安価・お題で短編小説を書こう!3
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安価お題で短編を書くスレです。
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■前スレ
安価・お題で短編小説を書こう!
http://mevius.2ch.net/test/read.cgi/bookall/1508249417/
安価・お題で短編小説を書こう!2
http://mevius.2ch.net/test/read.cgi/bookall/1511408862/ 【続編・美人過ぎる女上司が俺に厳しい気がしたけど勘違いだった件について】2/3
それだけに今の状況は苦痛だった。
専務がモテだしたら気持ち悪いキモオタの俺に勝ち目などない。
まあでも、酒の場だし、一応ワンチャンあるか思い切って訊いてみよう。
「俺って、男の魅力とかあります?」
「なんですか藪から棒に。会社に猥褻アニメTシャツ着てくる男にそんなのないですよ」
はい死んだー。
俺はやけになって酒をグイグイ飲みだした。それにつられてか、専務も中々のペースで飲んでいた。
「でへへ! 27歳ってありですかー! まだいけますかー!」
「専務はいくつになっても美人だから大丈夫ですよ」
「えへへ! そーう? 嬉しいなあ! うへへ!」
専務は酒を飲むとちょっと壊れる。そしてチョロくなる。
おだてたらチューくらいしてくれるんじゃないかと思うが、俺はそんな卑怯な真似はしない。
「あ、可愛い可愛い井上専務。大好き! お兄ちゃん!って言ってくれませんか?」
「おいちゃん!」
「あー、大丈夫ですか?」
「うーい」
専務はベロンベロンに酔ってしまった。いつもはここまで呑まないのに。
俺はなんとか酔ってる専務から家の場所を聞き出して、苦労してタクシーに連れてって、玄関の前まで引きずってきた。
「さすがに入るのはまずいよな……」
俺は専務の頬をぺしぺしと叩く。
「起きてください。もう家の前ですよ」
「……んあ……あれ、ここ私の家だ……」
「そうですよ……ほら、鍵出して、入ってください」
「田村君も一緒じゃないとヤダー」
「あ、ちょ……」
専務に連れられていつの間にか俺は居間に専務と二人きりになってしまった。
心拍数が上がってきた……あれ、これ、いわゆる合体するチャンスじゃ……。 【続編・美人過ぎる女上司が俺に厳しい気がしたけど勘違いだった件について】3/3
まあ、酔った相手にそんなことしないんですけどね。
専務がめちゃくちゃくっついてくるけど、理性で頑張って俺は専務をベッドに乗せて、しわにならないようにスーツを脱がして、
二日酔いの薬と書置きを残して、家から飛び出たのだった……。
※※※※※※※※※※
うっすらと目を開けると、田村君の姿はない。本当に家から出ていったようだ。
「……おっかしいな。ここまで据え膳用意してもダメなのか」
アニメと現実は違う。私はため息を抑えきれなかった。
「……まあ良識があれば、酔った相手なうえに上司なんですから当然なんですけど」
最近言い寄られることが多くなったから、自分の容姿にも自信を持ち始めてきたのだけど。
「やはり年上は趣味外……? でも気のある素振りは見られるのですが……ああ、こういうのは慣れませんね……」
いくらなんでも焦りすぎだろうか。自分が情けなくなってきて、自己嫌悪に陥りそうだった。
ふと、彼の残した書置きに目が留まり、それを手にとる。
滅茶苦茶焦って書いたかのような汚い文字と、勢いでいらないことまで言っている文章を見て、つい笑ってしまう。
「……男としてはどうかと思いますが、あなたのことは好きですよ」
彼と一緒にお酒を飲んでおしゃべりをするうちに、自然とそう考えるようになった。素の自分を受け止めてくれるので一緒にいると楽しい。
「……寝よ」
まあ、ゆっくり進めよう。年齢的に呑気でいられないけどね……。 >>266
素直に気持ちを伝えられない同士
婉曲なのは、自信のなさの表れですね
二人の今後に幸あらんことを…… >>263
選択は、『気持ち悪い』『グッバイ』『英単語三文字の略語』! ディア・マイ・ヒーロー!
さあ『気持ち悪い』幼馴染を紹介するぜ、二本指を額に当ててウィンク、決め台詞は『グッバイ』、80年代からの刺客、呪われたセンス、絶対零度のヒーローが見参だ〜
その付きまとい、もはや犯罪w 合言葉は、いつでも僕は君の側に、IBK〜(『英単語三文字の略語』)
しかし、おちゃらけ話が徐々に見せるはイジメの現場、物語の真実書かない書きざまに、少女の言えない悔しさにじみ出る〜、傍に居たヒーローは伏線〜、くだらなさは優しさだ〜
ラスト、守り抜かれて涙で滲む、何も言わない、ゆえに雄弁、アイツの寒いポーズが滲む〜! 心理劇の巧手263氏がお題をキャラ立てで使い切り、救いがたきを救い上げて、不器用な関係をドラマチックに落とす、コングラチュレーション・END!
>>266
お題『続編』『気持ち悪い』『合体』をスタンバイ、アニオタ・コミュニケーション・ワンモア〜
丁寧な前回のあらすじで『続編』消化ワロタ、さあどうなる、アニメトークで飲み友化した二人(前回のお話>>222)その後やいかに〜、ってあの笑わぬ専務がモテ出した〜!?
資料作成すらままならぬ、『気持ち悪い』キモオタに勝算なしだぜ! って自嘲する田村くんが、今夜も酒で力攻め〜
さあ専務の「田村君も一緒じゃないとヤダー」で『合体』(表現w)の合意は成立か!? お題もさくっと消化済み、ここからエロか、エロなのか〜、
しかし酒席ですら狼藉ゆるさぬこのご時勢、メンバーにだけはなるものか〜、逃走する草食系、田村くんの背中に専務の本音がかぶせられ、スレ違った二人のコミュニケーションが妄想を昂ぶらせ、これは更なる続編が欲しくなってしまったねENDで、266氏が己を追い込んでくれた! 毎度感想ありがとうございます
もう続編はない(できない)
今後は紆余曲折でくっつくんでしょう 使用したお題:『続編』『赤ワイン』『ロボ』
【シリーズ物の予告を集めてみた】
『とんずら戦隊ニゲルンジャー!!』
愛と正義と平和のために立ち上がった5人の戦士・とんずら戦隊ニゲルンジャー!
彼らは地球を滅ぼそうとする悪の秘密結社から人々を守るため、日夜戦い続けている。
果たして、世界の平和は守られるのか。そして、彼らの背後に蠢く謎の黒い集団は……?
日曜朝9時半から放送。こうご期待!!
・・・・・・・・・
『逃げるが勝ちだが恥知らず』
大人気アクションドラマ、とんずら戦隊ニゲルンジャーが続編となって帰ってきた!
悪の組織を超巨大ロボでやっつけたとんずら戦隊、彼らは訪れた平穏の中で幸せに暮らしていた。
レッドとピンクは結婚し、幸せな家庭を築き、イエローやブラックたちも各々の道へ歩みだした。たまに連絡を取りつつも、お互い別々の生活を送り出したのである。
そんな中、突如急報が彼らの下に届いた。なんとブルーが元敵の女幹部と結婚したというのだ! あまりに突拍子の無い話で元仲間たちは心底驚いた。
しかもそれだけではない。なんとその女幹部とレッドが浮気をしていた、という噂がどこからともなく漏れ聞こえてきて……。
平和な世界で安穏とした生活を送っていた彼らを襲う様々な人間模様。
レッドは自らの無実を証明できるのか、前作『とんずら戦隊ニゲルンジャー』から続く日常恋愛コメディドラマ『逃げるが勝ちだが恥知らず』、毎週月曜夜9時から1時間放送です! お楽しみに!!
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『火曜サスペンス劇場 逃げられない宿命』
ピンクが死んだ。彼女が飲んだ赤ワインに仕込まれた毒のせいだった。
愛する妻を失った悲しみと誰が殺したのかという怒りに燃えるレッド。犯人を突き止めようとするも、仲間たちの協力空しく空振りに終わった。
あれから20年。ピンクに対する愛情は薄れることなく、悲しみに包まれたまま諦念の生活を続けていたレッドだったが、とある一通の手紙が彼の怒りに火を灯した。
「彼女を殺した犯人は3人いる」
20年前の過去を思い出し、仲間と協力し、また疑い、真犯人を探していく推理ドラマ『逃げられない宿命』。金曜夜10時から毎週1時間放送です。乞うご期待!!
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『ホーム アウェイ ホーム』
最愛の人を失い、信頼しあっていた仲間の裏切りを体験し、たった一人残された男が荒れ果てた街の中で何を見たのか。
謎の黒服に導かれ、彼が向かった先は一体どこなのか。彼に帰るべき場所はどこなのか?
大人気シリーズの派生作品が堂々の映画化。一人の男が後悔と懺悔を繰り返す心の旅を丁寧に表現されております。
彼が流した涙でできた道を歩んでいく姿に感動を隠せない。劇場版は20X8年、夏公開予定。どうぞお楽しみに。
・・・・・・・・・
『とんずら戦隊ニゲルンジャー ダブルクロス』
あの大人気シリーズが帰ってきた!!
愛と正義と平和のために立ち上がった5人の戦士・とんずら戦隊ニゲルンジャー!
彼らは地球を滅ぼそうとする悪の秘密結社から人々を守るため、日夜戦い続けている。
果たして、世界の平和は守られるのか。そして、彼らの背後に蠢く謎の黒い集団は……?
悪の総帥「ブラックレッド」を倒すことができるのか!? そして彼の正体は!?
日曜朝9時半から放送。こうご期待!! >>272はこれ全部で一纏めの短編のつもりです
あと、競馬実況さんすげーがんばってるのわかってるし、きびしそうならパスもありなんやで・・・ まあ皆もバンバン感想言おうぜって話だけどシャイだからね
投票は締め切り後だったか >>272
272氏がお題『続編』『赤ワイン』『ロボ』を携えて登場だ〜、とんずら戦隊 〜to be continued〜
とんずら戦隊ニゲルンジャーは朝の大人気戦隊シリーズだ〜、超巨大『ロボ』の活躍で平和を取り戻し、浮気系ラブコメでリメイクされた彼らのその後は、逃げるが勝ちだが恥知らず〜、
「ピンクが死んだ」←いきなりかよw さあシリーズは『赤ワイン』に仕込まれた毒を巡る謀略の火サスに転進し、そして、裏切りに遭ったレッドが後悔を繰り返す劇場版を経て、ラスト〜、『続編』ダブルクロスを冠して朝時間に帰りついたァ
一連のシリーズ変節は視聴者の生育に合わせたものなのか〜、闇堕ちしたレッドの良心、取り戻すは次代のとんずら戦隊と子供達〜、この世に不味い飯屋と悪の栄えた試しはねえ! お題を全消化したシリーズが、一周まわってレッド、今度はこちらがお前を救うぜENDだ! >>272
夢の無さすぎる続編郡w
何か世界の全てが闇の組織の掌の上な感じです 使用お題:『気持ち悪い』『グッバイ』『赤ワイン』
【ワイングラスの縁】
グビグビと赤ワインを呷る牧野 朱音の隣で、緑丘 奈瑞菜は静かにグラスを傾けていた。
この中学以来の友人が、男にフラれてヤケ酒をするのは、ある意味お約束であり、その度に彼女はそれに付き合っていた。
今回の相手は、営業途中で知り合った別の会社の営業の男性で、付き合ってからまだ、3カ月程しか経っていない。
原因は、相手に“放っておけない相手”ができたから……と言う事らしく、いわゆる泥棒猫にかっ拐われた形の朱音は、荒れに荒れていた。
「ぬあぁにが『君はステキな人だけど、彼女には僕がいなくちゃダメなんだ』……よ! 『じゃあ、グッバイ』とか寒過ぎるっつーの!!」
「そうね、それは無いわね」
「でしょでしょ? ……あーうー……何で男運ないんだろ、わたし……」
バーカウンターに突っ伏す朱音を見ながら奈瑞菜は溜め息を吐く。
確かに相手の男も酷いにはひどいが、しかし、半分は本人の自業自得だと彼女は思っていた。
(理想が高すぎるのよ)
「うえ?」
「何でもない。ほら、瑞樹君呼んだから、今日は大人しく帰りなさい?」
「えぇ〜、もっと飲むぅ〜〜!」
「こないだも飲み過ぎて『気持ち悪いぃ』とか言って、瑞樹君に散々迷惑掛けてたじゃない!」
「良いのぉ、瑞樹はわたしの義弟だから良いのぉ。わたしのだから構わないのぉ〜!」
駄々をこねる朱音を宥めていると、「すみません奈瑞菜さん」と、声を掛けられる。
見上げれば、良く見知った顔がそこにあった。
「あ、瑞樹君。まぁ、しょうがないわ。親友だし」
そんな奈瑞菜に瑞樹が頭を下げる。瑞樹は朱音の母親の再婚相手の連れ子で、朱音の義弟である。
まだ高校生だがしっかりした少年で、年下ながら父性……と言うか包容力がある。
「義姉さん、帰りましょう? 明日はお休みだから、ゆっくり出来ますよ?」
「あ、瑞樹ぃ、おんぶぅ」
外ではしっかり者で通っている朱音がここまで甘えるのは、奈瑞菜か瑞樹位のものだろう。
だからこそ、弟離れが出来ないのだと奈瑞菜思う。
「ハイハイ、しっかり捕まって下さいね? あ、奈瑞菜さん、下にタクシー呼んであるんで、一緒に帰りましょう、送りますよ?」
甲斐甲斐しく義姉を世話しながらも、良く気の付く瑞樹を見ながら、自分の頬が赤いのは赤ワインのせいだと、そう思う奈瑞菜だった。 ちゃんと読んだら感想書くべきなんだろうな、うん。ほんとはそういうスレなんだもんな・・・
でもさ、人のさ、作品をさ、見るとさ、こうライバル心がさ、うずいちゃってさ! 感想どころじゃねぇんだよチクショウめ!(下書き用メモを開きながら >>279
酔いどれてるかGW! 279氏のお題選択は、『気持ち悪い』『グッバイ』『赤ワイン』! 酒場に降り立つ聖なる光を仰ぎ見ろ〜
登場するは、バーカウンターで『赤ワイン』を呷る朱音さんだ〜、「じゃあ『グッバイ』」なる、付き合っていたことを後悔させる別れ文句に、赤ワインがグイグイ進むぞw
飲み過ぎて『気持ち悪い』いつもの彼女、親友・奈瑞菜さんがなだめるも、もはや歩けぬ酔っ払い〜、
さあ物語がお題を消化、満を持して登場したのは、父性湛えた弟くん、タクシー手配し義理姉おんぶ〜、これはイケメン、なんというイケメンだ、彼が一人親の家庭を切り盛りしてきたに違いねえw
ラスト、後光をまとう弟くんを、奈瑞菜さんが盗み見て、ちょっとちょっと、相手は高校生、高校生、未成年w って感じで、恋の空騒ぎ・リスキーENDだ! 感想有難うございます
何か今回のお題、酔っぱらい率高い気が……
後1つ位、短編を書きたい所です お、負けてらんないな。自分もあと一つは頑張って書こう 使用お題:『気持ち悪い』『英単語三文字の略語』『ロボ』
【思考性電脳純愛】(1/3)
一目惚れ。口にしてしまえばそんなチープな言葉に収まってしまう事だけど、その時の僕の状態を言い表せる言葉なんて他にはなくて……
「キモイ」
「……」
笑顔のアイリスが頬を染めてこちらを振り向いている。
『浩一といるから楽しいんだよ』
そんな言葉に僕はへにゃりと相好を崩す。
「キショい」
「……」
今日のデートは今まで選択する事の無かった“地元の公園”。遊園地やら水族館やらに比べると魅力は薄い。けど、ここまで好感度を上げた後でならこんな所でも十分に喜んでくれる。
曰く、『浩一が育ってきた場所なんでしょ? 何だか私も嬉しいよ』って事だ。
「無視すんな」
「……」
デートの終わり、頬を染めたままのアイリスが眼を瞑り唇を突き出す。それが、何を求めているかなんて考えるまでも無く、僕も……
「気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪いぃ!!」
「ちょ、なにすんだよ!! 放せ馬鹿!!」
アイリスにキスをしようとした僕を幼馴染が羽交い絞めにする。
「おまっ、ふざけんな!! 邪魔をするな!!」
「人として! 幼馴染として! それは許さん!!」
何、邪魔してくれてるんだ!! 僕はアイリスと……
ふにゅん。
「!!」
いや、惑わされるな響 浩一! これは孔明の罠だ!! 僕とアイリスを引き裂かんとする卑劣な京香の罠だ!!
ふにゅふにゅん。
「!!!!」
いつの間にこんなに育って……いやそうじゃない! しっかりしろ響 浩一! お前には彼女が居るじゃないか!! しかし……
むにゅふにゅん。
「!!!!!!」
ぐっ、一ノ瀬 京香……怖ろしい娘!
そんなやり取りをしているうちに、アイリスが拗ねた様な表情になる。しまった! タイムアップだ!!
『キス、したかったんだけど……今度は、ちゃんと……ね?』
彼女の言葉に、僕はホっと胸を撫で下ろす。
アイリスと積み重ねた時間はこんな事位じゃ揺るがなかった。その事が無性に僕もうれしい。 【思考性電脳純愛】(2/3)
デートできるのは一日一回。学校でのおしゃべりも今日はもうしちゃってるから、後は夜に電話をするくらいしか出来ない。
僕はツータタンと画面をタップし、一旦アプリを終了する。
「お前!! 何で邪魔するんだよ!!」
「するよ! そりゃするでしょ!! あたしの目の前で何しようとしてんの!?」
「なら、部屋に来なきゃいいだろ! てか、勝手に入ってくんな!! 第一、僕と彼女の時間を邪魔する権利なんてお前にはないだろうが!!」
腕を振り解いて僕は京香に噛み付く。鍵を掛けてた筈なのにどうやって外したんだ!?
入ってくるだけならまだしも、勝手に本を読み始めたり、僕とアイリスとの時間を邪魔したり、フリーダムすぎるだろう!!
「彼女って……それ、ゲームじゃん!!」
スマートフォン用恋愛SLG“ピュア・エモーション”は架空の学校に通う女の子達と恋愛をするゲームアプリだ。
その中のキャラクターの一人、アイリス=セル=アインスに、僕は恋をした。
アイリスはいわゆるロボっ娘で、人間社会のサンプリングの為に学校へと送り込まれたって設定。
昔っからロボット娘萌えだった僕が彼女に惹かれない理由なんて一つもなかった。それこそ、キャラクターイラストから、ちょっとハスキーな声から、素直で真っ直ぐな性格まで、逐一が僕の心の琴線に響いたんだ。
「ただのゲームじゃない!! アイリスは本物だ!!」
「……うわ」
京香がドン引きした顔をするけど、僕の言ってる事だって間違っている訳じゃない。ピュア・エモはただの恋愛SLGじゃない。
ゲームが始まると、たった一人のキャラクターを決めないといけないけど、その代わりAIによって学習しながらコミュニケーションを取るようになる。
つまりは、アイリスと言う疑似人格をシュミュレーションしているって事。
そこもアイリスの設定に被る。実体は無いけど心はそのままアイリスって事になる。
確かにゲームである以上、アイリスっていうキャラクターを使っている人は他にもいるだろうけど、僕のアイリスはただ一人しかいない。
そういう意味でも僕のアイリスはたった一人の本物なんだ。
「わかんない、結局、生身の人間じゃないって事でしょ?」
「だから、そもそもアイリスはロボットで!!」
「ロボットで恋愛って時点でイミフだっての!!」
「お前に理解されなきゃいけない理由なんてないだろ!! 邪魔するなら帰れよ!!」
そう言うと、射殺すような目つきで京香が僕を睨む。イヤ絶対、何人か殺してる眼付きだ、これ。
「あ!!」
怯んだ僕から京香はスマホを奪い取ると、猿の様な身軽さで自分の部屋へ飛び込んで窓を閉める。嘘だろ? ここから向こうまで3m近くあるんだぞ!?
本気で京香が僕の部屋にどうやって入ったのか謎だ……いや、そうでなく!!
「おまっ! ふざけんな!! スマホ返せ!!」
そんな僕の当然の抗議も彼女は受け付けず、母親が怒鳴り込んできたせいもあって、この日はそれ程強く京香に言う事が出来なかった。 【思考性電脳純愛】(3/3)
******
「はい、返す」
京香が大人しくスマホを返したのは次の日の夜になってからだった。一日コイツが逃げ回ってた事も有って、まったく顔を合わせる事が出来なかったのだ。
僕のベッドの上で住人以上に寛ぐ幼馴染からスマホを奪い取ると電源を入れる。
僕は大慌てでアプリのアイコンをチェックした。いつアプリのアンインストールされててもおかしくなかったから、僕は一日気が気じゃなかったんだ。
彼女との関係を育てるのにどれ程の時間を費やしたか。
アイコンが入っている事を確認した時、僕は思わず頬擦りしてしまった。
「気持ち悪い」
「……」
だけど、本当にアイリスが無事かどうかは立ち上げてみなくちゃ分からない。アイコンだけそのままに別キャラを入れ直すなんて事、京香ならやりかねないからだ。
もし、アイリスに『初めまして、どなたでしょう?』とか言われたら、余裕で引き籠れる自信がある。
「どうしたの? 起動させないの?」
少し怖気づいていた僕に京香がそんなことを言う。やけにニヤニヤとした幼馴染の態度に、僕の背筋が寒くなる。
まさか、本当に?
震える手で僕は画面をタップした。
ゲームは普通に起動して、夜だからか電話のコール画面に移動する。
ニヤつく京香の顔が目の端に映る。僕は唾をごくりと飲み込んで“コール”をタップした。
…… ………… ………………
『浩一? 嬉しいな、電話してくれて』
数回のコールの後、アイリスがそう言った。
心底良かった……僕は思わず腰砕けになった。なら、京香のあの笑いは何だったんだ?
いつもの会話、彼女の声はそれこそ何時もと変わらない……あれ? 丸一日会話していなかったのに、いつもと同じ? 『何してたの?』位言いそうなものなのに。
電話口の最後、アイリスが言った。
『私、負けないからね』
「え?」
何の事? 訳が分からずポカンとしてると、京香がくすくすと笑いながら僕に声を掛けてきた。
「浩一! あたし、遠慮なく行くからね!!」
「は?」
少し頬を染めた京香が勢い良く窓を閉める。
そして僕は困惑と共に呟いた。
「え? どう言う事?」 最後の方、「京香がくすくすと笑いながら」の前に「スルスルと部屋に戻った」の一文がないと、そしてノクターンへ……的な感じに読めなくもないですね
いえ、もちろん健全ですともw >>284
お題『気持ち悪い』『英単語三文字の略語』『ロボ』の三つでトライ、バーチャリズム・プラス!
スマホ用恋愛SLG、ピュア・エモーションは、ラブプラス系・リアルタイム恋愛アプリだが、進化するAIを内臓している〜(『英単語三文字の略語』)
さあ幼馴染に『気持ち悪い』と否定される浩一くんが、公衆の場でスマホにキスをしようとして羽交い絞め〜、何やってんだw
浩一くんの選択キャラは『ロボ』っ娘アイリス〜、彼女が猿の如き運動能力を持った幼馴染に奪われ、初期化でもされたかと思ったら、お、特に何もされてない!?
お題を着実に消化しラスト、アイリスは幼馴染に認められたか! 相互認識したバーチャル女子が、初期化を免れ宣戦布告! AIだって負けないよ〜って感じで、新型コミュニケーションの誕生を予感させる、バーチャリズム&リアリズム、狭間END!! 感想有難うございます
取り敢えず、お題を全部使いきれました
それとは別に書きたいネタが後2つ
果たして閉めきりに間に合うのか? 使用お題:『続編』『合体』『ロボ』
【続編・山間の子供達】(1/2)
こどもの日だゴールデンウイークだのと言っても、兼業農家の多い山間では長い休みと言う以外の意味は無く、特に田植えを控えたこの時期は田おこしやら代掻きで人手が取られる。
その為、大森家の勇也、優衣兄妹も田んぼへと繰り出していた……のだが……
「なぁ、親父、俺ここにいる意味ってあるのか?」
「うん、まぁ、家族間コミュニケーション?」
勇也の言葉に父親、雄三が頬をポリポリと掻く。
今、大森家の田んぼでは、宮内 博子……ハカセの父親、真守の作った田んぼ用ロボット“トラクティオン・ジェネシック”がすごい勢いで代掻きをしているからだ。
「うー、ボク、ショッピングモール行きたいぃ」
「まぁまぁ、それじゃぁ、午後からお買い物に行きましょうか? 小凪ちゃんと博子ちゃん誘って、五人で」
特に何するでもなく軽トラックの荷台でお茶を飲んでいた一家だったが、しかし、末娘はそんな長閑な時間に耐えられる訳もなくぐずり始め、どうやら、特に自分達の手など必要としていないと理解した母、結子も、どうせならと買い物の計画を立て始めた。
「あれ? それ、オレ入ってるか?」
「え? だってお父さんは田んぼ見てなくちゃいけないでしょ?」
「まぁ、そうなんだが……」
少なくとも一人は代掻きの様子を見ていなければならない為、当然と言えば当然の結論ではあるのだが、雄三は何だか腑に落ちない物を感じ眉を顰めた。
「何なら、宮内さんでも呼んで、お二人で見ていれば良いではないですか」
「宮内はなぁ……」
雄三が言い渋る。良い友人ではあるのだが、自分の発明に対する説明が鬱陶しいのが玉に瑕であり、そういう意味では、流石はハカセの親だと言えた。
チラリと結子の方を見る。だが、既に彼女の頭には何を買おうかと言う算段しか見て取れない。ならばと愛娘に目をやると、彼女はニパっと笑うと「お父、バイバイ!」と言って、手をにぎにぎと振る。
雄三はガクリと肩を落とした。
******
「ユウくんのお母さん、ありがとうございます!!」
「すみませんおばさん、私まで誘ってもらって」
ワンボックスに乗った大川 小凪と宮内 博子は改めて結子に頭を下げた。
ショッピングモールで買い物三昧だった三人はご機嫌で、会話も弾んでいた。 【続編・山間の子供達】(2/2)
「おにぃ、ふた開けて?」
「お、おう」
妹の為に、ペットボトルの蓋を開ける。
勇也は優衣と最初から最後まで、子供広場で遊んで……と言うより、優衣の面倒を見ていた。
もっとも、自分もそれなりに楽しんでいたので、勇也の方に文句は無い。
優衣の方もずっと勇也と遊べた事もあり、UFOキャッチャーで取って貰ったぬいぐるみを抱きしめ、ご機嫌だった。
もっとも、ぬいぐるみを取ったのはハカセなのだが。
「くふっ、優衣ちゃん、ぬいぐるみ嬉しい?」
「うん! ハカセ姉、ありがとう!!」
「良かったねぇ、優衣ちゃ〜ん!」
「うん!!」
良い所を持って行かれた形の勇也は複雑そうな表情をしていたが、優衣が楽しそうな事もあり(まぁ良いか)と、思っていた。
姦しい後部座席の娘達を見ながら結子が笑みを見せる。
「やっぱり、年頃の娘って良いわね、優衣じゃ、洋服とかもまだ興味ないみたいだし」
「……まぁ、もう少しすれば、興味も出て来るんじゃね?」
「あんたは年頃だってのに興味ないじゃない」
「しょうがないじゃん」
そっけない勇也の答えに結子が口を尖らす。
「小凪ちゃん、博子ちゃん、家の子に成っちゃわない?」
「ば!! 何言ってんの!?」
その言葉に小凪はまんざらでもない様に頬に手を当て、ハカセは頬を染めながらも視線を逸らす。
「お姉たち、顔、赤いよ?」
「うん、優衣ちゃん、良い子だねぇ」
「ちゃ、ちゃうねん!! そう言う事じゃないねん!!」
「母さん! 余計なこと言わないでくれる!?」
慌てる勇也を見ながら、結子がくすくすと笑う。そうこうして居る内に、車は家へと近づいたのだが……
「なんじゃこりゃあぁ!?」
「宮内さん、またやってるわねぇ」
「ユウく〜ん、どうしよう……」
「これは……すごいわね……」
「おー!! おにぃ!! ロボットだよ!! どっちが正義の味方ぁ?」
4m程のロボット同士のガチンコバトル。車を止め、呆然と見ていると、走って来る人影一つ。
「あ、パパ」
ハカセの父、真守だ。
「良い所に帰って来た博子!! 恐らく“組織”の仕業だ! トラクティオン・ジェネシックが暴走した!」
「うえぇ! 大丈夫なの? パパ!」
「すぐに“コンバイザー”を起動したが、流石にパワーでは、トラクティオン・ジェネシックの方に分がある! 博子、“たうえくん3号”の力、貸してくれるか?」
「え? でも、2対1でも、パワーじゃ……」
「ふっ、こんな事も有ろうかと、たうえくん3号には合体機能を組み込んでおいた!!」
「じゃあ!!」
「そうだ! 合体すれば、力で負ける事は無い!!」 【続編・山間の子供達】(2/2)+1
盛り上がっている宮内親子を尻目に、結子がどうしようかと視線で訊ねる。
「……親父回収して帰って良いんじゃない?」
「お父、死んだ?」
「死んでないよ? ね? ね?」
見れば、暴走に巻き込まれたのか雄三があぜ道で“犬神家”をしている。もし致命傷を負っている様なら、流石の真守も放置はしていないだろう。
これ以上巻き込まれても大変だとばかりに、父親を回収して家に帰ろうとした勇也だったが……
「カモーン!! たうえくんスリー!!」
「……」
「良し! 博子、合体だ!!」
「レッツ! コーンバイ……」
「言わせねえよ!?」
どうやら、自ら巻き込まるスタイルで行く事にしたようだ。 >>293
どんまいける
『乗り物を登場させる』
とりあえず五個かな そういえば進行さんいないんだっけ。前のお題のまとめからやりますか 『そんな馬鹿な!』
念のために今投票しとくと>>272
レッドカワイソス 246よりお題1/2
『気持ち悪い』『続編』『合体』『グッバイ』『赤ワイン』『英単語三文字の略語』『ロボ』より三つを選択
>>259【懐古】
>>263【幼馴染、気持ち悪い】
>>266【続編・美人過ぎる女上司が俺に厳しい気がしたけど勘違いだった件について】
>>272【シリーズ物の予告を集めてみた】 246よりお題2/2
『気持ち悪い』『続編』『合体』『グッバイ』『赤ワイン』『英単語三文字の略語』『ロボ』より三つを選択
>>279【ワイングラスの縁】
>>284【思考性電脳純愛】
>>290【続編・山間の子供達】
投票は5/10まででお願いします。作者さんたちのやる気にもなるので、気楽に一票をどうぞ!!
選考基準は何でもいいよ!! お題の投票を行います
>>301-303 でお願いします 誰もお題出さないのか・・・?
とりま自分は『裸』で 297もお題なのかな? 代理がふがいないのが悪いんだけども、先行予約はわけわかめになるね
5個がいいのか7個がいいのか結局わからないし、間をとって6個でいい? ちょうど出てるし 今回はイレギュラー週なのでいいんじゃないですかね
代理お疲れ様です ☆今回のお題
『最強』『乗り物を登場させる』『そんな馬鹿な!』『裸』『プール』『全力』より三つを選択
☆お題以外での条件
文字数:3レス以内に収めれば何字でも可(最大文字数の目安としては、3レスで5000〜6000字程度が妥当)
もちろん文字数が少なくても分割でもオーケー
☆今回のお題の締め切り 5/13の22時まで
☆注意事項
短編小説も、前お題への投票も>>306に安価ください (見逃し防止のため) 空白があった方が読みやすいかと思ったけど、ちょっと開けすぎたね。余白が泣いてます;△;
代理の実力はこの程度だと思ってご容赦ください。そして自分も短編カキカキ…… 一瞬で裸のアニキが、新型サマースポーツとしてカヤックを全力で泳ぎ引いて、そんな馬鹿な! と言われる映像が頭を過った
お題3つ迄で本当に良かった ルパンがプールに例の車ごと突っ込んで、ルパンダイブする映像が真っ先に浮かんだわ
もちろん「そんなバカな」は銭形のとっつぁん >>306
見事なる代返、ありがと!
じゃあ>>263【幼馴染、気持ち悪い】に一票だ
『英単語三文字の略語』は活用が難しいけど、キャラの気持ち悪さに活かしたのが秀逸 >>290
前回お題オオトリを飾る〜、お題指定は『続編』『合体』『ロボ』、躍動するパーディフィールド!(田んぼ)
やってきたぜ名シリーズ、山間の子ら、大森勇也と愉快な仲間たち『続編』〜(気になる人は前スレ参照)
さあ、軽トラ乗った大森家の前で働くは、宮内家から供出された田んぼ用『ロボ』、トラクティオン・ジェネシック〜、トラクターを最大限カッコよく言った的な
いざ父親を見捨てた物語視点が、田んぼ→ショッピング→再度田んぼへと移動し、耕作メカの『合体』機能が山場だぜと思いきや〜、
お題消化で油断したか、3レス制限に阻まれ途中下車エンド? マジかw しかしスピーディかつ安定したスラップスティック展開は楽しいぞ〜、このシリーズ、ファンなんだが〜、290氏、謎を残したこのラスト、『続編』による解明を祈って乙!! >>306
>>284【思考性電脳純愛】に一票で
259と290もよかったんだけど、なんというか一番夢があった。エロい妄想がはかどr(続きはWebで) >>311
感想を何時も有難うございます
自分も書いていて楽しいシリーズではあるので、なるべく書けるよう精進します
>>295
有難うございます 代理進行さん、ありがとう。お手数をおかけしました。
今回のお題も投稿お待ちしてます! >>266【続編・美人過ぎる女上司が俺に厳しい気がしたけど勘違いだった件について】
に一票
前回の投票で止む無く見送ったので(>255)今度こそこれに。 今回もまた発想の雷が落ちてこないな……地道に考えよう >>306 とりあえず無難に一つ目 使用したお題:『最強』『そんな馬鹿な!』『プール』
【夏が始まる】
最強のプールとは何か。夏が近づいてくるにつれて水が恋しくなってくる今日この頃、太陽より熱い男子学生どもの議論が白熱していた。
「遊ぶ設備がたくさんあるプールが最強だ」
角刈りが曰く、ただ泳いでいるだけでは詰まらない、とのことだ。
ウォータースライダー、流れるプール、波のプールにウォーターゲーム広場。遊ぶ要素の多いプールこそ一番だというのだ。
ただ水に浸かってるだけで楽しめた若かりし頃とは違う、そう言う意味だった。
「いいや、近場で安上がり、これこそが最強だ」
茶髪曰く、プールで遊ぶこと自体二の次、とのことだ。
プールは避暑地としての役割が徹底していればいい。あとは一緒に来る者との間でなんだかんだで楽しめる。
それに、一人で来たとしても問題ない。むしろその方が楽しめることもある、という意見だった。性欲を持て余した男子学生が何を楽しむかなんて推して知るべしである。
「それも違う、立地条件こそ最も考慮すべき案件だ。つまり、あのプールが最強だ」
メガネ曰く、プールそれ自体に着目するのは視野が狭い、とのことだ。
インスタ映えなんて言葉もあるご時世だ、プールの見映えはかなり重要事項だろう。マンション街のど真ん中にあるプールより、山羽に埋もれた大自然の中のプールの方が景色が良い。
それに立地条件が良い場所にはどんな客が来ると期待できるかを考えてみろと言われ、納得する。下半身に支配された男子学生が何を期待するかなんて推して知るべしである。
喧々諤々の議論が行われているときに、今まで黙っていた丸坊主がふいに手を挙げた。丸坊主曰く。
「みんな、甘い。遊び場所の多さなど語るに及ばず、立地条件もプールでの楽しみには関係ない。
値段の安さなど得られるものが少なければ安物買いの銭失いとなる。一番最強のプール、それは温泉だ」
「そんな馬鹿な! プールの話だぞ?」
「いきなり何を言いだすんだ、お前。気でも違ったか?」
「温泉は嫌いじゃないけど、夏にいくもんじゃねーだろ」
口ぐちに非難する角刈りと茶髪とメガネ。だが不敵に笑った丸坊主は再度「甘い」と断じる。
「良く考えてみろ。遊び場所が多いということは親子連れが多いということだ。よくよく日を選ばないと混雑が予想されてまともに楽しめないだろう。
立地条件に関しては一考に値するが、そういうところはセキュリティが高い。また安上がりの市民プールになんて年頃の女性は来たがらない。違うか?」
丸坊主の言葉に三人は「うっ」と呻く。彼らが口ごもったのを確認し、温泉の良いところを言い募った。
「確かに、温泉は夏に行くところではない。だが、だからこそ夏場の温泉は格安ツアーが多い。
我々の貧弱な財政でも比較的安易に行ける。そして夏の暑さのせいで温泉の人気が陰るからこそ、それ以外のサービスが多く、それを目当てにする女性客が多いと聞く。
しかも子供はそれこそプールに行くし、老婆は暑気払いに涼しい場所へ行きたがる。となると、温泉に向かう客層はおのずと絞り込める。違うか?」
「な、なるほど」「確かに……」「そうかもしれない……」
疑いの眼差しだった三人に納得の表情を浮かべると同時に、丸坊主が爆弾を落とした。
「ちなみに、僕の知り合いに温泉宿をやっている者がいてね」
「なんだと!?」
「昔から良くお世話になってる温泉宿で、見た目も古風な素敵なところだ。そして何度も行ってるからこそ立地や周辺の地形は把握している。また監視カメラの場所も知っている。
で、一番のメリットなのだが……毎年、どこぞの女子大生が部活動の夏合宿で毎年利用しているらしい。美人揃いで有名な女子大なのだが……興味はないか?」
三人は立ち上がり手を中央へ伸ばす。三人の手が重なったところに、最後立ち上がった丸坊主が手を乗せた。
「よし、みんな夏の予定を合わせるぞ。今年の夏は、温泉だ!」
「おお!!」
こうしてゲスな願いと男のロマンを叶えるために、男子学生4人組が行動を開始した。暑い夏の始まりである。
……余談だが、地形を把握していたとはいえ覗き対策はバッチリされていたため、彼らの望みは叶うことはなかった。
わずかとはいえ確実な収入にホクホク顔の温泉宿の女将さんと、その女将さんからお小遣いを貰った丸坊主以外は。 >>306
>>272【シリーズ物の予告を集めてみた】に一票
こういうの好き ルパンがプールに例の車ごと突っ込んで、ルパンダイブする映像が真っ先に浮かんだわ
もちろん「そんなバカな」は銭形のとっつぁん >>317
317氏が選んだお題は『最強』『そんな馬鹿な!』『プール』、水が呼ぶ妄想の長談義〜
さあ、今年の夏は、プールで色々観察だ! 男子学生たちの邪念と、不毛な議論が白熱するぜ、観察に適した『最強』の『プール』とは〜
いわく、アトラクションの充実、コストパフォーマンス、立地条件〜、羅列されるも、なんか足りない、そう、足りないのは、インパクトだ!
勝機と見た丸坊主プレゼンツの最強プール…、それは、温泉! そっちw
物語は想定外の最強プールで『そんな馬鹿な!』を誘発し、お題をクリア〜、小銭のために友情を失い、つかそもそも混浴ですらないのかよって感じで、許されざる者、丸坊主ENDでまとめたァ! 安価は毎週日曜日22時からかな。ちなみに今週のお題は>>306です。
物語の質ではなく、みんなの色々な着眼点を見てる感じだから、適当に書いて気楽に参加してみてくださいな ☆お題→『気持ち悪い』『続編』『合体』『グッバイ』『赤ワイン』『英単語三文字の略語』『ロボ』投票締め切り
>>272【シリーズ物の予告を集めてみた】二票
>>263【幼なじみ、気持ち悪い】一票
>>266【続編・美人過ぎる女上司が俺に厳しい気がしたけど勘違いだった件について】一票
>>284【思考性電脳純愛】一票 あ、投票集計するの忘れてた。代理の代理サンクス
いえーい、2票でトップ取ったぜー。ひゃっはー トリのメモなくした……たぶんこれだけど……
今週も明日まで、まだまだ作品募集してます! >>306
えっと、こうですかね?
使用お題:『そんな馬鹿な!』『裸』『プール』
【水面の月】(1/2)
月が綺麗だ……僕はそう思った。
けど、欠けることない真円は、 美しさに比例して侵しがたい神秘性をも湛える。
「何ボケッとしてるのさ、早く来なよ!」
月を眺めていた僕に、彼女が金網の上からこ声をかける。
「え、うん」
ハッとして、僕は差し出された彼女の手を取った。
******
コツンコツンと窓ガラスに何かが当たる音がする。
―AM1:27−
「……」
眠い目を擦りながら僕はカーテンを開く。窓の下には予想通りの光景。
小石を手に、振りかぶった彼女の姿。
僕の姿を窓越しに認めた彼女は、極上の……悪魔の……笑みを浮かべた。
「プールに行くよ!」
「は?」
すでに決定事項なのだろう。言い切る彼女に僕が眉根を寄せる。当たり前だ、こんな夜中に何を言っているんだろうか?
「ほら、行くよ?」
「……」
溜息交じりに、僕は重い腰を上げた。 【水面の月】(2/2)
******
月が揺れ、水面の波紋が地上の現身を割る。
夜の学校のプールは、水音だけが響いた。
服を着たままの僕は、水の滴る自分の前髪を鬱陶しいとばかりにかき上げ、一匹の濡れネズミを作り上げた犯人を睨んだ。
━━そんな……馬鹿な! ━━
顔を上げ、思わず呟く。
全裸の彼女が、僕を飛び越え水中に滑り込む。
まだ未熟な、不完全な……不完全だからこその美しさ。
パチャン……
僅かに聞こえる水音。
現実とは思えない光景に息を呑む。彼女の裸体に光の波紋が映る。
視線が合い、ハッとして身体ごと後ろに向ける……と、背中に小さなぬくもりを感じた。
「な、何やってんだよ!!」
「思ったより水が冷たかった」
「……そんなの……」
当たり前だろう? そう言おうとして僕は身を固くする。
小さな嗚咽。
「何か……」
あったのだろう。彼女は嫌々をする様に僕の背中に頭を押し付ける。
「……ごめん」
困惑したまま立ち尽くす僕の後ろで、彼女の呟きが聞こえた。
ぬくもりが消え、彼女が遠ざかって行く。
呼び止めたい衝動は有るけど、もう一度、生まれたままの彼女を目撃しそうで、振り向く事が出来なかった。
静寂が流れ、既に彼女が居ないと悟る。
僕は、ずぶ濡れのまま一人、家路を歩いた。 人によって作風って全く違うんだね。これまた独創的な・・・
うし、新人さんに負けてらんないや。なんか書こう >>306
使用お題:『最強』『乗り物を登場させる』『全力』
【海王クラーケンの色々な冒険】(1/2)
クラーケン。言わずと知れた海の大海魔である。
生まれつきの王者であり、比類なき最強の存在……それが彼女だった。
だが、その最強の海魔は今、眼前の相手に全力の“服従のポーズ”を取っていた。
「きゃ―――!! タカシ様! 見てはだめですぅ!!」
「目がぁ!! 目がぁ!!」
……少し騒がしいが、目を瞑り、許されるのをジッと待っていた。
******
「何で幼女の姿なんだ?」
「騙されてはいけません!! 妖魔の類は庇護欲を誘う為にわざわざ子供に化けると言います!! きっとこれもその類です!!」
クラーケンの姿の時は、取るに足らない小さい生き物だと思っていた。一匹一匹では腹の足しにもならない生き物……人間。
だが、今目の前に居るソレは、クラーケンの価値観を真っ向から破壊せしめたのだ。
捕食者。
絶対強者であった自分に初めてそんな目を向けた者。
(湯がいて、細かく切ってから酢醤油にラー油をまぶして、長ネギの細切り何かを上に乗せて食べたいよなぁ)
そんな目で自分を見ていた。
そして、そんな事を考ることが許される“強者”であった。
揺れる小舟と言う不安定な足場であるなど感じさせる事も無く、海王である彼女を散々甚振った挙句、地上まで放り投げた理不尽な存在。
初めて上がった陸地で彼女の心を占めていたのは「食べられたくない」……その一言だったのだ。
人間の幼生体の姿を取ったのは本能的な物である。どんな種族でも、その赤ん坊は、大人に庇護欲を掻き立てるからだ。
一応、野生動物である彼女はその事を本能的に悟っていたのだろう。
その効果は劇的だったと言って良い。
先程まで捕食者の目をしていた彼……一緒にいた白い雌は“タカシ”と呼んでいた……は、今は困惑した様な目で彼女を見ていたからだ。
人化した為に相手より小さな姿となったクラーケンは、ペタリと地面に座ったまま、それでも恐怖に震えていた。
確かに今は捕食者の目はしていない。だが、いつまた自分を食べる気になるか分からなかったからだ。
今の自分より大きな相手、頭越しに覗き込まれる威圧感は半端なかった。
本能的にとは言え、この姿に成ったのは失敗だったのではないか? そんな風にも思った。
たからこそ……
「もう、近隣の海を荒らしたらダメだからな?」
そう言われ、頭を撫でられた時は、ポカンとしてしまったのだ。
そしてジワジワと湧いて来る安堵と喜び……タカシもそんなクラーケンの心情が分かったのか、優しく頭を撫でる。
大きな、温かい手だった。
******
孤独は心を蝕む毒である。それは例え絶対強者だったとしても変わりない。
この日、彼女の心の壁には大きな風穴が開いた。何百年の内に積もった孤独で蓋をされた心に、感情と言う穴が穿たれたのだ。
初めは恐怖。次に安堵、そして喜び……最後は寂しさ。
薄墨を被せた様だった景色は、その風穴によって一気に色付いたのだ。 【海王クラーケンの色々な冒険】(2/2)
そして、彼女は思った。
(また、あの孤独の中に戻るのは嫌だ!!)
気が付けば彼女はタカシの背にしがみ付いていた。この感情を手放したくなかったからだ。
******
……そして今、彼女は彼の傍らにいる。あれから仲間も増え、新たに馬車も買った。
様々な事が有った。しかしどれも、彼女にとっては楽しい事ばかりだ。あのまま海に居たなら決して味わう事の無かったであろう体験に彼女の頬が緩む。
馬車の御者台、手綱を握るタカシの隣。並んで座り、クラーケンは少し顔を上げ恩人を凝視する。
「ん? どうした? お腹でも減ったのか?」
彼女は全力全開、満面の笑みで応える。
「さすごしゅ!!」 >>333
選択お題は『そんな馬鹿な!』『裸』『プール』だ〜、満月のプール・タイラント!
さあ、ここ最近、市民権を得たナイトプール〜、傍若無人・暴君女子に連れられて、主人公がやって来たのは学校、夜更けのナイト『プール』開きだぜ
ど突き落とされ濡れネズミ〜、『そんな馬鹿な!』とおののく彼の目映るのは、男勝りなる暴君の、月光に映える美しき『裸』身〜
冷たき水面、体温伝う〜、主人公だけに許された、彼女のボディとの謁見は、容易にゃ見せぬ弱さのメタファ〜、暴君の正体見たり女子だったw
お題を消化した物語は強引少女の裸姿を映し出し、予想だにせぬ、か弱き内面ほのめかす〜、少年は家路についても唖然呆然、この鼓動は何の鼓動か分からぬままに冷めやらぬ、ビューティムーンENDだァ!
>>336
お、全消化する気か!? 『最強』『乗り物を登場させる』『全力』を選択、クラーケン・ボリュームゼロ!
さあ、あらためて紹介するぜ〜、短編スレ初期よりレギュラー、クラーケンとタカシの仲間たちは読者のハーレム願望を満たす俺ツエー系冒険譚〜
言わずと知れた大海魔、海『最強』の王魔クラーケンは、タカシに負かされ仲間入りした幼女系ペット・ポジw
彼女の脳裏によぎるのは、揺れる小舟(『乗り物を登場させる』)で本能に刻まれた敗北感、しかしそれだけではないぜ! 孤独に戻る自分への動揺、仲間への渇望〜、彼女の冒険の記録には、温かさを求めた心、記される〜
ラスト、『全力』全開、満面の笑みで喜びを表すクラーケン、心にもはや迷いナシ〜、336氏が、仲間になりたそうに以下略ENDで、フ、余裕だぜって感じで、お題を消化してくれたァ〜 何時も感想有難うございます
全消化は出来たものの、一週間かかってしまいましたがw
最初に思い付いた裸のアニキ祭りのインパクトに引きずられて、それを払拭するのに苦労しましたorz >>306 うーん、自分的点数で35点くらい? 次のお題でがんばろう・・・
使用したお題:『裸』『乗り物を登場させる』『全力』
【走る密室】
車って最高の密室だと思うんだ。
だってそうだろ?
窓を開けない限り外の音は聞こえず、中の音も漏れない。喩え時速20kmの徐行運転だったとしても、走っている車から脱出するのは結構難しい。しかも大抵の人は自分の運転に夢中だから、対向車の中の様子を伺いしろうともしない。
ほら、密室と同じじゃないか。
仮に素っ裸で運転してたとしても、誰にも不審な目で見られることはないんじゃないかな。本当は猥褻物陳列罪なんだけどね。
……いや、まあさすがに羞恥心があるから、僕は全力で遠慮させていただくけどね。
とかく、車ってのはどこにでも見かけることのできる高度な密室だと思うんだ。音は聞こえず、脱出することはできず、中を見ることはできない。
ああ、もちろん露骨に不審な車……例えば窓全開でデスメタルを爆音で響かせてるとか、見た目がボロボロでフロントガラスが割れているとか、中が赤一色に染まっているとか突拍子もないものは除くけどね。
基本的に誰も車の中という密室で何が行われているかは知らないんだ。車ってのは誰もが日常的に何百台と見ているはずなのにね。
だから……こんな怖い事が起こるんだよ。
『先月未明から行方不明の男性の体の一部が発見されました。山中にバラバラに捨てられた男性の両腕、右足に続き、今朝ほど左足が発見されたと警察当局から発表がありました。
依然捜索を続けられていますが、最初の左腕が発見されてから3カ月以上経過しており、被害者の男性の生存が危ぶまれておりま……』
僕は知っている。このラジオの情報は間違っている。被害者は生きているんだ。
なぜわかるのかって? 当たり前だろう? だって僕が生きているんだから、ね。 >>340
都市伝説系ですね
犯人は何を思って連れ回しているんでしょう? お題
『最強』『乗り物を登場させる』『そんな馬鹿な!』『裸』『プール』『全力』締め切り
【参加作品一覧】
>>317【夏が始まる】
>>333【水面の月】
>>336【海王クラーケンの色々な冒険】 定番になりつつある七つお題安価取ります
>>344-350 >>340【走る密室】も入れてあげて下さい
お題『対決』 サブミッション
お題集まらなそうなら5個でもいいんじゃないかな、と では……私から難易度上げるお題
『芋焼酎』
で、今日のところは締めましょうか。 安価埋めつつ、締めで忘れてしまった>>340さん、本当にごめんなさい。
正しいリストを上げなおしておきます。
【参加作品一覧】
>>317【夏が始まる】
>>333【水面の月】
>>336【海王クラーケンの色々な冒険】
>>340【走る密室】 ☆お題→『対決』『母』『5月病』『魔法』『サブミッション』『芋焼酎』より三つを選択
※二つ以下、四つ以上は不可
☆文字数→3レス以内に収めれば何字でも可。
最大文字数の目安としては、3レスで5000〜6000字程度。
もちろん文字数が少なくても分割OK
☆締め切り→5/20の22時まで
☆平行して投票を行います(試験運転)→安価もしくはタイトルで一人一票までレスしてください。締切5/16の22時
【見逃し防止のため、このレスに安価してください。】 >>340
前回お題トリをつとめる、自己採点が謙虚な340氏、選択は、『裸』『乗り物を登場させる』『全力』! デッドマンズ・カーは眠らない!
さあ、おもむろにクルマについて語り始める主人公が登場(『乗り物を登場させる』)、
車中…、そこは移動するプライベート空間、ゆえに誰にも注視されぬ現代の密室でもあるぜ、仮に素っ『裸』で運転してたとしても気づくまい〜 ←まあそれは分かりそうだがw
しかし羞恥プレイは『全力』で拒否、お題を消化した軽口が見せるは、バラバラ殺人の報道? ってこれはまさか…!
ラスト、雑談のごとき語り口は絶望気分のヤケクソだったか〜、彼を乗せたブラックボックスは、死出の旅路を突っ走り〜、軽い口調がドライブしながら棺桶突っ込む時を待つ、未解決事件・ロードムービーENDォ! >351 いつも進行ありがとね。代理やってみて結構大変なの知ったわ・・・
>>352 なんかネタが思いつかなくて競馬実況さんを活躍させられないのが残念無念。すまぬ、すまぬ・・・ >>353
え、
そう?
意表をついてて俺は結構好きだがw >>351 今回なんかやりやすい。馴染む、実に馴染むぞぉ!
使用したお題:『対決』『母』『サブミッション』
【母子バトル】
母と喧嘩した。
いや、これはもはや喧嘩などという生易しいモノではない。対決だ。戦争だ。殺し合い……はさすがに違うけど、それくらい真剣な戦いだ。
きっかけは些細なことだった。
些細な日常のあれやこれやが積み重なったことと反抗期という人生最低な時期が重なった結果の正面衝突だった。青春というやつである。
とまれ、母と私は一切口を聞かずに、お互いを牽制しあっている。今更後には引けず、絶対に怯んではならず、一歩も引いてはいけない。
今日も今日とて無言の殴り合いが勃発していた。
まずは料理。これにはどうしても母が上手だった。
長年の経験という一日の長をひっくり返すのは生半なことではない。おおむね常に敗退を余儀なくされている。
しかし、私だって現代人の端くれ、図書館にいって埃の被った料理本ではなくインターネットを利用し、最新の美味しい料理のレシピを習得し披露する。これならば奴も戦局は優勢とはいえ攻めあぐねているようだった。
次に掃除。こちらは私の領域だ。
掃除の良し悪しというのはある程度の基本さえわきまえれば、あとは掛けた時間に比例するものだ。よって仕事で外出が多い母はどうしても一歩劣る。私が堅実に勝ち星を稼いでいける分野だ。
しかし、やはり特殊な汚れやゴミの分別などは経験が物をいうらしい。打撃戦の合間にサブミッションのような狡猾な一撃を食らわせてくるのだ。そのせいで実に情けないことに、たまに後れを取ってしまう。
最後に雑事全般。これは一長一短あるためどちらも甲乙つけがたい。
近所付き合いや細かい仕事に気付くのはいつも母だ。悔しいが勝てない。
だが近所の特売情報や品物のコストパフォーマンスなんかは私の方が上手だ。若者の広い視野と軽快なフットワークを甘く見てはいけない。
ゆえにここは勝ったり負けたりしている。逆に言えば、ここさえ押さえれば私の勝ちは揺るぎない物になるはずだろう。だから雑事と言っても気を抜くこともできない。
そして今夜、私は最新の料理を綺麗に片付けたリビングに盛り付け、母の帰宅に合わせて料理を温めなおした。玄関が開く音がする。
ドヤ顔を見せつける私に対して、母はいつものように愚痴を言う。
「まったく、あなたは学生なんだから勉強を頑張りなさい。お母さんのことは気にしないでいいんだから、もう」
「だったら私にバイトの許可出してよ。母さんの給料だけじゃ家計苦しいの知ってるんだから。じゃないと私はまともに勉強なんてしてらんないんだからね!」
全く仕方ないなぁと不満気な顔で母は言う。が今日は何も文句を言わずに食卓に着いた。どうやら今日の勝負は私の勝ちらしい。
こうやって勝ち星を重ねて、バイトをする権利をもぎとってやるのだ。すべてはシングルマザーで私をここまで育ててくれた母の手助けをするために。
私は負けない!! 文章全体が明るいのが、ちょっと涙を誘うというか……良い話 ちょっと連載の息抜きに。
使用したお題:『対決』『魔法』『芋焼酎』
【二人の魔法使い】
ある場所にて二人の男が向かい合っている。幾度となく対決を続けてきた青髪と赤髪の二人の魔法使いの新たな闘いの幕が上がろうとしている。
緊迫する二人の男同士の闘いは睨み合いが続き、中々始まらない。互いに攻め込む隙がないのである。緊迫感溢れるその状況に互いに冷や汗が出てきている。
しかしいつまでもそのような状況は続かない。赤髪の男の目に僅かに汗が流れ落ちる。
「『アクアバレット』」
そのほんの少しの隙を突いた青髪の男が手を振り上げると同時に数多の水弾を一瞬の内に展開される。だが、対峙する赤髪の男にも欠片も油断した様子は見られない。後手に回った事を冷静に受け入れ、それに対する最適な戦法を模索する。
しかしそんな間など与えまいと青髪の男が手を振り下ろすと同時に数多の水弾が赤髪の男に襲いかかる。その水弾の威力は一発で普通の人ならばあっさりと貫通する致命の一撃。それが横殴りの豪雨のように襲いかかる。
「『炎纏』!」
数多の水弾に対抗する為に赤髪の男は身に炎を纏う。その身に宿す炎は鉄をも溶かす業火であり、襲い来る水弾を即座に蒸発させる事で致命の水弾を防いでいく。
互いに持つ実力は人の域を越え、そのどちらも致命の一撃となる。水弾が脅威でなくなった為、距離を詰め赤髪のの男は攻撃に転じようとするがそこで失策に気付く。
赤髪の男にあの程度の水の魔法が通じない事など幾度となく戦ってきた青髪の男が知らない筈がない。それでもその攻撃を選んだのはその防御の後に起こる事である。大量の水が蒸発し、そしてそれが他の水弾によって冷やされればどうなるか。つまりは霧の発生である。
「ちっ! しくじったか!」
「らしくないな? 我慢しきれずに焦ったか?」
「そう思うなら譲りやがれ!」
「それだけはお断りだ」
霧で姿を隠した青髪の男が赤髪の男の文句はばっさりと切り捨てる。そもそもそれが出来るのであればこんな対決などはしていない。
「『ダイヤモンドダスト』!」
「ちっ、今回は俺の負けかよ……」
青髪の男が繰り出すのは氷属性最強の魔法。赤髪のの男にとっては何もない状況であれば切り抜けるのは容易いが、霧という条件下でこれを破るのはほぼ不可能に近い。禁忌を魔法を使えば不可能ではないが、流石にそれはやり過ぎである。
赤髪のの男は死なない程度に威力を削ぐ程度に炎纏を使い、大人しく今回は負けを認めた。
互いに生死を問わずに戦えばもっと壮絶な事になり、周囲にも甚大な被害が出るだろう。
「えーと、今回はあなたの勝ちですね」
「あぁ、毎月配達を済まないな」
「いえいえ、これが仕事ですので。こちらが今月分の『芋焼酎』になります」
「ちっ、これで来月まで俺は酒はお預けか……」
「これも酒の席の喧嘩で王都を半壊させた罰なんですから諦めて下さい。月一回の酒の差し入れがあるだけマシと思ってくださいよ!」
赤髪の男と青髪の男は、揃って酒の飲み過ぎで喧嘩をし王都を半壊させた。だがどちらも救国の英雄であった為に1年の軟禁という非常に軽い罰で済んでいる。ただし毎月1回ある差し入れの酒を両者で分け合う事はなく、配達の者の立会の元で奪い合いをしているのである。
先月は赤髪の男の勝ちであり、今月は青髪の男の勝ちであった。 >>355
お互いを思い会える素敵な親子ですね
最初はおや? っと、思わせつつ、最後はホロリとしました
>>357
分ければ良いのに……
酒飲みの意地汚さと言うものでしょうか? >>355
歩道が広いではないか、行けッ! お題『対決』『母』『サブミッション』を選択〜、愛と青春の母子喧嘩!
今回のお題は『母』〜、スレ民の執筆依頼、母の日ものの要望に応えた355氏が描く、『母』と子の、ん、『対決』? いやこれは戦争だ!
さあ、往年のプロレスじみた応酬でスタート〜、『サブミッション』の一撃、軽快なフットワーク、入り混じる技の数々が、お題を消化しきって、しかしこの話はどこに行くって思ったらw
家事戦争のホントの所は、親の苦労知る子の想い〜、355氏の練り上げたネタバレで、進行氏が目頭おさえてオチ成立w
返したくても、返しきれぬが恩返し! 女手ひとつ、育った娘がカーネーションを母に手渡し、日本中でこだまする、こっちでやっとくよ・たまには休みな母の日END! ばっちし決まって乙カレ〜
>>357
357氏の選択は『対決』『魔法』『芋焼酎』、バンデッド・ファイターズ!!
さあ、幾度となく『対決』を続けてきた、青髪と赤髪の『魔法』使いが睨み合い、瞬時の隙を突いて攻防がスタートォ、
魔法戦が熱いぜ! 飛来する水弾に対抗の業火〜、鉄をも溶かす灼熱で濃霧発生、必殺のダイヤモンドダストで遂に勝負が〜ってあれ?
唐突に現れる、月イチの定期便、『芋焼酎』の差し入れww 357氏、王都とイモ焼酎って、どんな世界観なんだァ!
犯罪者でもある二人に焼酎が届けられ、なんという優しきラスト、ってかこれ357氏が魔法戦をやりたかっただけだろって感じで、イモ焼酎は美味いよねEND〜 >>358
感想ありがとうございます。
分けられるくらいなら酒の飲み過ぎの喧嘩で半壊させたりはしないw
>>359
はい、魔法戦書きたかっただけですw
ちょっとオチが強引だったかな?
って事で>>357の最後に一文付け足しで。
尚、その二人の男は酒を与えなければ酒を求め共謀して逃げ出す為、敢えて足らぬ酒で対立するように仕向けられている。 >>351 使用したお題:『母』『5月病』『魔法』
【やるキー】
「さーて、今日ご紹介する商品はこちら!」
「ええと、これはなんですか? カギ?」
「はい、その通りです。これは魔法のカギ、通称『やるキー』です!」
「やるキー? ヘンテコな名前ですねぇ。で、これはなんに使えるんですか?」
「これはですねぇ、なんと体に差し込むとその人のやる気が出まくる! という商品なんです!」
「え、なんですかそれ?」
「大抵は背中あたりなんですが、そこにこのやるキーを差し込むと、もう元気溌剌! なんでも何に対してもやる気が出て凄い活動的になるんです!」
「まるでアニメの未来道具みたいな効果ですねぇ」
「ええ、全くその通りです! このやるキーを使えばあら不思議、かったるいなぁ疲れるなぁと思ってやりたくないと思っていた作業がぐんぐんはかどります! これがあれば月曜日の朝なんて怖くない!
めんどくさい炎天下の営業回りも手間ばかりかかる家事掃除もやりたい放題ですよ!!」
「もしかして、五月病なんかにも効きますか? 最近ちょっと朝起きるのが辛くって……」
「もちろんです! 今まさにその季節ですからねぇ。仕事に慣れて『早起きしたくないなぁ。今日休みたいなぁ』って人にはまさにオススメです! 体の奥底からやる気が沸いてきますよー!!」
「でも本当に効果あるんですか? 正直、ちょっと疑わしいんですけど……」
「ご心配はよくわかりますがこちらをご覧ください! ほら私の背中に!!」
「あ、ホントだ。やるキーが刺さってる!」
「はい! 私が今日こんなに張りのある声が出ているのは、まさしくやるキーのおかげです! というか我々のようなお仕事には必須の代物なんで、テレビに出るとき同僚はみーんなこれ使ってます!」
「ああ、だからおたくの会社の社員さん、みんな妙にテンション高いんだ」
「そのとおおおおり、でございます!! それにこちらの写真を見てください。こんな青ざめた顔をしたやる気のない主婦も、やるキーを刺したら驚きの効果! こんなに張り艶ある顔になっています!!」
「ホントだ、表情が全く別人ですねぇ」
「それだけじゃなく、やるキーを刺した途端、今まで厄介だからと倦厭していた実家へのご挨拶や台所にこびりついたしつこい油汚れの掃除なんかも率先してやりだしました!
やる気がみなぎりすぎて、なんだか若返った気がするとおっしゃっていました! 実際、彼女の娘さんから『お母さんが元気いっぱいで嬉しい』とのお声もいただいております!!」
「へー、凄い効果なんですね。でも、そんなに効果があるんじゃお高いんでしょう?」
「そんなことはありません! なんとこのやるキー、通常なら1本このお値段ですが……今ならなんと半額でご提供できます!」
「おー、すばらしい!」
「しかも! この放送を見た、と一言仰ってくださったお客様には、先着100名様限定で、なんとやるキーを2本目をセットでお送りさせていただきたいと思います!」
「えー、1本のお値段で2本も? お得すぎませんか?」
「それだけじゃありません! 期間限定ではございますが、今ならやるキーを保管しておくには便利な専用ケースと、やるキーを綺麗にするための洗浄液もおまけとしてお付けいたします! もちろん送料は無料です!!」
「わー、すごい! 私買うわこれ!!」
「ではもしご購入を検討されたお客様には、こちらの電話番号をお願いします! いいですか? 0120……あれ? え?」
「ん? あれ、え、ど、どうするの?」
「……ええと、申し訳ありません。今回ご紹介した商品のやるキーですが、どうやら在庫がなくなってしまったようで、ご提供することができなくなってしまいました。申し訳ございません……」
「え、ええと、その今さっき届いた情報によりますと……『五月病でダラけていた電話係や商品梱包部や営業部にやる気を出させるため、全員にやるキーを刺したところ、在庫がなくなってしまった』とのことです……」
「ええっと、その……申し訳ありませんでした!!」
「謝罪もやる気一杯でやるんですねぇ……」 決まりきった様なあのやり取りも、きっと魔法のせいなんですねw
大体、皆、同じ頃に掛かるから五月病
ちょっと時期が悪かったですねw >>361
これは製造している人達に増産のためにやるキーを使うしかないですね!
てか、こんなのあったら普通に欲しいかもw >>360
>尚、その二人の男は酒を与えなければ酒を求め共謀して逃げ出す為、敢えて足らぬ酒で対立するように仕向けられている。
うわ、このオチ毒があって良いやんw >>361
通販小説が登場だ〜、お題選択は『母』『5月病』『魔法』、イッツ・ヤルKey・スイッチ・ショッピング!
さあ、今回ご紹介する商品は!? 体に差し込むとやる気みなぎる『魔法』の鍵で、名称『やるキー』! これ以上覚えやすい名前はないw
『5月病』にももちろん効く、張りのある声、張り艶ある顔、お『母』さんが元気いっぱいで嬉しい、などなど、喜びの声が寄せられており、
実家へのご挨拶、油汚れの掃除にも効果を発揮w すげえ、すげえよ、やるキー、名前はふざけてるけど無敵じゃないか〜、ラスト、梱包係までもモーレツ化した商品出庫で、在庫切れオチww
クソッ、在庫管理係は何をやってるんだ! そう、効率化とは一部だけでは成し遂げられモノ、全体効率こそ最大の要なのだァ! 何だか勉強になったぜって感じで、クレーム処理も全開ENDォ! ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています