安価・お題で短編小説を書こう!2
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安価お題で短編を書くスレです。
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■前スレ
安価・お題で短編小説を書こう!
http://mevius.2ch.net/test/read.cgi/bookall/1508249417/ すみません…
次のお題『目薬』『マンション』『盾』『宇宙』『金メダル』
締め切りは2月25日 22時です… テスト
コテだけ今維持して次回から俺がってかんじで ありがとうございます、では僭越ながら今週の〆までは努めさせていただきます >>559
今まで乙でした。2スレ目に行くほど盛況になったのも進行さんのおかげだよ! ありがとう!
>>558
次回からよろしくお願いします
たまに参加するくらいで基本的にROMで申し訳ないけどチェックはずっとしてます >>559
進行氏、いい司会だったぜ
スレの動向を誰より気にかける君が皆を引っ張って、数々の名作を生んできたね
それだけに気を揉むことが多くて大変だったね
大丈夫かと何度か聞いたけど気丈に答える君の負担を肌で感じつつも、書き込みで返そうと思ってきた
このスレの楽しさは君が成し遂げたものです
胸を張ってください
おつかれさま!!
司会を降りたら今度は君も挑戦者だぜ、気兼ねなく遊ぼう
>>558
よろしく!
一番、自分が楽な集計スタイルで仕切ってw あわわ涙でスレが見えない…
きっと新しい進行さんならもっと盛り上げてくれるでしょう、活躍に期待します! >>559
お疲れ様です
今まで有り難うございました
最後のお務め、頑張って下さい
使用お題:『目薬』『マンション』『盾』『宇宙』『金メダル』
【アスリーーーート!!!!】(1/2)
ギシ……ギシ……
「952、953、954、955……」
打ちっぱなしのコンクリート壁の室内。数々のトレーニングマシンが置いてある。
その中の1つ、体に負荷をかけるマシンを使い、狭田はハンドグリップを握り込みながらスクワットを繰り返していた。
壁を見れば、様々な賞状が飾られ、その下のサイドボードには優勝カップ、トロフィー、盾等が無造作に置いてある。
「……997、998、999、1000!」
裸電球に照らされた狭田の肌は上気し汗で濡れ、ある種の艶を放って見えた。
マシンの脇に置いてあったスポーツドリンクを一口飲み、ジッと手を見る。
今度こそ……そんな思いで、かつて掴めなかった栄光。黄金のメダルを幻視し、それを握り込んだ。
******
人類が宇宙へと生活圏を広げ、既に半世紀が過ぎていた。
テラフォーミングされた惑星や衛星、ラグランジュポイントやアステロイドベルトの宇宙ステーション等、人々はあらゆる場所へと進出したが、しかしそれでも人の営みは変わらなかった。
──── 火星 ────
オリンポス山の麓に造られた競技場で、各国の選手が体を動かしている。
宇宙オリンピック……ユニバーサル標準時間で4年に一度行われるスポーツの祭典。狭田はその選手の一人として大会に臨んでいた。
これまで国内、国外、ステーション別での大会に於いて、何度も優勝を収めて来た彼であるが、4年前のオリンピックではパートナーに恵まれず、出場が叶わなかったのだ。
彼の出場する競技……“エクストリーム点眼”は、21世紀初頭から広まったエクストリーム系スポーツの派生であり、いかに困難な状況で目薬をさすかを競うスポーツである。
その中で、彼が行っているのはダブルスであり、パートナーとの連係が重要なのだが、しかし4年前の大会では、彼のパートナーだった古市に直前になってタッグの解消をされてしまった為、出場を断念せざるを得なかったのだ。 【アスリーーーート!!!!】(2/2)
「狭田さん、やっぱり緊張しますね」
新たにパートナーとなった根岸が、そう声を掛ける。
「そうだな、だが、国の威信を背負っている以上、負ける訳には行かない」
「ええ……」
「? どうした?」
顔色の優れない根岸に狭田が声を掛ける。
「大丈夫でしょうか? 今回のエクストリーム点眼、高層マンションの屋上からだって……」
「ああ……」
エクストリーム点眼ダブルスは、目薬をさす者とさされる者に別れ、スタート地点から出発した後、お互いが所定の位置まで行って、そこから点眼をする。
今回の場合、高層マンションの屋上とエントランス外と成るのだが……当然、目薬が目に入らなければ得点とはならない上、点眼の瞬間に目を瞑っていた場合も減点となる。
根岸は、今まで普通マンションからの点眼は受けた事があるが、高層マンションは無い。
つまりはぶっつけ本番なのであった。
「大丈夫だ、根岸……秘策がある」
「え!?」
高層マンションからの点眼。それの困難さはは想像に難くないだろう。
上で僅かにズレただけでも、下では大きくズレる。その上、ビル風が吹いてしまうと、落下地点の予想が困難となるからだ。
だか狭田は、不敵に笑うと目薬を取り出し、おもむろに地面に向けて点眼をする。
「!!」
そこには地面に穿たれた穴。目薬の威力で空いたのだろう。
「ビル風が障害だと言うなら、風に負けない威力を出せば良いだけだ」
鍛え上げられた狭田の技は、高速目薬射出を可能にしていたのだ。
これならばビル風にも負けず、尚且つほぼ一直線に目に到達する為、さし手の力量次第では下は殆ど動く事も必要ないだろう。
「どうだ? 根岸、これなら……ヘブッ!!」
根岸は、最後まで言葉を聞かず狭田の腹部に深々と拳を突き入れ、そして言った。
「あ、日本チーム棄権します」 うわあww書こうと思ってたネタと丸かぶりしてて笑った
俺は「二階から目薬ワールドカップ」だった……別の考えよ 使用お題:『目薬』『マンション』『盾』『宇宙』『金メダル』
【息子の夢は】(1/2)
酒が進む。誇らしい気持ちが私に次々と盃を傾けさせる。
連日テレビが平昌五輪での日本人選手の活躍を映し出す。最近の私はこれを観ながら晩酌を飲むのが楽しみで仕方がない。
彼らを見ていると同じ日本人に生まれた自分も特別な存在であると思えてくるのだ。もちろん自分が金メダルを狙えるような
人間でないのは分かっている。こうしてオンボロマンションでテレビを見るしかできない凡人である。
でもいいじゃないか、たぐいまれな才能とたゆまぬ努力が実を結んだめでたい瞬間なんだ、ちょっとくらいあやかったって
罰は当たらないだろう。私は再び盃を傾けた。
背後でドアの開く音がした。振り向くと息子が立っていた。イルカのぬいぐるみをぎゅっと抱いてこちらを見ている。
その大きな瞳は目薬を差したばかりのように満々と涙をたたえている。
「どうした、圭太?」
私は盃を置き立ち上がり息子の元へ向かった。息子は何も言わずに私の足に抱き着いてきた。ヒックヒックと嗚咽を漏らし
体を震わせている。きっと怖い夢でも見たのだろう、これまでもこういう事は何度かあった。まだ5歳なのだから仕方ない。
「ほぅら、もう大丈夫だ。お父ちゃんが付いてるからな」
私もぎゅっと抱き返した。
私はこの子と二人暮らしをしている。離婚する際に妻でなく私と暮らすことを選んでくれたこの息子が、私は本当に愛おしかった。
この子がいなければきっと私は自暴自棄になっていただろう。だから恩返しと言う意味でも私はこの子を立派な大人に
育て上げようと、そう心に決めていた。
だから私は慌ててテレビを消した。この子にオリンピックを見せるわけにはいかない。将来に悪影響を及ぼしかねないからだ。 【息子の夢は】(2/2)
思えば時期が悪かった。バルセロナオリンピックの年に生まれた私は「鈴木大地選手のようなスポーツ選手になってほしい」
という両親の期待で「大地」と名前を付けられた。そして幼少期より野球をやらされるものの、小学生に入るころには
テレビに『福原愛ちゃん』が出るたびに「大地も同い年なんだから負けるなよ」と比べられた。しかし流石に中学になる頃には
自分の才能の無さに気づきだし、高校になって現れたこれまた同年代の『ハンカチ王子』の存在が僕の挫折を決定づけた。
私は彼らと違って才能がない。だからどれだけ頑張ったって無駄なんだ。
そう思うに至った私は大学に入ってから荒れに荒れた。野球をすっぱりとやめ、悪い友達を作ってタバコ、パチンコ、
万引き、盗撮、なんでもやった。
何度も警察に突き出された。その度に両親が呼び出され、ついには「お前には失望した」と突き放された。
「誰のせいでこうなったと思ってるんだ!」
その時私はこう言った。そして家を飛び出してそのまま一人で生きていくこととなった。
仕事を始め、妻と出会い、冷めた夫婦生活をしている内に子供が生まれた。それが圭太だ。
息子が落ち着きを取り戻してきた。私は優しく頭を撫でた。
父となった今なら分かる、私の親は別に私と選手を比べていたわけではないのだと。
ただ自分達の特別な存在を世界中の人にも自慢できたらと思っただけなのだ。だから私は才能が無いことに挫折し
親に盾突く必要は無かった、ただ胸を張れる人生を歩めば良かっただけのだ。
とは言え、この子がオリンピックを見て選手に感化されて私と同じように道を踏み外さないとも限らない。
極力スポーツからは遠ざけたほうが無難である、オリンピックを見せないのはそういう考えがあるからなのだ。
「なあ、圭太。お前は将来何になりたいんだ?」
おもむろに私は聞いた。この教育の結果、この子が今何を目指し始めているのか気になったのだ。
息子は顔を上げた。そして難しそうな顔をして考えこんでしまった。。
「別に何になってくれても構わないよ。でも圭太はいい子だからきっと素晴らしい人になれるぞ。
HIKAKINみたいに人気者で、SMAPみたいに女の子からモテモテで、宇宙飛行士の毛利さんのみたいに皆の期待を
背負うことが出来る、そんな人になってくれたら、お父ちゃんは嬉しいな」
私がそういうと、息子はさらに考え込んでしまった。まだ将来を考えるには早かったかな。
しかし突然息子の顔がパッと明るくなった。そしてはっきりとこう言った。
「分かった! じゃあ僕、『はにゅうゆづるせんしゅ』になる!」
「うげぇっ!」
迂闊だった。せっかくスポーツから避けていたのに気づかぬうちに誘導してしまったようだ。私のアホめ!
しかしどこで羽生選手を知ったのか。保育園ででも知ったのか。
しかしもう手遅れである。満面の笑みを浮かべる息子に「それはやめとけ」などと言うことは私には出来ない。
私は息子の頭を撫でた。息子は照れくさそうに笑った。
この子もいつか私のように挫折を味わい荒れてしまうのかと思うと今から不安がよぎる。
しかしもしかしたらと考えると、その時が楽しみで仕方がないとも思うのだった。 >>568
子供に対する期待と不安が良く分かります
必ずしも親の望み通りに育ってくれるとは限らないですよねw >>564
ときは2018平昌五輪…パシュート女子の活躍で笑顔溢れる日本選手団に、短編スレから笑いをプラス!! 目薬五輪SF爆誕!
さあトロフィーと『盾』に囲まれた選手が幻の『金メダル』を視ながらトレーニングに励むぞ〜うんうん、そうだね、きたる試合はギリシャのテッサリア地方のオリンポス山で…って火星ッ!?
そう! 本作五輪の舞台は『宇宙』太陽系で最大の標高21.9kmを誇ると言われる火星オリンポス山(実在)だ! 地球と見せかけてからの火星転送〜この瞬発描写の遊び、さすが短編スレの五輪メダリスト564氏、文の芸が鋭いぞ〜
競技内容は高層『マンション』からの『目薬』受け止めw その名もエクストリーム点眼ダブルスww 地味すぎだろ
笑いと共に全お題をクリアした物語はラスト、鍛え過ぎた狭田さんのアスリート魂が裏目に出るパートナー逃亡オチ〜高速射出を違う分野に活かそう、そんな失笑ENDだァ!
>>568
お題フルチャレンジが続くぜ、晩酌五輪w
さあ『マンション』の一室に描かれるはかつて『金メダル』を夢見た父と、『目薬』を差したばかりのように涙たたえる愛息の姿だ〜しかしオンボロマンションとか凡人とか、親父さんの卑下っぷり、見る側も涙なんだが
ここまではいいとして、問題は今回のキラーお題『盾』をどう使うか! って思ってたら親父さんの青春語り、「親に盾突く」でゴリっと消化ァ! コイツは文芸世界の捻り回転〜みごと成立568氏〜
悩むに息子に親父さんが提案するは、YouTuber、芸能人、『宇宙』飛行士〜必死に努力次第で何とかなりそうな未来を振ってみるも、圭太くんの答えはやはり金メダリスト羽生くん! 親の心、子知らずw
ラストは子の未来におのれを写し、やってみろやと心意気! 微笑む親の胸に溢れるは、過去の後悔の中に生まれる、子への期待と愛だった〜人情ドラマの名手568氏がお題をクリアし複雑ミックスENDで締めてくれたァ! >>572
感想有難うございます
おそらく狭田はエクストリーム点眼シングルスで、自分の身に降り掛からなければ気付かないと思いますw 568です。感想、評価有難うございます。
かねてより参加したいとおもいつつもお題が難しくて断念していましたが、
やっと投稿できてよかったです。
後で文字数調べたら2000文字越えてました。orz
次に挑戦する頃には気を付けます。 そう、そのことなんだけど、一作品につきレス数が2、3に渡るのが当たり前だし、許されるなら字数制限含めいくつかルール見直したいな〜と思ってるんだけど、どう
個人的には
・投票制度やりたい。(自力集計のつもりだけど、外部ツールってアリ?)
・時と場合によって字数制限を変えてみたい。
くらいを考えてる 短編と言う枠内であれば、文字数を変えるのは進行さんの権限内だと思います
投票についても、負担にならないのであれば良いこと 投票はあると嬉しい
外部ツールというのがよくわからんのだけど、規約かなんかに触れなかったらいいのでは?
字数は3000字くらいあると推敲で詰め込む作業が無くなって嬉しい
その詰め込む作業が練習になるのかもしれないけど! しばらくスレの様子見てたけど、投票は賛否両論っぽいね。一応、最初は入れながらやってみようかな?
外部ってのはゴメン、深く考えずに言った。簡単に集計できる投票ツールみたいなんどっかにありそうだな、くらいの。忘れてください
板内の某スレ杯が採用してる制度だと、文字数制限じゃなくて○レス以内って制限なんだよね。読む側は字数とか数えないしw、そっちの方が幅が広がりそうな気はしてる。 1レスでだいたい2000字書けます
実際は1900字くらいかな?
改行が多かったり、一文が長かったらエラー出るけど
ここの方たちの作品を見るに、横書きを意識して改行多めですし
あちらのように1レス勝負だと、大した文字数は書けなさそう
3レスに分けてる方がここでは多いみたいですし、まずは3レス縛りにしてみては如何?
で、後々皆さんの反応次第で縛りを増減させていくとか
3レスもあったら、伸び伸び書けて私は嬉しいですね
5000文字後半の短編も書くことができますし 使用お題:『目薬』『マンション』『盾』『金メダル』
【シールドワーカー】(1/3)
「小山の様な」って表現がある。
山程には大きくないけど、見上げる程はある……って事なんだろうけど、都会っ子だった僕には具体的な大きさが想像できない。
正直、マンションの様なって言われた方が想像し易い。
何でそんな事を考えたかと言えば、今、僕の目の前に、そんなマンションサイズの生き物が居るからだ。
うん、分かってる。これはただの現実逃避だ。あまりの事に、ちょっと思考があっちに行ってた。
これで雛だって言うんだから、どんだけ巨大な生き物なんだって話だ。
僕こと那波 僚は、これからこの怪物を押さえ込まなけりゃ成らない。なぜならそれが、タンク役である僕の仕事だからだ。
異世界転移って、フィクションの世界だとちょいちょい聞く言葉だけど、それが自分の身に起こるなんて予想もしなかった。
まあ、そこは現実。決して自分が主人公の世界じゃない。
あっという間に冒険者ってヤツに拾われた僕は、半ば強制的に盾役を押し付けられた。
それ以外に出来る事が無かったってのもあるけどね。
唯一の誤算は、僕にタンク役としての才能があったって事だろう。
だからこそ、僕は今も生き延びているし、最近では信頼もされてきてる……と、思う。
それはさておき、シールド使いのお仕事だ。マンションサイズもあるこの生き物は“レバタン”……ベヒーモスの亜種らしい。
パーティーの面々が所定の位置に着いたのを確認して、僕は息を吸う。 【シールドワーカー】(2/3)
「かかってこいや!! ゴラァ!!」
「GyyiiiiiGaaaaaaoooonnn!!!!」
【挑発】でヘイトを稼いだ僕は、ラウンドシールドを構え、シールド裏のスリットに黒いメダルを投入。
直後、レバタンの巨体が僕をめがけて激突し、僕は後ろへズズズっと押し込まれた。
「Gyiao!?」
レバタンは、自分が体当たりをしたにも関わらず吹っ飛ばなかった僕に驚いた様な声をあげる。
でも、焦ったのは僕も一緒。
「連続投入が間に合ってなかったらヤバかった!」
レバタンを受けきれたのは僕の力だけじゃ無い。
実はこのラウンドシールド、マジックアイテム。
専用のメダルを投入する事で、様々なスキルが使える。
今、投入した黒いメダルは“重量変化”。1枚で10秒間、僕の体を10倍重くするスキルメダルなんだけど、それを200枚近く使った。
「でも! 止まった!!」
「良くやった! ここから、ワシの出番じゃ!!」
僕が受け止めたタイミングで、魔導師のカゼフ爺さんが【チェインバインド】の魔法を唱える。
一瞬でレバタンは緋色の鎖に絡め取られた。
「ぬっ!」
でも、かなりキツそう。ただそれも無理はないと思う。僕だって、使ってるメダルは過去最高枚数だったんだから。
リーダーはレバタンの顔を狙っているんだけど、頭も激しく振ってるから、狙いが定まらなくて手を出しかねている。
カゼフ爺さんだって、これ以上【チェインバインド】を重ね掛けするのは無理だろう。
そう思っていると、シノビの少女、オリヒメが飛びクナイを投擲する。【影縛り】を行おうとしたんだと思う。
「っ!!」
だけど、それはヤツの頭で弾かれた。いっそう激しく暴れるレバタンの為に爺さんの鎖にはビキビキと音を立てて罅が入った。
不味い。頭に血が上ってる状態で解き放たれたら、もう一度【挑発】が効くか分からない。
覚悟を決める。これは最悪の一手だ。だけど、皆を守るにはこれしかない。
僕は、金色のメダルを取り出すとそれをスリットに投入した。 【シールドワーカー】(3/3)
******
「あほーーーーーー!!!!」
リーダーの司祭の少女、シャルの声が響く。僕は正座させられ、その怒声を大人しく聞いていた。
シャルは使い終わった目薬のポーションを振り回しながらギャーギャーと喚き散らしてる。
僕が使った金メダルは“稲妻”のスキルメダル。その力で僕はレバタンを昏倒させたんだ。
「親御さんが許してくれたから良い物の、子供さん昏倒させるとか、おまっアタシの助手として良いとか思っとんのか!?」
うん、まぁ、言いたい事は分かる。相手を治す医者が逆に怪我をさせてる訳だからね。
「まぁ、その辺にしとくんじゃ、結果とは言え、丸く収まったんじゃからな」
「いやでも、じっちゃん!!」
僕たち「蒼天の救命団」は、主に聖獣に対する医療行為を目的として立ち上げられたパーティーらしい。
だからこそ、シャルは僕の事が許せないんだろう。
見ると、僕たちのやり取りを眺めていたオリヒメが「くっくっ」って笑いを堪えて体を震わせている。
「おい! アタシの話を聞いてるのか!!」
「え? あ、うん」
「おまっ! ちゃんと話を聞けーーーー!!!!」
……また怒らせちゃったようだ。 お題『目薬』『マンション』『盾』『宇宙』『金メダル』〆
作品一覧
>>564【アスリーーーート!!!!】
>>568【息子の夢は】
>>582【シールドワーカー】 それでは、私はこれにて名無しへ戻らせていただきます
皆さんここまでついてきてくれて本当にありがとうございました!
後釜さん、どうかこのスレを楽しく引っ張ってやってください! 進行さん、お疲れさまでした!
ここまでスレが続いてきたのは、進行さんの働きのお陰です。
これからは、一住人としての投稿お待ちしてます。 コテのほう私が「進行」を名乗っていいのかな?進行2とかのほうがいい?
さて……お題募集どうしますかね
5お題でやってみます? お任せかぁ……ってことでコテ変えました
じゃあとりあえず現状維持の「お題5つ」「期限一週間」で始めよう
お題安価
>>592-596 ……あれ? ヅカ?
二代目進行さん、よろしくお願いします ひい、いきなり失礼しました
いつもより安価早いのね、油断してたわ……
☆お題→『代替わり』『超能力』『魔法』『男装の麗人』『百合』より一つ以上を選択
☆文字数→3レス以内に収めれば何字でも可。
最大文字数の目安としては、3レスで5000〜6000字程度。
もちろん文字数が少なくても分割オーケー
☆締め切り→3/4の22時まで
※投票を次回の安価終了後に行います >>582
前回お題4つ『目薬』『マンション』『盾』『金メダル』にチャレンジ!! 救命の守り人が登場だ〜
さあドラマは異世界でタンクを押しつけられた那波くんの語りで始まる〜彼の眼前にそびえるは、なんだか名前から焼肉屋を彷彿とさせる『マンション』級ベヒーモス亜種、レバタンw
レバタンの膂力に苦戦するパーティを救うべく、那波くんが特殊スキルを発動〜特製シールドがお題『盾』『金メダル』を消化して、『目薬』ポーションを振り回す司祭シャルが現れる〜やはり那波くんの目にスキルの副作用がッて思ったら
一味の目的は討伐ではなく救護ォ!? 焼肉屋で食材ハントをイメージさせてからのな、なんだってオチで落としたあ!!
見事な構成だがしかし582氏、おそらく一行がレバタンに『目薬』をさすこのミッション、難を言えばその辺の背景解説が少なくやや分かりにくかったwって感じでシャルのお説教が続いていったァ! 感想有難うございます
「シャルはレバタンにさして使い終わった目薬のポーションを」にすれば良かったですねorz
ちなみにレバタンはヘブライ語で「とぐろを巻くもの」と言う意味らしいです それでは改めてよろしくお願いします
使用お題:『代替わり』『超能力』『魔法』『男装の麗人』『百合』
【新・旧世代】(1/2)
電車の席に座った男がキョロキョロと周りを伺っている。
男は、足元まであるコートをガッチリと着込み、帽子を深々と被っていた。
怪しさと言う一点で他の追従を許さないにも関わらず、周囲の者が、彼を気にしている素振りはなかった。
男の目元には黒々とした隈ができ、頬も痩けている。だが、その目は爛々と輝き、血走っていた。
男の肩がビクりと動く。立ち上がろうとして、しかし不自然に腰を下ろす。
間を置かず、一組のカップルが男の目の前に立った。
男とは逆の意味で非常に目立つカップルである。
美男美女。
二人は周囲の事など気にしないかの様にイチャついている。
「魔女が……」
脂汗を流しながら、男が呻くように言う。
「その呼ばれかたは好きじゃないな」
カップルの男の方がそう言った。ハスキーな女の声だった。
「人目を忍んで、隠れ生きるなんて真っ平よね?」
カップルの女の方がそう言った。外見通りカン高い声だった。
三人は魔法使いだった。
男の周囲に白檀の様な香りが漂う。
カップルの男役の方が指をクルリと動かすと、その匂いは掻き消える。
「っ……」
「微睡みの香かい? 古い魔法だ」
「道具を用意して、儀式をして詠唱を覚えて……でも、成功の確率は低いんですもの。嫌よねぇ」
男役の言葉に、女が首を振って肩を竦める。
「ぐっ!」
「伝統……と言えば、耳障りは良いからね。でも、新しい魔法の世界に、老害は必要ない」
「ばいば〜い」
「!……」
女が投げキッスを送ると、男の目がグルリと白眼となり、眼、鼻、口、耳から血を流し前に突っ伏した。
「キャー!!」
カップルが去った後、誰かの悲鳴が響いた。 【新・旧世代】(2/2)
******
…………誰もが血を流し倒れ伏す男に気を取られる中、二人組の少年が立ち去るカップルに視線を送っていた。
「……あれが魔法使いですよ」
「……オレのテレパシー干渉に気が付かない時点で、たいした事はないな」
「奴ら、何を考えて?」
少年の片割れが嫌そうに眉を歪める。
「サバトかな? 魔法使いどもの色狂いは、度し難いな」
「魔女どもの色情狂は昔からですね。そんな程度なら、僕達超能力者が、裏世界を掌握するのも簡単ですか……」
「ああ、そうだな」
******
そんな二人を三車両も離れた座席から、一人の男が眺めていた。
その目の前に立っている男が「どうだ?」と訊ねる。
「超能力者……ね、でも、身体能力事態は普通の人間と変わらなさそうだな、あの位なら、どうとでも出来そうだ」
「そうか、我ら超人連合、あの超能力者達が、不埒なことを始めようと言うなら……」
「ああ、制圧しよう」
******
だが、超人連合の二人は気が付かなかった。彼らの椅子の下、線路と車体との間に、2体の異形の存在が息を殺して潜んでいる事に……
伸びていた耳をニョロリと戻すと、ぶよぶよとした肉塊がグフグフと嗤う。
「何だ、人を越えたと嘯いている割には、随分と鈍いではないか」
「超人と言えど所詮は人類。我々ミュータントとは格が違うと言う事だ」
甲殻類の言葉に、肉塊が嗤い声で体を震わせる。
「グフフッ、恐れ怯えよ人類! 世界は我々ミュータントの物だ!!」
******
月軌道上の未確認非行物体の中、そのホログラフモニターを見ながら、人形のシルエットが口を開いた。
「ていどガひくイナ、ちきゅうじんハ」
「アノていどナラちきゅうしんりゃくハ、たやすイダロウ」
「ソウダナ」
「ハハ、ハハ、ハハ」
******
次元の間、超感覚で全てを感じ取っていた形容し難いソレが、邪悪な思考を垂れ流していた。
「※%■○※#▲¶▲※◎〒▲※#‡%※△§#〒▲%」
「△▲▲〒〒△◎△〒%▲%#あ¶§‡※#△#△#△」
「‡‡#◎¶§※」
「§◎# ‡△〒○△//%◎△○*」
******
そこから遥か高次元……… かんそうイウワ
※%■○※#▲¶▲※◎〒▲※#‡%※△§#〒▲%
△▲▲〒〒△◎△〒%▲%#あ¶§‡※#△#△#△
‡‡#◎¶§※§◎# ‡△〒○△//%◎△○* >>605
感想有難うございます
ただ、自分を植民地化してペットのオヤツにするのは勘弁してください ぐるぐる廻る連鎖!
高次元を越えるヤツもまた……? >>607
う、う〜ん
虚数的存在……ですかね?
言語化し難いですが┏Ο┓ >>603
戦闘狂どものサバトは準備OK〜進行氏の世代交代に花束を贈呈するぜ! 超常の夜宴!!
電車で周囲を警戒する一人の男〜視線の先には『男装の麗人』と魔女の『百合』プレイだ〜これ前進行氏へのサービスショットかw
闇に、隠れて、生きる、なんてのはまっぴらw 公衆に開陳された『魔法』使いの戦闘〜それを観戦するは『超能力』者の少年二人〜
「僕達超能力者が、裏世界を掌握するのも簡単ですか……」、いやそうでもないぞと明らかに失敗作の肉(ミュータント)がせせら嗤い、それを見つめる地球外生命体?が程度の低さをなじる〜
さらに次元の間には邪悪な何かがいて?…どうせ言ってること繰り返しだろwって感じで、分かった分かったもういいよオチ! 『代替わり』が『代替わり』を呼ぶ戦いの螺旋は、受け継がれる短編スレの象徴か〜! 異形の宴はお題を全制覇しENDだ! 感想有難うございます
投稿した後に自然発生種を見下すシンギュラリティなAIも有ったと気付きましたorz 使用お題:『代替わり』『超能力』『魔法』『男装の麗人』『百合』
【百合ちゃんは究極を目指すようです】(1/2)
「お父さんお母さん! やめてよぉ〜!!」
氷上家のリビングでは、今、百合の両親が彼女の今後の進路について対立し、火花を散らしていた。
「百合はエスパーを目指すのが最良だろうが!!」
「最初に目覚めたのは魔法の才能だろう? なら、初志貫徹こそが美しい結論だ!!」
薄い緑の紙切りカットの青年の目が光り、周囲の物が浮遊する。それに対する、男装をした美貌の女性の持つバトンが、彼女の呪文と共にロッドへと変わった。
緑髪の青年こそ氷上 晃。百合の父親にして、元、超能力少年隊のメンバーであり、男装の麗人こと氷上 真矢は、百合の母親にして、元、魔法少女隊のメンバーだった。
2人は若き日に、共に世界を混沌の坩堝へと落とそうとした強大な敵、カオスと戦い、そしてその中で恋に落ち、やがて結ばれた。
そんな2人の一粒種こそが百合であり、幸か不幸か両親の才能を受け継ぎ、超能力も魔法も使えるハイブリッドとして生まれて来たのである。
お互いに尊敬し、愛し合っているとは言え、そこはそれ、子供の将来と言う事であれば、自分を継いで貰いたいらしい。
特に才能があると言うなら尚の事だろう。
「百合の超能力は人類最高峰レベルだ! だから、暴走を押さえる意味でも、超能力の開発をするべきなんだ!!」
「おや? この子の魔法操作は既に魔法界でもトップクラスなんだ。なら、このまま魔法の頂を目指した方が良いだろう?」
超能力は完全に才能とセンスの世界であるが、魔法は教育を施す事が出来る。
その為、真矢は百合が幼い頃から英才教育を施して来た。その成果もあり、今の百合は魔法界でもトップクラスの魔力保有量と操作技術を有していた。
だが、そうした幼い頃からの教育で精神力が鍛えられていていた事もあり、彼女のエスパーとしての潜在能力は、世界最高峰と言って良いほど高くなっていたのだ。
才能があると分かれば、自分の後を継いで貰いたいと思うのは親心だろう。
だがその為に、今、氷上家は一触即発の様相を呈していた。
晃の周囲には部屋中の品物が飛び交い、真矢のロッドが魔力の増幅を始めバチバチと帯電する。 【百合ちゃんは究極を目指すようです】(2/2)
「もう! 2人とも止めてってばぁ!!」
百合がそう叫ぶと、晃の念動力が消滅し、真矢の魔力が掻き散らされた。
「おお! 何て能力の強さだ……」
「無詠唱で、私の魔力を……」
百合の才能の高さに2人は改めて感嘆の声を漏らす。
「百合、百合は超能力とか、格好良いと思うよな? な!」
「百合、百合は魔法の魅力が理解できるだろう? なあ?」
…………
「あ?」
「は?」
再び念動力が渦巻き、魔力が爆発的に膨張する。
「だ・か・ら! 止めてぇぇぇ!!!!」
百合の感情の爆発に伴い、両親は念動力で吹き飛ばされ、壁に押し付けられて、魔法によって磔の様な格好で固定された。
「あぐっっ!!」
「くあぁぁ!!」
百合の魔法で身動きの取れなくなった両親の前に、彼女は仁王立ちになる。
「もう! 2人がそんなだったら、百合は超能力者にも魔法使いにも成りません!!」
「「え!」」
「百合は、小宇宙と第七感を経て、Ωを目指します!!」
「「はあ!?」」
「目指します!!」
「「ち、ちょと! 百合ぃ〜!!」」
代替わりした正義のヒロインは、Ωの力を目指すようです。 >>611
選択お題はフルチョイス!! 『超能力』青年と『魔法』ッ子の、あいのこ参上だ〜
さっそく救世のエスパーである父と、宝塚を思い起こさせる『男装の麗人』母との間に生まれた娘『百合』さんが身内喧嘩に苛まれる〜611氏、人名で消化は反則気味だなw
さあ解決の道を見出せない両論対立、これを見た愛娘は第三の道を選択だ、「小宇宙と第七感を経て、Ωを目指します!!」←あーうん、このオチ、聖闘士星矢ネタ?w
進路を巡って争う父母に、喧嘩しないでと子の訴え! 親御さんたち能力じゃなく人格をみなきゃっ、子供っぽい親の背中を見て娘はしっかり者に育ってるぜ!
親を超えるが子の報恩、ラスト、物語は『代替わり』で生まれる超絶コスモヒロインの誕生を予告して、お題全消化のあたふたENDだァ! 感想有難うございます
小宇宙〜Ωは聖闘士星○ネタです 娘もだけどお母さんに萌えました……
理性的に見えてぐいぐいくる麗人いいなぁ お題『代替わり』『超能力』『魔法』『男装の麗人』『百合』締め切り
参加作品一覧
>>603【新・旧世代】
>>611【百合ちゃんは究極を目指すようです】 さて……二作品だと投票してもって感じはするね……とりあえず
お題五つ安価とるよ
>>618-622 ☆お題→『勇者』『ループ』『就活』『太もも』『剣客』より一つ以上を選択
☆文字数→3レス以内に収めれば何字でも可。
最大文字数の目安としては、3レスで5000〜6000字程度。
もちろん文字数が少なくても分割オーケー
☆締め切り→3/11の22時まで
☆平行して投票を行います(試験運転)→安価もしくはタイトルで一人一票までレスしてください。締切3/6の22時 >>615
感想有難うございます
おそらく両親は、かつての戦いでも、こんな感じの言い合いをしていたのだと思いますw 『代替わり』『超能力』『魔法』『男装の麗人』『百合』よ投票〆
>>603 【新・旧世代】 一票 誤字してしまったのよ
しかし一票か〜投票制度やっぱいらないんかな…… すまない・・・投票する気はあったんだが、ちょっと分からんネタとかがあったから見送ってしまった まあしばらく続けて様子見てもいいんじゃない?
俺はあった方がいい派 じゃあしばらくは続けてみることにしよう
作品の投稿もお待ちしているのよ どうやったら盛り返せるのか……
誰も投稿しなくなる日も近い気がして怖いよ 投稿したいなーとは思うけど、そうすっとなろうにも上げたくなるんだよね
垢バレはなぁ……
まあそんなことはさておき
投稿お待ちしています
俺も時間見つけて書こうかな このスレってオリジナルだけしか投稿したらいけないんです? なろうスレから発足してるので、オリジナルでお願いします
ただまあ、スレ内で身内ネタ的に盛り上がるのはアリ……かな たしか三話くらい続いてるやつがあるから、あれの続き書いてもらわないと
それはそうとして、なろうスレ発祥だからタイトルに【小説家になろう】を付けたら人が増えるのでは でも人が増えると変な人や荒らしとかが出てきそうで怖い 前一回あげたっきりお題から何も思い浮かばないままなんだよなぁ そうねー、次スレを立てる時はまたいろいろ考えよう
人増えないかなぁ 使用お題:『勇者』『ループ』『就活』『太もも』『剣客』
【ニートとゲームとループ】(1/3)
ニートがゲームをしている。
ドラ○エである。テレビ画面上に四体が一列に並んで、ひたすら歩く。街の中を、草原の上を、洞窟の奥を。
途中で敵とエンカウントして戦う。少し歩いて、また戦う。戦う。
そんな事をいつまでも繰り返して、ついにキャラクターが悲鳴を上げた。
「いつまでやるんだよー! もう5回以上クリアしただろ!」
魔法使いが杖を振りまわして、泣きそうになっているが、それでもコントローラの指令に従って歩かざるを得ない。こうして騒いでいても、画面上はただ歩いているだけのように見える。
「……そうですね。同じことばかりで、さすがにもう飽きました……」
僧侶がこれに同調する。顔はうんざりとした表情。画面上にはやはり出ない。
「しょうがねえだろ? 私たちはゲームのキャラクターなんだから。プレイヤーの気が済むまで操られるしかねえよ」
騒ぐ二人を見て、戦士が達観したような表情で溜息を洩らす。足取りは重い。
この世界はかれこれ13回救われている。一行は魔王を13回倒し、13回救世主として扱われ、13回旅の始まりを経験している。
ゲームのキャラクターといえども、これは辛い。ループされる同じ出来事、徒労、終わりの見えない旅に、皆はうんざりとしていたのだった。一人を除いて。
「おいおい、何を言ってるんだ。いつまでもプレイヤーの方にプレイして頂けるだなんて、幸せこの上ないことだぞ?」
勇者である。目をキラキラさせて、子供の遠足のようにハキハキと歩いている。
「この社畜が……」
他のメンバーは、呆れと軽蔑を混ぜてその姿を見るのであった。戦士がまた溜息を吐く。
「……他人に動かされるしかないってのが辛いよなあ。せめて自分で動けりゃあ、世界を救うにも楽しみがあるってのに」
「自分で動けるならそもそもゲームの世界なんて放り投げてるよー」
「だよなあ……あーあ、終了ボタンを私らがおせりゃあいいのになあ」
「そんなことゲームキャラの私たちには逆立ちしたってできませんよ……」 【ニートとゲームとループ】(2/3)
「できるぞ」
「「「え!?」」」
力強くそう宣言したのは魔王で、それに驚いたのは戦士たちである。
「バグという言葉を知っているか?」
「聞いたことは……ゲームに存在する欠陥だと」
「それはどうして存在する?」
「ゲーム開発者がミスったからだろ」
「それもある。だが、それだけではない」
「どういうことだよー」
魔王は悪い顔でニヤリと笑った。
「ゲームのキャラが故意に引き起こすこともできるのだ。それこそ、ゲームを終わらせるようなバグをな。そして、私はその方法を知っている」
「おー!」「まじか!」「それですよそれ! もうそれしかないですよ!」
「待て待て待て待て! 待てよ!」
盛り上がる仲間と魔王たちに、勇者は慌てて制止をかける。
「それは駄目だろ! ゲームキャラとして! 第一プレイヤー様が悲しむだろ!」
「様ってぇ……」「社畜が……」「……」
「阿呆め」
一同から冷たい視線を受けるが、勇者は頑なだった。
魔王は、重苦しく話しだす。
「勇者よ。お前はプレイヤーの何を知っている?」
「何って……」
「これだけ時間を費やせるのは引きこもりかニートしかいない。そうでなくとも自堕落な人間であることは間違いないだろう」
「だからどうした! そんなことは俺達には関係ないだろう!」
「更生させた方がよかろう」
勇者はハッとした。
「もうゲームとかやらせないで就活させた方がよかろう。それがプレイヤーの幸せというものだ」
「うぐぐ……」
勇者は悩む。 【ニートとゲームとループ】(3/3)
「……いや。もっと他にいい方法がある」
戦士たちと魔王はいつまでも悩む勇者に飽きてカードゲームに興じていた。しかし勇者は目をキラキラとさせて言い放った。
「皆で寄せ書きを書こう! エンドロールの最後に! 就職活動頑張ってって!」
「うわきも」「ねーわ」「頭湧いてるんですか?」
「うるさい! バグで終わらせるとかやっぱりあり得ないんだよ!」
「……あからさまなのは駄目だ。せめて、サブリミナル程度にしておけ」
魔王は溜息をついて、カードを地面に置いた。
「メッセージを目立たぬところに書いてプレイヤーの潜在意識に働きかけるがよかろう」
「そんなことできるんです?」
「できるぞ」
「ならやろう! 今すぐやろう! 俺達の気持を伝えて晴れやかにゲームを終わっていただこう!」
「しょうがないなあ……もうなんでもいーよ。は・た・ら・け、と」
「そ・と・に・で・ろ」
「お・や・を・た・い・せ・つ・に」
「ニュアンスは間違ってないけどさあ……」
こうして勇者たちはメッセージをゲーム世界中にばらまき続けた。すると、そのうちに勇者たちの進行は遅くなり、やがて止まった。
勇者たちは喜んだ。戦士たちは主に解放されることに。勇者は、自分の真心が届いたのだと思って泣いていた。
しかしニートはまだ部屋に籠ってゲームをやっている。今度は剣客となり、女子の服を切り裂いて太ももを見つめるゲームだ。
ドラ○エをやめたのは、やっているとなぜか現実を思わせてうんざりしてしまうから。ニートはドラ○エを放り捨てて別のゲームで現実逃避を繰り返す。
ニートはゲームをやり続ける。ゲーム。飽きたら別のゲーム。ゲーム。ゲーム……。
ニートがこのループを抜けるのは、一体いつのことになるのだろうか……。 >>642
二代目進行氏も心配性だ〜相変わらずの短編スレ! 救済せんと参上したるはゲーマー型ニート、お題はフル選択! ニート列伝だ!!
さあ物語は何度もクリアを『ループ』する、ゲーム内『勇者』一行視点でスタート〜
描かれるは魔王を含め、プレイヤーのハマリ性に困り果てたキャラ達だ〜敵味方同士が力を合わせ、サブリミナル作戦によって操作主を就職活動に向かわせる、感動の展開w
プレイヤーのニート、これを受けてゲームを卒業!? 作戦成功か、と思ったら、次は『剣客』となり、女子の服を切り裂いて『太もも』を観察するゲームに没頭してる〜現実を叩きつけたらエロゲーマーになっちまった、病状悪化w
延々続く『就活』からの逃避行は、迫りくる現実をヒラリとかわしてループオチに収束〜642氏がきっちりお題をクリアして、うん、もうゲーム会社でも目指しなよーって感じでENDォ! >>642
ニートのループw
一生懸命なゲームキャラの心遣いに気付かず、ゲームに没頭する
こういう人も現実に居そうですね 使用お題:『勇者』『ループ』『就活』『太もも』『剣客』
【楓と安奈】
大学のラウンジ、机に突っ伏した八束 楓は、大きく溜め息を吐く。
「おいおい、楓、魂がぬけておるぞ?」
「うおおぉぉん、そう思うなら、就職先1つ分けてくれよぉ〜」
そんな楓の目の前に要るのは遠波 安奈、彼女は今のところ就職面接全敗中の楓とは違い、既に3社から内定を貰っていた。
キリリとした女性で、実家が道場をやっているからだろうか。スッと伸ばされた背筋、腰まであるロングの黒髪をポニーテールにしている姿は、あたかも剣客を想像させる雰囲気を漂わせている。
眼前の浜辺に打ち上げられたクラゲの様な楓と違い、実際に“デキる”女なのだ。
「ああ……何が悪いんだろう?」
「……自身の個性をアピールせねば、会社としても判断など出来ぬだろう?」
「個性ってなんだよぅ! 一芸でも披露すればよいのかよぅ!!」
申し込んでは面接日々。
面接。失敗。面接。失敗。面接。失敗。面接。失敗…………
そんな無限ループに楓はすっかりしょげて居た。
実の所、楓が面接を失敗しているのは、就活のハウツー本を鵜呑みにした受け答えをしている為ではあるのだが、その事に気が付かないのは本人だけであった。
当然、安奈も気が付いて居る。
だが、彼女としては「自分で気が付かねば意味はない」と思っている為、多少の助言に留めているのである。
しかし、色々な意味で鈍感な彼が、それに気が付くのは難易度が高い事だろう。
安奈がフッと息を吐く。
「よし、楓、ちょっと来い」
「うん? 何?」
「良いから来い」
そう言うと、安奈は楓の手を取り、中庭まで引っ張って行く。
「さぁ」
芝生の上で正座に成った安奈がポンポンと自分の太ももを叩く。タイトなスカートから伸びる、引き締まった、しかし真っ白な太ももが眩しい。
「う? え?」
彼女が自分に何をしてくれ様としているのか、流石の楓も気が付いた。
膝枕だ。
落ち込んでる楓を慰めてくれようと言うのだろう。聖母の笑みで首を傾げる彼女は、普段の凛とした雰囲気とのギャップで、酷く魅力的に映る。
つい、フラフラと安奈の太ももに引き寄せらた楓だったが、しかし、自分達に集中する視線に気が付いた。
言わずと知れたキャンパスの中庭で有る。そんな所で膝枕をされればどうなるか? それは火を見るより明らかだろう。
楓はそんな勇者にはなれなかった。
「どうした? 楓」
「あ……う……」
だが、彼女の純粋な厚意を無下にるる事にも気が咎める楓は……
「うわーーーーー!!」
逃走を選んだ。
残された安奈は暫くキョトンとして居たが、すぐに頬を膨らませると……
「……意気地なし……」
そう呟いたのだった。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています