェストになれば逃れる道があったことは決して言うな」

どれだけ父親との思い出と約束を大事にしているのかわかって、わたしは神官長を引き留める言葉を出せなくなった。

「神官長が本当に守りたいのは、お父様との約束なのですね?」
「……そうだ。本当の家族との約束を大事にしている君ならば、少しは私の気持ちが理解できよう」