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安価・お題で短編小説を書こう!3
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0001この名無しがすごい!
垢版 |
2018/04/04(水) 00:55:10.74ID:hc7Tm9Ma
安価お題で短編を書くスレです。

■お題について
現在、毎週日曜日の午後22時に前回のお題を締め切り、新しいお題を安価で決める方式を取っています。現時点での募集お題はスレ主によるレスを確認してください。

■投稿方法
投稿する際は、1行目に【】でタイトルを付けてください。決めていなければ【無題】でも可。
作品は3レス以内で。レスが2つ以上に別れる場合は分かりやすいよう番号を振ってください。

■「小説家になろう」等への投稿について
同一内容を別サイトへと投稿する行為は認めています。
その際、著作者以外が5ch上から無断で転載したものと区別するため、出来る限り【本スレへ投稿する前に】投稿してください。ご協力よろしくお願いします。

■前スレ
安価・お題で短編小説を書こう!
http://mevius.2ch.net/test/read.cgi/bookall/1508249417/
安価・お題で短編小説を書こう!2
http://mevius.2ch.net/test/read.cgi/bookall/1511408862/
0519この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/01(金) 13:17:02.91ID:xkSMtEiu
まともな感想書けなくてごめんだけど、なんか読んでたら良いネタ思い付いた
ありがとう!
0520この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/02(土) 07:21:46.86ID:PVyH3slY
>>511
お題『ガーターベルト』『メイド』『誰かが雄叫びをあげる』に挑戦だ、デッカイザーライドオン!
さあ、現れるは正義のメカ・デッカイザー〜、目の前では「グッガアアァァッ!!」と『雄叫びをあげる』、宇宙帝国インベイドの先兵、改造巨獣が吼えるぜ〜
しかし人類の未来を背負って戦う、パイロット・クライさんが防戦一方、なにごと〜、問題は敵のデザインだ、獣の容姿に『ガーターベルト』装着の、『メイド』型巨獣によるパンチラ悩殺ww
長官「若さゆえの経験不足がここで浮き彫りになったか……」←何の経験なのか、苦境を見たバックヤードが遠隔操作で光学兵器を発射し、改造巨獣はケシ飛んだァ! 倒すの簡単じゃねえか
最大の敵は己の若さか、それとも潜在した性癖か〜、511氏の大作が予想外のお題消化で、ケモナー趣味に目覚めちゃったオチを経由し、痛恨のアニマル・ラブEND!w
0521この名無しがすごい!
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2018/06/02(土) 10:01:32.93ID:Lbzrgl5R
>>520
感想、いつも有難うございます
どうしてもスーパーロボツトが書きたくてこうなりましたw
0522この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/02(土) 19:58:10.82ID:Lbzrgl5R
使用お題:『ガーターベルト』『メイド』『悩み』

【くノ一ボタンの色々な冒険】(1/3)


 ギャグボールを噛まされ、ボタンは必死で逃げようともがいた。目の前には4人の男女。ボタンの使命はその内3人の監視であり、もう一人の……サムライ風の少女については、まったく前情報に入って居なかった為、不意を突かれこうして囚われの身となってしまったのだ。
 そんな、ウーウーと呻き声を上げるボタンを見下ろしながら、監視対象である少年、タカシが目頭を揉んでいる。

 実の事を言えば、この少年に対する本当の指令は暗殺。だが先日、ボタンの里の腕利きの若い衆が襲撃を掛けたにも拘わらず、その全てを返り討ちにして彼らはここに居るのである。

 重傷ではあるが、誰一人命を失った者が居なかった若い衆を見て、驚愕と共にボタンは(!! ……流石は、勇者です!)と、そう思った。

 勇者……魔王と対を成す存在。魔王を倒し、人類を平和へと導く存在とされている勇者ではあるが、ここ魔王国では、その評価は真逆となる。
 「殲滅者」「一騎当千」「一人戦略兵器」「性獣勇者」ets……様々な異名がそれを表している。
 当たり前だろう。日々国民が増える魔王国において、彼等が自身の領域を冒されない様に領土を拡張しようと決断した魔王に弓引く者なのだ。

 だが、同時にある種の尊敬を集めているのも確かである。なぜなら、魔王国において強き者と言うのは、それだけで崇敬の対象と成るからだ。
 そう言う意味で、魔王が弱ければ勇者に討たれたとしても仕方ない……そう言った空気があるのも確かである。

 繁殖力の強い魔物種を擁する魔王軍は、産めや増やせやの心意気で、その圧倒的物量によって王国を侵略していた。
 だが、ここ最近はそれが滞っているらしく、王国軍との戦線は一進一退の様相を呈している。
 実はタカシのパーティーがあちこちで殲滅作戦を行った事で、魔王軍に大量の離反者が出たのが原因なのだが、そこは流石に表沙汰には成っていなかった。
 王国の国王は、ここが勝機とばかりに一騎当千たるタカシのパーティーを遊撃として、魔王との直接対決を依頼。
 だが、そこは流石だと言って良いだろう。タカシの行動を察知した魔王は、強力な魔物を魔王城の周辺に配置し、早々に守りを固めたのである。
 本来であれば、その上で兵を差し向けたかったのだろうが、今、戦線は膠着状態であり、これ以上兵を裂く訳には行かない。

 だからこそ、タカシ暗殺をボタンの里……カゲロウに依頼して来たのだろう。
 しかし……

 魔王直接の依頼を失敗したとなればカゲロウの名は地に落ちる事と成る。
 そうなれば、他の暗殺組織に舐められ、蹂躙され平らげられる可能性だってある。それ故に里の首領は、先日の襲撃も「相手の力を図る目的だった」と言う事にする為、監視を付ける事にしたのだ。

 その白羽の矢が立ったのがボタン。隠形の腕を買われての事ではあるが、女好きであると言う勇者に、万が一見つかった場合の事を考えての選出でもあった。
 瞳からハイライトの消えたボタンは、同行者……監視役の監視の二人と共に、タカシ監視の任務に就く事と成ったのだった。
0523この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/02(土) 20:03:28.53ID:Lbzrgl5R
【くノ一ボタンの色々な冒険】(2/3)


 ******

 魔王討伐の為、王国に召喚された少年、勇者タカシはどうした物かと頭を悩ませていた。
 彼の眼前には、犬耳少女を組伏せている美少女がいる。
 名はハルナ。自称剣客、実質ストーカー。
 彼女は『誉めて誉めて』と言わんばかりに瞳を輝かせ、ストーキング先のタカシを熱い眼差しで見ていた。
 チラリと自らのパーティーメンバーを見ると、普段であれば聖女の異名に相応しい温かな笑みを浮かべているアリサが、極寒地獄の鬼もかくやと言った表情で件のハルナを見下ろし、
その正体は大海魔、しかして今は褐色幼女のクラーケンが、今一理解していない様子で眺めている。

 いったいどこで身に付けた技術なのか、見事な亀甲縛りでハルナに拘束された犬耳少女は、憐れみを誘わんばかりの涙目で彼を見上げていた。

 ハルナと同じ様な間違った和装のその少女は、タカシの認識において、誤解を恐れずに表現するなら“くノ一”の様に見える。
 ただし、「忍ぶつもりないだろう? お前等」と言いたくなる様な大輪の花柄で萌黄色の上着に、ボディースーツの様な鎖帷子状のアンダーウェア。
 その上、網タイツをガーターベルトで留め、鼻緒状の意匠がくっついているだけのハイヒールブーツと言う、どう見てもエロゲのキャラクターですありがとうございます。と言う格好なのだ。
 辛うじて頭に巻いた忍者のアイコンたる鉢金も、側頭から生えている犬耳がコスプレっぽさを助長していた。

「何してくれるかなぁ」
「え?」

 褒められるとばかり思っていたハルナの表情が驚愕に代わる。実の事を言えば、タカシは監視に気が付いて居た。
 おそらく、先日の襲撃で壊滅的打撃を受けた暗殺集団が、再び襲撃の準備が整うまでタカシの動向を窺おうとしているのだと思ったからだ。
 気配を探れば、犬耳少女と共にいた、もう二つの気配は既にいない。
 この事を報告しに行ったのだろう。

「厄介な事してくれるよなぁ……本当に……」
「え? え? どう言う……」
「もうこのストーカーは埋めてしまっても構いませんよね? よね?」
「うえぇ!」
「さすごしゅ?」
「うえええぇぇぇぇ!!」

 監視がバレたのなら、今度こそ死に物狂いで依頼を達成して来ようとするだろう。こう言った闇組織は面子を大切にするからだ。

「もうこうなったら覚悟を決めるしかないか……」
「さすごしゅ!」

 溜息を一つ吐くと、タカシはぐるりと首を回した。
0524この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/02(土) 20:03:28.82ID:Lbzrgl5R
【くノ一ボタンの色々な冒険】(2/3)


 ******

 魔王討伐の為、王国に召喚された少年、勇者タカシはどうした物かと頭を悩ませていた。
 彼の眼前には、犬耳少女を組伏せている美少女がいる。
 名はハルナ。自称剣客、実質ストーカー。
 彼女は『誉めて誉めて』と言わんばかりに瞳を輝かせ、ストーキング先のタカシを熱い眼差しで見ていた。
 チラリと自らのパーティーメンバーを見ると、普段であれば聖女の異名に相応しい温かな笑みを浮かべているアリサが、極寒地獄の鬼もかくやと言った表情で件のハルナを見下ろし、
その正体は大海魔、しかして今は褐色幼女のクラーケンが、今一理解していない様子で眺めている。

 いったいどこで身に付けた技術なのか、見事な亀甲縛りでハルナに拘束された犬耳少女は、憐れみを誘わんばかりの涙目で彼を見上げていた。

 ハルナと同じ様な間違った和装のその少女は、タカシの認識において、誤解を恐れずに表現するなら“くノ一”の様に見える。
 ただし、「忍ぶつもりないだろう? お前等」と言いたくなる様な大輪の花柄で萌黄色の上着に、ボディースーツの様な鎖帷子状のアンダーウェア。
 その上、網タイツをガーターベルトで留め、鼻緒状の意匠がくっついているだけのハイヒールブーツと言う、どう見てもエロゲのキャラクターですありがとうございます。と言う格好なのだ。
 辛うじて頭に巻いた忍者のアイコンたる鉢金も、側頭から生えている犬耳がコスプレっぽさを助長していた。

「何してくれるかなぁ」
「え?」

 褒められるとばかり思っていたハルナの表情が驚愕に代わる。実の事を言えば、タカシは監視に気が付いて居た。
 おそらく、先日の襲撃で壊滅的打撃を受けた暗殺集団が、再び襲撃の準備が整うまでタカシの動向を窺おうとしているのだと思ったからだ。
 気配を探れば、犬耳少女と共にいた、もう二つの気配は既にいない。
 この事を報告しに行ったのだろう。

「厄介な事してくれるよなぁ……本当に……」
「え? え? どう言う……」
「もうこのストーカーは埋めてしまっても構いませんよね? よね?」
「うえぇ!」
「さすごしゅ?」
「うえええぇぇぇぇ!!」

 監視がバレたのなら、今度こそ死に物狂いで依頼を達成して来ようとするだろう。こう言った闇組織は面子を大切にするからだ。

「もうこうなったら覚悟を決めるしかないか……」
「さすごしゅ!」

 溜息を一つ吐くと、タカシはぐるりと首を回した。
0525この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/02(土) 20:08:27.41ID:Lbzrgl5R
【くノ一ボタンの色々な冒険】(3/3)


 ******

 身の丈2mはあろうクマの獣人が崩れ落ちる。その顔面には深さ1cm程の溝が一直線に付いていた。信じられない事だが、それは剣の跡であった……鞘を付けたままの。
 地面を見れば、クマ獣人の得物であった金剛杖が寸刻みの状態で落ちている。状況から察するに、これをやった犯人も同一人物だろう。

「王国の勇者はバケモノか……」
「バケモノだから暗殺を依頼したんだろう? 魔王も思ったよりは常識人だよな」

 暗殺獣人集団の首領の首に剣を突き付けながら、犯人……タカシはそう言った。
 完膚なきまで……それを体現するかの様な惨状である。精鋭の実働部隊を欠いた組織では、タカシに対抗するなど力不足過ぎたのだ。
 暗殺獣人集団“カゲロウ”は一夜にして壊滅したのである。
 もはや廃墟と言って良いカゲロウの里の瓦礫を踏み越え、アリサがやって来る。

「タカシ様、治療は完了しました。獣人の中に死者は居ません」
「そうか、それは良かった……さてと、首領さん?」
「ひい!!」

 怯えた首領の様子にどうやら心まで折る事が出来た様だとタカシがニヤリと笑う。

「オレに敵対する事がどう言うことか分かったのなら、お願い、聞いてくれるよね?」

 満面の笑みを浮かべるタカシに、元首領となった男はコクコクと頷く事しか出来なかった。


 ******

「諜報活動と暗殺阻止の為ですか?」
「さすごしゅ?」
「うん、そう」

 茶屋風の店で団子を食べながらタカシがそう言う。現在、魔王軍と王国軍は一進一退。ほぼ互角の戦いを繰り広げている。となると魔王国と言えどタカシ達に兵を差し向けるのは厳しいだろう。
 そうなれば、同じ様な暗殺者を差し向けて来る事は想像に難くなかった。

「だからその為にも、彼等にはスカウト兼カウンターメジャーをやって貰おうかとね」
「はぁ、成程、魔王国で情報を集めるのは、人族では厳しいですからねぇ」

 アリサが頬に手を添え溜息を吐く。実際、魔王国に多く居る獣人の方が、人族であるタカシ達より情報収集には向いてるだろう。

「……で? “コレ”は何でしょう?」
「さすごしゅ?」
「……カゲロウ改め“オボロ”からの繋ぎ要員……かな?」

 気温を低くするアリサから目線を外し、タカシがそう言った。
 現在、お茶を喫する彼らの後ろでは、一人の犬耳少女が侍っていた……メイド姿で。
 タカシの言う通りオボロとの繋ぎ要員なのは事は確かであろう。
 しかしそれと同時に、タカシの機嫌を取る為の人身御供である事も事実だった。
 その事を理解しているからか、瞳のハイライトの消えた犬耳少女ことボタンは、力なく笑いながら「よろしくお願いしますです」と、呟く様に言った。

「あー、うん、こちらこそ首領達との連絡の時はよろしく」

 ******

 その頃ハルナは……

「竹が! 竹がお腹に食い込んで!! ちょ、思ったより竹の成長が早い!! タカシ殿ぉぉ!! ヘルプ! ヘルプミー!!!」

 竹林にす巻きにされ縛られていた。
0526この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/02(土) 20:11:12.65ID:Lbzrgl5R
おおおお……
何故か(2/3)が二重投稿されてしまいました
どんな操作間違いが合ったのやらorz
0527この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/02(土) 20:38:39.65ID:pNFBQEGn
作者サンの好きな属性欲張りセットな感じですねぇ
だがクラーケンちゃんが活躍せずに終わってしまったぞ!どういうことだ!

……次の方が居なそうなんで、投稿させていただきます。

テーマは『バタフライエフェクト』『昔話』『悩み』
0528この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/02(土) 20:46:01.56ID:pNFBQEGn
【クレインエフェクト】
ある寒い冬の日。雪の原に羽ばたく小さな翼を見た。近づいてみると、一羽の鶴が罠に足を捕られてもがいている。

「おお、おお、かわいそうに」

罠を外してやろうと手を伸ばすと、鶴は羽ばたき抗おうとする。けれどすぐに力なく伏せてしまう。

「食うたりはせんから、そんな目をするな、ちび助」

これでは餌も食えなかったろうによく生きていたものだ。いや、きっとこのめぐり合わせも運命なのだろう。この年になってようやく、鶴に恩返しができるとはな。



「帰ったぞ」
「まぁまぁ、今度は何を拾ってきたのですか……」

さすがに鶴を抱えて帰るとは思わなかったのか、ひどく驚いた顔が出迎えてくれた。これはキツネの子を拾ってきたとき以来だな。

「……犬が続いていましたから、よもや三匹目はと予感がありましたが」
「怪我をしとるんだ、手当をしてやりたい。あぁ、三郎と四郎は近づけんでくれよ。怖がらせてしまう」

足元にじゃれつく二匹をまたぎ、鶴を抱いたまま火のそばへ。

「なんでまた、拾ってきたんです」

薬草を刻む背中が問うてくる。

「毎度のことだ。弱っとるやつは獣であろうと助けてやらねばな。特に鶴には思い入れがある」

そう、鶴を助けるのは二度目だ。
0529この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/02(土) 20:48:54.56ID:pNFBQEGn
【クレインエフェクト2】
あの日も雪が降り、よく冷えた。年老いた父母が病に倒れあっけなく死んじまって。どうしようもなく弱っていたときだ。その日を生きるのに必死で嫁のきてもない孤独な身。せめて孫の顔を見せてやりたかった。

やるせなさを抱えたまま、どこへ行くでもなくうろついていたら白羽が舞うのを見つけたのだ。

大きく美しい鶴が雪原に縫い留められていた。まだ元気があるらしく懸命にもがいていて、それは舞のようだった。こんなに立派に育ったのに、こいつはこのまま一人寂しく死んでしまうのかと哀れに思えた。

「群れの仲間はおらんのか。見捨てられたか。運のないやつだ」

舞いを止めてこちらをじっと見てくる。

「諦めたのか? 助けてほしいのか?」

あれほど激しく暴れていたのが嘘のように、屈んだおれの背中をおとなしく見つめているようだ。

「おれが来なかったら、おまえはどうなったんだろうなぁ」

自力で抜け出すことができただろうか。別の誰かが助けただろうか。
自由を得たそいつは、一鳴きしてどこかへ飛び去っていった。


「その晩だ。おまえがここへ来たのは」

鶴は落ち着いたのか、あぐらをかいた上でそのまま眠ってしまった。

「鶴を助けたから、手頃な娘が転がりこんできたって?」
「はじめはな、天女でも迷い込んできたのかと思った。おまけに行く宛もないから置いてくださいときたら、いよいよ狐に化かされてるか、くたばって死に際の夢でも見ているのかと」

そのいたずらめいた微笑みは、ちっとも変わっとらんな。

「だが、飯の炊き方すら知らん女がいると、一人よりも苦労が増えるとは思わなんだ」
「……すぐにうまくなったでしょう?」
「夢でも物の怪でもないと信じるに足る時間だったな」

消して覗くなと言って、おれを奥に閉じ込めて一人で練習していたな。

「そういうあなたも、なかなか一緒になろうと言ってくださらなかったではありませんか」

どこぞのお貴族様の娘が家出でもしたのかと思った。いつか迎えが来ていなくなってしまうのかと悩んでいたんだ。

「家を任せられるまではと決めていたんだ」
「いくじなし」
0530この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/02(土) 20:52:08.54ID:pNFBQEGn
【クレインエフェクト3】
久しぶりに遅くまで話し込んだ気がする。

「……なぁ。何か言いたいことがあるんじゃないか」

とうとう言ってしまった。帰ってきてから様子がおかしい。楽しい思い出話なのに、どうしてそんなに思いつめたような顔をする。

「……ずっと、悩んでいました。あなたは私と一緒になって良かったのかと」

何を馬鹿なことを。

「子どもが欲しかったのでしょう? けれど私はそれを叶えられなかった」

それは……おれの体が悪かったのかもしれない。おまえだけが気に病むことじゃない。それに、お前が来てくれただけでおれは――

「でもね、あのとき私は確かに見たのです。火を囲む若夫婦と、孫を抱いた老婆の姿を」

何の話だ。

「暖かな家に暖かな人たち。私もこの人たちの家族になれたらと願いました。この人こそがと」

一体何の話をしている。

「その鶴は明日の昼には元気になり飛び立っていきます。怪我は痛かったし寒くてお腹も減っていたけれど、諦めが早かっただけで何日も捕まっていた訳ではないから」

「ここを出たあとはね、遠くへは行きません。いつでもあなたが見えるところに住み着いて、生きて、あなたを見守って、あなたがいなくなってもずっと、生きて生きて、あなたに恩を返したくて――」

ふいに立ち上がり奥へ歩きだす。

「――千年生きます。執念深き物の怪になって、あなたに会いにいきます。あの人と出会う前のあなたに」

嗚咽混じりの声は、薄い戸には遮られない。

「きっと人と鶴じゃあ子どもなんてできないんですよ。あなたの人生は私が歪めてしまったの。だけど、だからこそ冬が来るたび祈りました。変わってしまったのなら、どうかあの日が来ませんようにと。あなたが私を見つけないでと」

「けれど今日がきてしまった。ならば私は罪を償うことができるはず。私が今日、羽ばたかなければ、あなたの人生はもとに戻るはず。自分ではできないから、最後に一つだけお願いを聞いて」

明日の朝までこの部屋からは出ません。それまでに鶴を殺してください。決してそちらを覗きませんから。









いつの間にか眠ってしまったようだ。窓の外を見やると、もう日が高くなっている。

日が、たか…く…

「おい、ちび助......飯だぞ」
0531この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/02(土) 22:14:33.23ID:l2cABXdO
>>489 今回少ないな。自分は二つ目だけどね!!(ドヤ顔
使用お題:『昔話』『悩み』『誰かが雄叫びをあげる』

【前編、その2】(1/3)

 むかしむかし、あるところに、それはそれは美しい女性がいました。

 その女性は見目麗しいだけでなく、心も美しく、たいそう人に好かれておりました。誰にでも優しく、両親を大事にし、四季や草木を嫋やかに愛で、本土から少し離れた小島の村で穏やかに過ごしておりました。
 そんな彼女のことを、百人一首の心情豊かな様子に準えて、人々は『百(もも)姫様』と尊敬を敬愛をもって呼び親しんでおりました。

 ただ、百姫様はあまりにお優しすぎたがために、少々婚期を逃しそうなのが悩みものでした。
 いえいえ、男性からの求婚はとても多かったのですよ? 平民からだけでなく、豪商や貴族のものからもそういう打診が幾度となくありました。
 しかし、百姫様は首を縦に振りませんでした。それはというと、彼女はあまり体の強くなかったご両親のことを殊更愛しており、家族三人での生活を何よりも大事にされていたからだったのでした。

 ……まあ、行き遅れになりそうだったことで当のご両親は気が気ではなかったらしいですけどね。

 それはそれとして、百姫様の幸せな生活が続いておりましたが、ある日を境にその日々は終わりを告げました。都に疫病が流行ったのです。

 その大病にかかった者は長く、長く苦しんで死んでしまいます。治療法はないではなかったのですが、薬代にとてもお金がかかるのです。
 なのでほとんどの人は脂汗を流しながら苦しみ続け、そのまま死んでしまいました。

 また、疫病で家畜や野菜がやられた結果、重大な飢饉まで発生してしまいました。病気にかからなかった者も食料がないせいで、どんどん痩せ細っていきました。
 僻地の村落は特に被害が酷く、人が屍肉を食らう姿も見られたそうです。まさに現世に現れた地獄でありました。

 百姫様のお家も無事ではすみませんでした。
 それなりに大きな家ではありましたが、日々の生活のために資産を食い潰していくハメになり、やがて明日の食事にも困る有様になってしまいました。
 そして悲しいことに、百姫様のご両親が病気にかかってしまい、その治療のために薬を買わねばならなくなったのです。そのせいで余計に首が回らなくなり、百姫様はとてもご苦労されたようです。

 優しいご両親は「私たちに薬なんていらないから、お前だけでも幸せになってくれ」と寝床で脂汗を流しながら笑顔で頼みました。
 が、同じく優しい百姫様が彼らを見捨てるはずもなく……そうして、彼女は最も辛いご決断をされました。

 百姫様は、とある金持ちとの結婚を了承したのでございます。

 その金持ちは、金だけは有り余るほど持っていましたが、それ以外は全て捨ててきたのではないかというほど酷い男でした。
 性格は最悪、見た目は醜悪、人望もなければ魅力もない。そんな男でした。

 その金持ちは百姫様にこう言ったのです。「ワシがお前を買ってやる。その金で、両親を救えばいいのではないか?」と。
 そして百姫様は……その悪魔の提案に乗ってしまったのです。

 こうして……百姫様の地獄が始まりました。

 金持ちにとって百姫様は妻などではなく、ただの姿形の良い人形、いえ、奴隷でありました。
 なので夜遊び朝帰り程度は当たり前、食事や掃除が少しでも気に食わなければ無抵抗の百姫様を殴り飛ばします。
 女を買って帰るのなんて日常茶飯事で、その片付けを仮にも妻である百姫様にやらせます。また庭師にトラをけしかけて楽しんだり、百姫様がよくしていた野良猫の首を首飾りにつけて送ったりと非道なことをします。
 人非人という言葉でも足りないくらい、それは鬼畜の所業でした。

 しかし、百姫様はその全てに耐えました。それもすべて、ご両親の治療のため。
 どうしても辛さに耐えかねたときは、百姫様は病床につくご両親の下へと向かいます。
 そうして辛い自分の境遇を押し隠して他愛無い話をする百姫様に、ご両親もまた病気の苦しさを隠して「もう少しだよ、もう少しだけの辛抱だよ。ごめんね……」と謝ります。

 外も地獄、中も地獄な人々の生活の中、百姫様も苦しみながら金持ちの妻として必死に生きてきました
 が、ある日その生活に大きな変化が訪れました。子を、宿したのです。
0532この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/02(土) 22:17:44.91ID:l2cABXdO
【前編、その2】(2/3)

 百姫様のその時のお気持ちは、言葉に表せません。
 金の恩があるとはいえ好きになりようもない金持ちの血を引いた子が、自らの身の内にいるのです。
 子に罪はない、そして自身はご両親から多大な愛情を注いでもらった。だけど自分はこの子を愛せるのか。憎んではしまわないだろうか。

 そうグルグルと胸の内に答えのない想いが巡り、それでも最初は耐えていたのですが、腹が大きくなるにつれ想いが大きくなっていき、気付けば百姫様はご両親の下へと向かっていったのです。

 自分の胸の内に沸いた嫌な感情をご両親に知られたくない、しかし今の自分の気持ちを抑え隠し続けるのはさすがの百姫様でも無理でした。
 なので、せめて重い話にならないようにだけ気を付けて、百姫様はご両親に子を為したことを伝えたのです。

 一通りお話を聞いたご両親の返事は、こうでした。「もう少しだよ、もう少しだけの辛抱だよ。ごめんね……」

 ここで、初めて違和感を覚えました。子を為したというのに辛抱とはなんなのだろうか、と。
 子が無事に生まれたからといって、百姫様の待遇は変わらないでしょう。何を辛抱するというのだろうか?
 ご両親の病気が治れば心痛が一つ減る、という意味で辛抱だと言われていたと思っていたのに、何かが違う?
 それだけではありません。病気を患った人は脂汗を流して苦しんで死に逝きます。なのに、ご両親は苦しそうな表情はしておりますが、汗一つかいておりませんでした。
 それにそもそもずっと薬を与え続けているのに、なぜ未だに病気が治らないのか。

 百姫様は少なからず疑念を抱き、関係ない話題を繰り返してご両親の反応をうかがいます。すると何度もご両親は、もう少しの辛抱だと繰り返しました。
 もう明らかにおかしい、そう思った百姫様は謝りつつご両親の布団を引っぺがしました。

 するとそこには……壺がありました。

 布団に隠されていたご両親の胴体のあるべき部分に、味噌壺くらいの大きさの壺が一つずつ二つ置かれておりました。そしてその壺から、ご両親の首がにょっきり生えています。
 壺から生えたご両親の生首は、何度も何度も辛抱だと繰り返し続けていました。
 あまりに異様な光景に、百姫様は大声で悲鳴をあげてしまいました。
0533この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/02(土) 22:20:30.78ID:l2cABXdO
【前編、その2】(3/3)

「……なんだ、ようやく気付いたのか」

 百姫様が背後を振り返ると、そこには金持ちの男が立っていました。
 驚いて腰を抜かしている百姫様と、壊れたはっかけのように同じ言葉を繰り返す両親の生首を見て、金持ちの男はそれはそれは愉快そうに笑いました。

 そして金持ちの男は、全ての答えを教えてくれました。

「ワシは、実は鬼に連なる系譜のものでな。今は人間に化けておるが、本来は誇り高き鬼人の豪族なのだ」

 百姫様は問いました。あなたが両親をこんな目に?

「ああそうだ。妖の術でそういう風にした。だが別に良いだろう? お前もこっそりその親の生首に話しかけて慰めにしていたようだしな。お前が嫁いできたときにはすでに死んでいたんだ、むしろ長く両親と話せて良かったじゃないか」

 百姫様は問いました。知っていて、こんな酷い目に?

「先程も言っただろう? 死んでいたとはいえ、両親と長く接することができたのは事実だ。それにお前を手に入れるために疫病をばら撒いたり人心を惑わしたり手間をかけたんだ。簡単に壊れてしまっては大損してしまうからな」

 百姫様は問いました。なぜ私を?

「人と鬼との間にできた子は尋常ではない力を宿すのだ。ワシの命令に従うワシの兵隊がほしかったから、人間どもを困らせてから金で大量に女を買ったのだ。その中でもお前は特別だ。妖怪の中の占い師のような者が言っていたが、お前が孕んだ鬼の子は最強の力をもつらしい。
 単に力が強いだけでなく、動物と意思を交わし、決して死なない神通力も持ち合わせるそうだ。だからお前を手に入れるのを一番の目的として、こんな茶番をやったのだ」

 百姫様は問いました。人の世を惑わすこの悲劇の全てが、茶番?

「そうだ、ただの茶番だ。まったく煩わしい。人間なぞ鬼の供物としてただ食われていればいいものを。まあここは離島、おかげで時間はかかったが確実にワシの兵隊を増やすことができた。すでに鬼と人との間の子は幾人か生まれておる。
 お前の生んだ子を筆頭の護衛とし、ワシの最強の軍隊を作ってやる。そうしたら、フフフ、人の世をすべて支配するのも容易いだろうよ」
 百姫様は問いました。すべて、私の、せい?
「その通りだ」
 百姫様は金持ち、いいえ、鬼の見下した目を見ました。そして首だけになった両親と、外の阿鼻叫喚の地獄絵図と、自らのお腹の中の子を見ました。
 百姫様は、覚悟を決めました。
「おい、どこへ行く? どこへ行ったところで今のお前には何もできないぞ。産気づくまで大人しくしてろ」
 百姫様は引き留める鬼を一瞥し、大きなお腹を抱えて走り出しました。さすがに鬼も慌てます。
「おい、おい! どこへ行く!? おい、待て!」
 異変に気付き慌てて負う鬼と、逃げる百姫様。
 大きなお腹の妊婦と怪力の鬼とでは走る速度など段違いでしたが、住まう小島はもともと狭く、そして駆け出しが早く土地勘のある百姫様の方が目的地に着くのが早かったのでした。
 百姫様は崖の上で鬼に大声で怒鳴りました。
「お前の思い通りになるくらいなら、いっそ死んでやる!!」
「よせ!!」
 百姫様は鬼の手を逃れ、崖から飛び降りました。
 最後に感じたのはお腹の中の赤ん坊が元気よく蹴った感触と、畜生と叫ぶ鬼の雄叫びと、冷たく硬い水の感触と、自らの首が折れる音でした。

 こうして、百姫様は、死んでしまいました。
 しかし百姫様の覚悟も空しく、最強の小鬼が作れなかったことを鬼はあっさり諦め、「ならば数を増やそう」と小島に鬼を増やし続けました。
 ああ、めでたくなし、めでたくなし。

 ……と、ここまでが話の一区切り、前編です。この話は次の昔話へと続きます。
 日本人なら誰もが知る、あの有名な物語へ……。

 むかーしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。
 おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川へ洗濯に向かうと、川上からどんぶらこーどんぶらこーと、それはそれは大きな……

 もも
0534この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/03(日) 19:34:21.46ID:VJV0rAnE
>>522
さあメンテ終了〜、522氏の使用お題は『ガーターベルト』『メイド』『悩み』! 続、ハーレムパーティの旅路!
あらためて紹介しよう〜、短編スレ初期より生まれた、勇者タカシの俺ツエーシリーズは、最強勇者とお供女子で進むハーレムパーティ冒険譚だ〜
書き出し、どうした物かと頭『悩』ます勇者の目前には、ギャグボールを噛む犬系クノイチ・ボタンさんの姿〜、花柄の上着をまとい、網タイツを『ガーターベルト』で留める、半分エロゲの暗殺者w
魔物も怯える勇者らの圧倒的な膂力を前に、彼女の里は速攻陥落、生贄ライクな『メイド』姿にさせられパーティ加入! 一方パーティに入り込もうと手柄を狙うハルナ女史が竹林にヘルプ響かす、簀巻きオチww
スレ民にやいのやいの言われつつ安定感あるシリーズが、今更だけど522氏お題6個消化おめって感じで、台風一過・乙乙ENDだ〜〜
0535この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/03(日) 19:35:05.53ID:kmufs1wl
>>527
感想有難うございます
クラーケンは裏方として、襲撃を返り打ちにしたり、里を壊滅させたり、ハルナをふんじばったりしていますw

>>528
閉じた未来に風穴を開けるための選択
愛しすぎた故の悲劇ですね
悲しいお話です

>>531
本当は猟奇的なお伽噺
桃太郎が鬼を討ったのは、義の為か私怨か?
それとも百姫様の執念なのか?
0536この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/03(日) 19:43:42.41ID:VJV0rAnE
>>528
力作続く、528氏が『バタフライエフェクト』『昔話』『悩み』を選択だ、give back!
かの名作、『昔話』、鶴の恩返しをモチーフに、528氏が語り始める〜
さあ、鶴を助けて帰宅した夫が、二人のなれそめ思い出す〜、妻がいつ消えるかと不安を感じる夫の『悩み』、そして、これで良かったのかと自問する妻の『悩み』〜、隠された過去いま明かされる〜
時空を超えた妻の思念が、話の骨格ほのめかし、過去への輪廻を繰り返す化生の鶴が現れる〜、感謝の鶴の憧憬は、いつしか恩人の生奪い、ねじれる後悔、自責の念! 物語の裏側は、間違いが起こした『バタフライエフェクト』だー
お題を消化した物語はラスト、自死を乞う妻の告白に応える、夫の回答、これは、彼女と再ループ、いやループ終焉か?! 今ここにある幸福を、今さら壊すが恐ろしい、タイムパラドックスがお題消化と哀しさ満点ENDを決めたァ!
0537この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/03(日) 19:45:19.33ID:kmufs1wl
>>534
いつも感想を有難うございます
果たして、このパーティーは魔王を倒せるのか?
まぁ、魔王と言ってもアレな訳ですがw
0538この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/03(日) 19:51:07.68ID:VJV0rAnE
>>531
531氏の選択は、『昔話』『悩み』『誰かが雄叫びをあげる』、ザ・鬼退治・バックナンバー!!
さあ、物語が幕を開け、主役は婚期を逃しそうなのが『悩み』のヒロイン、百(もも)姫だ〜、飢饉、疫病、不遜な金持ちとの結婚〜、
追い込まれる姫様に両親がかける、もう少しの辛抱だと噛み合わぬ答え、ええっ布団の下には…「壺から、ご両親の首がにょっきり生えています」←怖すぎてワロタ
鬼の子宿した悲運の姫が身を投げて、鬼の雄たけびコダマして(『誰かが雄叫びをあげる』)、めでたくなし、めでたくなしと、531氏の饒舌が語る語る〜! ラスト、徹底的に救いのない物語がもたらした一縷の望みは…海の中の遺児ィ!?
531氏が桃太郎の出生を丁寧な筆で書き下ろし、『昔話』オチを再演だ! 見事だぜ、鬼が島の秘密、桃太郎の生誕、ストーリーの謎を解明しつつ、元の物語を百姫の思いが彩る重層化、バックナンバー・接続ENDで技巧を魅せたァ!
0539この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/03(日) 20:25:36.32ID:6YWTOIAp
浦島太郎、桃太郎ときて、次の昔話が何がいいか思いつかない・・・
3つくらい書きたかったけど、今回は2つで諦めて次のお題を待つか
0540この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/03(日) 21:52:30.80ID:kmufs1wl
使用お題:『怪盗』『バタフライエフェクト』『昔話』

【神算鬼謀】(1/2)


 地中海もほど近い小国アルアーナ。この日、この国は国民の歓喜の声で沸いていた。
 圧政を敷いていた将軍、カルカリッツ・エイプマンが捕えられ、失われたと思われていた王家の正当な姫が、女王として即位したからだ。
 即位式のパレードは国民の笑顔で迎えられ、新王女ベアトリス・アルアーナもそれに笑顔で応える。
 しかし、その王女の視線が誰かを探している事に気が付く者は、その中には居なかった。

 ******

「……何時から、計画していた?」
「……やあ、探偵殿、貴方がこんな所に足を運ぶなんて珍しいね」

 街を一望できるカフェテラスで、一人の紳士然とした男が紅茶を嗜んでいた。
 ジャケットとスリムボトム、緩くネクタイを締めた男……探偵、歯車 鉄雄は、その紳士の目の前に座る。

「色々調べさせてもらったよ、軍部の動き、将軍の隠し財産……そして、15年前のクーデターの真相……」

 鉄雄の言葉に紳士が「クックック」と笑う。

「随分と仕事熱心だね? いや? 好奇心に忠実……と言った所なのかな? 将軍の依頼を蹴ったと言うのに、Nihonnzinnは、本当に勤勉だ」
「受ける訳はないだろ? 自滅に付き合うなど御免だよ」

 一頻り笑ったのか、紳士は肘を机につくと両手を組む。

「少し、昔話をしようか」
「何?」
「昔々、ある所に小さな小さな国があった。その国の王は無能で、小心者。常に家臣の顔色を窺って、国民に圧政を敷いていた。」
「……それで、将軍を焚き付けたのか?」

 鉄雄の言葉に、紳士はニヤリと笑みを浮かべる。
0541この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/03(日) 21:54:31.05ID:kmufs1wl
【神算鬼謀】(2/2)


「当時、まだ30代だった将軍は、野心に溢れていたさ、『自分ならもっと上手くかじ取りが出来る』とね」
「だが、実際は同じ様に圧政を敷き、こうして引き摺り下ろされている」
「人間だれしも、自分の姿は良く見えないものだよ? あぁ、探偵殿、貴方は違うようだがね」
「そっくりお返ししよう、怪盗紳士。僕は君以上に怪盗らしい怪盗を知らない」

 探偵の頼んだ珈琲が届き、二人は無言でそれぞれの飲み物を喫った。

「幼い、少女が居た」
「うん?」
「利発で聡明、そして心優しい少女だった……」
「……成程、その為か」
「……」

 紳士は応えず、探偵は続ける。

「新王女がクーデター時に匿われていたのは、公爵家に連なる市井の夫婦だったそうだね?」
「そう聞いている」
「しかし僕の調べでは、あの公爵に親類縁者などいない……巧妙に隠されていたけどね」
「それは、不思議な事だね」

 紳士が肩を竦める。

「タイミングが良すぎるとは思わないか? 将軍の醜聞が明るみに出るタイミングにしろ、王女が発見されるタイミングにしろ……」
「そうかな? 歴史が動く時は一気に動き出す物だろう?」

 探偵……鉄雄の目が細められる。

「将軍の隠し財産、その内、美術品数点が今も行方不明だそうだ」
「……管理が杜撰だったんだろうね? 肥えた豚は、自らの厩舎を掃除などしないものだ」

 紳士が会計を頼み、席を立つ。

「お前は、何処まで見通している?」
「さぁ、私に判るのは、人の欲望だけだよ」

 鉄雄が椅子に座り直し、珈琲を口にする。

「姫さんからの伝言だ『ジョアン叔父さんによろしく』とさ」
「……彼女は、良い女王に成るよ」
0543二代目進行 ◆rZF28D1ulBTo
垢版 |
2018/06/03(日) 22:08:34.54ID:6YvYcfjL
お題『怪盗』『バタフライエフェクト』『昔話』『ガーターベルト』『メイド』『誰かが雄叫びをあげる』『悩み』締め切り

【参加作品一覧】
>>498【怪盗バタフライエフェクトの悩み】1〜7
>>502【前編】
>>511【思春期地球防衛機デッカイザー】
>>522【くノ一ボタンの色々な冒険】
>>528【クレインエフェクト】
>>531【前編、その2】
>>540【神算鬼謀】
0544二代目進行 ◆rZF28D1ulBTo
垢版 |
2018/06/03(日) 22:12:04.80ID:6YvYcfjL
前回の投票忘れてました。ごめんなさい。
『逆上がり』『雨』『女装』『音楽』『悪魔』『同性愛』『ガソリンスタンドI』
【得票数一覧】
>>469【因果応報】一票
>>436【悪魔の音楽会】一票
>>451【都市伝説「雨女」】一票
0546この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/03(日) 22:14:36.77ID:xvd0i5De
『水着』
0553二代目進行 ◆rZF28D1ulBTo
垢版 |
2018/06/04(月) 01:25:14.45ID:AMRokzN8
☆お題→『水着』『イケメン』『年の差』『パニック』『遺伝』『電車』『北欧神話』より三つを選択
※二つ以下、四つ以上は不可

☆文字数→3レス以内に収めれば何字でも可。
最大文字数の目安としては、3レスで5000〜6000字程度。
もちろん文字数が少なくても分割OK

☆締め切り→6/10の22時まで

☆平行して投票を行います(試験運転)→安価もしくはタイトルで一人一票までレスしてください。締切6/6の22時

【見逃し防止のため、このレスに安価してください。】
0554この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/04(月) 07:48:54.60ID:VCmnpdqN
>>541
前回お題の最終日、541氏が駆けつけ一杯『怪盗』『バタフライエフェクト』『昔話』を選択だ、ザ・フィクサー!
おー懐かしいな! 前スレ年越し総力戦より再来だ、歯車探偵シリーズは、探偵・歯車 鉄雄と世を騒がす怪盗紳士の交流描く、物語〜
さあ女王即位が描かれて、場面は転じ街を一望するカフェテラス〜、男の前に探偵座り、少し『昔話』をしようかと、愚帝の末路と将軍失脚、語られる〜
歴史のフィクサー『怪盗』紳士、その八面六臂に何処まで見通していると、鉄雄さんが『バタフライエフェクト』能力を予感する〜(まさか正体>>498じゃないだろなw
お題を消化しラスト、ヤツがやったと知っている〜、新王女も知っている〜、冷たく醒めた仮面の下で、誰より熱きを滾らせる、その名も義盗・怪盗紳士! 男らが内心熱きを認め合い、こいつァまるで短編スレだと、ニヤリ微笑むフィニッシュだッ
0555554
垢版 |
2018/06/04(月) 08:55:59.24ID:qv97r9eg
正確には540氏
新女王でした
失礼
0556この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/04(月) 10:37:51.36ID:jwS2yLc+
>>554
感想有難うございます
最初は、怪盗バタフライエフェクトにしようかと思ったのですが、キャラが違うかな? とw
0557この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/04(月) 20:53:05.27ID:ZTTtb2ax
>>553
使用お題:『水着』『パニック』『電車』

【気が付けば終着駅】


「くああぁ〜……」

 大きな欠伸を一つする。夜更かしをし過ぎたせいで眠いが、ゲームを止められなかった自分の自業自得なので文句も言えない。
 正直、会社になど行きたくは無いが、日々の生活を行う為には稼がなければならないので、俺は仕方なしにいつもの電車に乗った。
 快速でも急行でも準急でも無く各停に。座れるからと言う理由だけでそれに乗っているのだが、朝から疲れたくないのだから仕方ない。
 最寄り駅から2駅目が乗換駅の為、結構な人が乗って来る。
 俺は、それを座ったままぼんやりと見ていた。

 スイマーが居た。水中眼鏡とブーメランパンツの水着姿の……

 俺はあまりの事に思わず目を逸らした。
 周囲を伺うが、気が付いていないのか、回りの人間がパニックを起こす様子はない。
 本当に? こんな狭い車内でこれだけ人がいて、俺以外気が付いていない等あり得るのか?
 もしかしたら自分以外の人間には見えていないのか?
 だとしたら、こいつは何なんだ?

 ガタン、と電車が揺れる。

 俺はゴクリと唾を飲み込み、視線を上げた。

 いる。

 見間違いじゃなかった。
 何故、誰も見向きをしないんだ?

 本当に……俺にしか見えていないのか?

 いや、違う。回りの人間は確かに避けている。ほぼ満員といって良い電車の中だ、アレに当たらないようにするには、避けるしかない。
 だったら、何故?

 ガタン、と、電車が揺れた。

 目が……合った? いや、気のせいだ、相変わらずアイツはそこに……

「!!」

 真正面から顔を覗き込まれ……いつ、動いた?
 顔を挟み込む様に押さえられる。視線が逸らせない。
 水中眼鏡の中の目と俺の目が…………
 いや、無い何もない。
 水中眼鏡の中には何もない。
 俺は……

 スイマーがニヤリと笑った。
0558この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/04(月) 23:10:56.63ID:gv2anKn7
このあと、めちゃくちゃアレした
0559この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/05(火) 08:45:34.55ID:MjwOCEHq
>>557
お題『水着』『パニック』『電車』を選択して新たな怪談を創生するぜ、ブーメラン・パンツ・メーン!!
さあ、夜更かしし過ぎた語り手が、『電車』内で各停のんびり、大あくび〜、乗換駅の乗客まぎれ、姿を見せるはブーメランパンツの『水着』の男ォ!?
なぜか『パニック』起こさぬ乗客に、いぶかしみつつ、男と目が合い〜、ラスト! 誰もが視線を逸らすスイマーに、気付かれ・魅入られ・終着点!
先の透けたゴーグルは、人ならざるモノの証だぜ〜、見てはならん、見てはならんと、しかしそう言われるほど気にはかかるが人のサガw
知らぬ存ぜぬ通せぬ者を、餌食にかけるスイ魔ー登場って感じで、557氏が熱帯夜を涼感もたらす都市伝説をキメたァ!
0561この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/05(火) 08:56:57.68ID:MjwOCEHq
睡魔ーw
0562この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/06(水) 20:57:27.41ID:W0LaqnKg
>>553
>>528【クレインエフェクト】 に一票。短編でよーループ物書けたなぁと感心したから

今回天啓が降りてこないなぁ・・・なにか、なにかないか
0563この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/07(木) 22:06:48.90ID:VIG5I/3+
>>553
>>498【怪盗バタフライエフェクトの悩み】に一票。
0565この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/08(金) 10:31:14.06ID:6I1hJUUa
ていうか今週はまだ作品ひとつしかないのな
0567この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/08(金) 11:20:34.14ID:8U14/Slo
いや、思い付いたは思い付いたんだけど、無難すぎて書く気がしなくてな・・・
インパクト強いのじゃないと書く気が起きないマンなので許して
0568この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/10(日) 20:56:48.27ID:5w0cq96N
>>553
使用お題:『イケメン』『遺伝』『北欧神話』

【アースガルドシンフォニー】(1/2)


『俺に首輪をはめられるのはお前だけだ』
「キャ―――――――!!」
「救流兎、ちょっと騒がしい」

 餓狼 焔里にそう言われ、トリップしかかっていた乃流 救流兎は周囲を見回し頬を赤らめる。幸い、コーヒーチェーン店の店内は盛況で、彼女の方に注目している者はほとんどいなかった。

「……良くゲームにそれだけ入れ込めるよね? アタシには分からないなぁ」
「エンリちゃんの意地悪! だってカッコイイんだよ? 乙女の憧れなんだよ?」
「…………まずそれが分かんない」

 救流兎が手に持っていた携帯ゲームの画面を焔里の顔面に押し付ける様に前に出す。画面には救流兎イチオシのイケメンキャラクターが映っていた。
 携帯ゲーム「アースガルドシンフォニー」は、北欧神話の登場人物達の遺伝子を受け継ぐキャラクター
を育てて、アイドルを目指しながら恋愛すると言う乙女ゲーである。
 乙女ゲーである為、その登場人物は全てイケメンで、その中からアイドルとして5人のキャラクターを選び、それを育てる訳なのだが、その中の一人、フェンリルの遺伝子を受け継ぐキャラクター“フェンリル”が彼女の推しメンらしい。

「フェンリルは、孤高の一匹オオカミだけど少し寂しがり屋で、毒舌屋さんだけど、本当は優しいんだから!!」
「あ、うん」

 「一匹狼なのにアイドルグループなんだ」等の突っ込み所が気になったが、目がグルグルと渦巻いている様な救流兎の迫力に負け、焔里は口を噤む。
 こうなってしまうと、親友が止まらなくなるのはいつもの事だからだ。

「とにかく!! カッコイイんだよ? キュンキュンするんだよ!! 分からないかなぁ? エンリちゃんもやってみなよ、はまるよ? と・く・に! フェンリルルートは絶対おすすめなんだからぁ!!」
「……アタシは良いかな?」
「エ――――!! なんでぇ―――!!」

 ******

「……無理だって、本当……」

 大きな溜息を吐きながら、それでも焔里は腕を振るった。眼前に居た蛇の特徴を持った異形の者は、彼女から出る鋭い爪を形作るオーラを受け消滅する。

「おー、お疲れさん! いやぁ、フェンリルは今日もカッコ可愛いねぇ」
「……」
「って、ちょ!!」

 そう言って近づいて来た男に向かい、焔里は無言で腕を振るう。
 ピシリと固まった男の背後にいた異形の者が、そのひと振りで消滅した。

「油断し過ぎ、そんなんだから、アタシに食われて終わったんだよアンタ」
「あ、あー、でも、可愛い娘に食べられるなら本望かな? オジサン的に」

 焔里が目を細める、青白いオーラが立ち上がると、オオカミの様なシルエットを形作る。

「茶化しすぎですよ? オーディン。それでなくとも彼女、真面目なんです」
「おー!! トール! そっちも終わったかな?」
「はい、滞りなく」

 月光の降り注ぐビルの屋上に、音も無く舞い降りたトールは、その場で大槌を振り回しながらそう言う。
 そうこうして居る内に、異形の敵、ニッズホッグを倒し終えた仲間達が一人、また一人と集まって来る。
0569この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/10(日) 21:01:12.43ID:5w0cq96N
【アースガルドシンフォニー】(2/2)


「やっぱり無理」

 焔里は眉間に皴を寄せながらそう呟いた。北欧神話の神々、その遺伝子を現在に覚醒させた者。それが彼女達、エインヘリアルであった。
 携帯乙女ゲーム「アースガルドシンフォニー」に出るキャラクター達は、全て彼女達をモデルとしている。ただし、全員がイケメンとして。
 それ故に、モデルにされた元の人達を知る焔里としては、そのゲームで仮にとは言え恋愛云々をする事に忌諱感があった。
 ましてや救流兎のイチオシのキャラクター、フェンリルのモデルは自分なのだ。それでプレイなど軽く羞恥死できるだろう。

「はーいはいはい、皆、お疲れ〜」
「ロキか……」

 手を振りながら、角笛を持った少女を傍らに現れたのはロキ。今のエインヘリアル代表にして、携帯ゲーム、アースガルドシンフォニーを作った会社の社長でもある……つまりは諸悪の根源だ。

「さて、この辺のニッズホッグは粗方かたずいたよね? ヘイムダル」

 そう訊ねられ、ヘイムダルと呼ばれた少女はコクリと頷いた。

「はーい、それじゃぁ今宵はこれで解散!」

 その掛け声に、エインヘリアル達が思い思いに消えて行く。
 焔里も帰ろうとした時、その肩をロキに押さえられた。

「何?」
「焔里ちゃ〜ん、そうつれなくしないでよ、母さん元気?」
「……」

 ピシャリと焔里がロキの手を振り払う。

「……別れた妻の事なんて忘れて、新しい恋人の事を心配なさってはどうですか? 亜神社長?」
「おおう、娘が他人行儀に!! お父さん傷心!」

 ピクリとコメカミが反応するが、相手をすればする程この男が喜ぶと知っている焔里は、フイッと顔を背けると、一跳し、ビルの谷間に身を躍らせた。

「やれやれ、反抗期かなぁ? どう思う? ヘイムダル?」

 ヘイムダルは目を逸らした。

 ******

「ねぇエンリちゃん! 見て見て、隠しルートが解放されたよぉ!!」
「……あ、うん」
「今度は“ロキ”が攻略できる様に……」
「救流兎、止めて、それの攻略だけは本当、マジで、止めて? お願い!」
「え? でも……」
「お願い!!」
「う、うん」

 あまりにも必死な焔里の様子に、救流兎は頷くしかなかったと言う。
0570二代目進行 ◆rZF28D1ulBTo
垢版 |
2018/06/10(日) 22:03:17.50ID:dcGlmlR/
お題『水着』『イケメン』『年の差』『パニック』『遺伝』『電車』『北欧神話』締め切り

【参加作品一覧】
>>557【気が付けば終着駅】
>>568【アースガルドシンフォニー】
0571二代目進行 ◆rZF28D1ulBTo
垢版 |
2018/06/10(日) 22:07:15.86ID:dcGlmlR/
投票、個人的な負担分散の為に水曜締切にしてたんですが水曜以降もちょいちょい票が入るのと、結構忘れる(すごく申し訳ないorz)ので今週からお題と同じ日曜日に締めます。

お題『怪盗』『バタフライエフェクト』『昔話』『ガーターベルト』『メイド』『誰かが雄叫びをあげる』『悩み』投票締め切り

【得票数一覧】
>>562【クレインエフェクト】一票
>>563【怪盗バタフライエフェクトの悩み】一票
0572二代目進行 ◆rZF28D1ulBTo
垢版 |
2018/06/10(日) 22:09:04.02ID:dcGlmlR/
安価間違えて本当に申し訳ないです
投票のレスにしてしまった……

>>528【クレインエフェクト】
>>498【怪盗バタフライエフェクトの悩み】
0574この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/10(日) 22:10:26.43ID:mmCf9PWR
『インターネット』
0576この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/10(日) 22:21:21.07ID:gSaRhvky
『新人賞』
0579この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/11(月) 00:45:51.72ID:uKRLkSRx
『チェンジ』
0581二代目進行 ◆rZF28D1ulBTo
垢版 |
2018/06/11(月) 01:22:50.84ID:zzyzfprh
☆お題→『インターネット』『オカルト』『新人賞』『講演』『自己紹介』『チェンジ』『召喚』より三つを選択
※二つ以下、四つ以上は不可

☆文字数→3レス以内に収めれば何字でも可。
最大文字数の目安としては、3レスで5000〜6000字程度。
もちろん文字数が少なくても分割OK

☆締め切り→6/17の22時まで

☆平行して投票を行います(試験運転)→安価もしくはタイトルで一人一票までレスしてください。

【見逃し防止のため、このレスに安価してください。】
0582この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/11(月) 08:08:21.60ID:yVWWYIwK
>>568
高難度だったか前回お題、『イケメン』『遺伝』『北欧神話』を選んで開幕、北欧神話と父と子と〜
さあ、乙女ゲー「アースガルドシンフォニー」のテーマは『北欧神話』、登場人物達の『遺伝』子持ったキャラクターによる、育成アイドル恋愛ゲーだ〜
ゲーム内『イケメン』の殺し文句に歓声あげる友人に、苦々しい顔する焔里さん〜、彼女の正体こそマジで北欧神話の遺伝子持ったモデルこと、戦闘部隊エインヘリアルの一員だ〜ゲームの開発者・親父をはねつけラスト!
友人がアイドルゲーの隠しルートを開放し、出てきた攻略対象は親父・ロキw ただでさえ複雑な関係なのに、親父の攻略中継なんて耐えられないw
子の心、友知らずオチ! 職人568氏が難題『北欧神話』を己のテイストに取り込んで、お題6個をフル消化だッ、親子の愛憎・入り乱れ、攻略拒否ENDでシメてくれたぜ、乙乙ッー!
0583この名無しがすごい!
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2018/06/11(月) 08:11:51.30ID:yVWWYIwK
ん、あ、お題は全7個だったかw
0584この名無しがすごい!
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2018/06/11(月) 10:44:22.70ID:0uEFxv6Y
>>582
感想有難うございます
『年の差』を含めた短編も考えてはいたのですが、上手く纏まらず断念しましたorz
0585この名無しがすごい!
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2018/06/12(火) 12:51:16.66ID:0DFBHVkB
>>581 今回は書けた。良かった……

使用したお題:『自己紹介』『チェンジ』『召喚』

【異世界召喚】

「あーぶーらかたぶらこっかどぅどぅるどぅえろいむえっさいむうんぬんかんぬん……。
 さあ、出でよ、異世界の勇者よ! 我らの世界を守るためにいざ、参られい!!」
「うわ、な、なんだここは……」
「あなたが異世界の勇者様ですか。よくぞ、よくぞ参られました」
「え、異世界の勇者? よくわかんないけど、あれ、俺召喚されたとか?」
「そうでございます……。あなたこそ我が世界を救う勇者様です!」
「まじか、ゲームの新作が早くやりたいからって久しぶりに家の外出て店まで買いに行って良かった! トラックに引かれそうになってうわって思ったらまさかこんなところに出られるなんてラッキー!
 しかも異世界召喚に巻き込まれるなんて、本当にあるんだこんなこと! やったぜ、これからチート能力で敵をバッタバッタなぎ倒し、可愛い異世界美女のハーレム作れるんだ!!」
「……ところで勇者様。異世界でのご職業はなんでしたか?」
「え、し、仕事は、その……そんなことはいいじゃないか! 俺がニートでも、チート能力さえあれば最強の勇者に……」
「チェンジで」
〜〜〜
「(前略)さあ、出でよ、異世界の勇者よ! 我らの世界を守るためにいざ、参られい!!」
「きゃっ、なに!? いきなり変なとこに来ちゃった?」
「あなたが異世界の勇者様ですか。よくぞ、よくぞ参られました」
「ちょっと! 異世界とかよくわかんないこと言ってないで早く元の場所に戻しなさいよ! 私さっきまでホストのケンジと一緒に楽しく飲んでたんだから! あんたみたいな変な奴お呼びじゃないのよ!
 それにいきなり変なとこ呼びだされて地面に腰打っちゃった衝撃で、服のボタンが取れちゃったじゃない! もう、私の着られるサイズのドレスってオーダーメードじゃないと無いのに……」
「チェンジで」
〜〜〜
「(前略)(中略)参られい!!」
「あれー、ていうかマジヤバクない? なにここキショイー、写メとってSNSのっけよ。しかもこの変なローブのおっさんウケルし。
 コスプレ? ねぇ、それコスプレ? おっさんなのにコスプレしてるとかちょーウケ……」
「チェンジで」
〜〜〜
「(以下同文)」
「あ゛? ワレなに人様を拉致ってんじゃコラ? 事務所言って話しあおか? さもないとイテコマシたるでコラ?」
「チェンジで」
〜〜〜
「えー、なんか変なとこいるしー。あーあ、せっかくダイエットしようと思ったけどやる気なくしたわー。明日にしてカラアゲ食べようかしらー」
「チェンジで」
〜〜〜
「あれ、ここはどこ? さっきまで病室にいたのに……。あ、人工呼吸器が外れてる。このままだと窒息して死……」
「ちぇ、チェンジ! 早くチェンジで!」
〜〜〜
「……なんだここは、オレはなぜこんなところに? あ、すみません。ここはどこですか? さっきまで一人で空手の練習をしていたはずなのですが、なぜかこんなところに……。
困ったな、大会まで近いのに、このままだと確実に優勝するラインまでいけなくなってしまう。医大の勉強が忙しくてただでさえ練習時間が取れないというのに、どうしたら……」
「おおおおお! あなたこそ、あなたこそ我が世界を救う勇者様ですううう! お願いします、助けてくださいいいいいい!!」
0586この名無しがすごい!
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2018/06/12(火) 14:48:33.00ID:vuXlqNuF
>>585
好き
まさかそういう『チェンジ』の使い方をしてくるとは思わなかったw
0587この名無しがすごい!
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2018/06/12(火) 15:14:20.38ID:JbbjlEs7
>>585
勇者召喚
呼ぶ方にも呼ばれる方にもドラマがありますね
とりあえず、チェンジシステムが有って良かったw
0588この名無しがすごい!
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2018/06/12(火) 23:13:58.35ID:xXXWbBaf
>>581 久々に息抜き兼ねて書いた。

使用したお題:『オカルト』『召喚』『チェンジ』

【悪魔の召喚】

「ははっ! この俺がオカルトなんかにまた手を出す羽目になるとはな……」

 恐らくは自業自得という事なのだろう。今までの人生で好き勝手にやり過ぎたという訳だ。だが、こんなとこで死んでたまるか!

「おいこら! 逃げ回ってんじゃねぇぞ、出てきやがれ!」

 ヤクザの男がブチ切れた様子で俺を探し回っている。勝手に組の金を持ち逃げしてそれがバレたら、そりゃそうなるわ。つくづく調子に乗っていた。何をやってもこれまで失敗などした事はなかった。だからこそ調子に乗って金を盗み出したが、結果はこの始末。

「だけど、それでもこれさえあれば……!」

 俺が手に持っているのはなんの因果か幼い頃に、怪しげな婆さんに渡された一つの書物。その本には『悪魔召喚』の術が載っている。かつて虐待を受けていた俺は、それを使い事なきを得た。そこからは順風満帆な人生だったと言えるだろう。
 何をやっても上手く行くのだ。調子に乘るのも当然だろう。今考えるなら真っ当な生き方でも大成したのかもしれない。だが幼い頃の環境が悪かったせいか、そんな道は俺は選ばなかった。

 俺は暴力と金で全てが上手く行く世界しか知らなかった。そしてそれを辞める気は欠片もない。

「さぁ、悪魔よ。再び俺に失敗のない人生を!」

 その呼びかけに答えるかのように、悪魔が召喚されてきた。よし、これで俺の人生は安泰だ!

「……なんだ、折角の召喚かと思ったら既に契約済みじゃねぇか。こりゃあいつの契約者か。おい、契約満了の奴が来てるぞ!」
「……何、どういう事だ?」

「なんだ、もう満了になったのか」
「良いからさっさとチェンジしろ。契約済みの満了者なんか相手にしてられるか!」
「分かったからそう急かすな」

 ……なんだ? どういう事だ? 悪魔が別の悪魔にチェンジした……? この悪魔、どこか見覚えが……?

「思ったよりは早かったが、随分と美味そうな魂へと変わったな。どれだけの悪行を繰り返したのやら」
「……どういう事だ!? お前は……!」
「俺はかつてお前と契約した悪魔だよ。寿命が尽きるまで人生の成功を望んだのは貴様だろう?」

 そうか、見覚えがある筈だ。俺はかつてコイツと契約をして、その代償に……。

「悪行を働かなければ、より良い人生で寿命を全う出来ただろうにな。まぁこちらとしては美味い魂になってくれて有り難いが」
「ま、待ってくれ!」
「悪いが契約は満了した。報酬を回収させてもらおう」

 身体から力が抜けていく。そして得体のしれない何かに食われていく感覚がある。嫌だ、死にたくない! ふざけんな、なんでこんな事に! 
 次第に意識も薄れていき、いつ自分の意識が無くなったのかすら分からなかった。

「真っ当な人生を送れば、まだ50年は先だった筈だがな。淀んだ魂は美味かったぞ、外道」
0589この名無しがすごい!
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2018/06/13(水) 07:34:48.07ID:yGA6UkBu
>>588
正に“命運は尽きた”と、言ったところですね
天国への道は細く険しく、地獄への道は広く穏やかと言います
困難でも、真っ当な生き方をしていれば、違った結末に成っていたのに……
0590この名無しがすごい!
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2018/06/13(水) 08:57:32.62ID:Q4PQ2uA/
>>585
お題『自己紹介』『チェンジ』『召喚』に挑戦、召喚リピート、オーバー&オーバー!
さあ、物語はローブの祭司が『召喚』呪文を唱えて開幕だ〜、呼ばれたニートが喜びの声とともに『自己紹介』、ん、しかし祭祀、これを『チェンジ』ィ!?
繰り返される召喚召喚、これちゃうこれちゃう、チェンジチェンジ〜、出てきたのはギャル、ギャル、ヤクザ、ギャル、瀕死の人だ〜、ギャル率w
ラスト、祭司がミスター文武両道の召喚に成功し、態度一転、拝み倒しのオチをきめ、585氏は『チェンジ』の使い熟しで賛辞を浴びてニッコニコ、お題・複数回消化で腕を見せたぜ!
誰だって行ってみたいな異世界へ〜、しかし忘れるな、選ぶ権利、それは召喚する側にだってあるはずだ〜、世界の行く先をそんな簡単に預けられるわけねえだろって感じで、運否天賦を力でネジ伏す、ガチャENDだッ

>>588
お題『オカルト』『召喚』『チェンジ』を選んで悪魔ものを描いた〜、短編スレ版・悪魔の報酬〜
さあ、『オカルト』にまた手を出す羽目になるとはなァ〜、って追われる男が魔術書のページを開くぜ〜
男は過去、悪魔『召喚』によって己が虐待乗り越え、悪逆の徒として過ごしてきた〜、ここで再び召喚に手を染め〜、って!? 魔術書の悪魔サイドが何やら混乱、いわく満了の客だ、『チェンジ』しろ、これ何の窓口業務だよバタバタわろた
先代の悪魔が出てきて、報酬回収オチだァw 悪の生が寿命縮める、因果応報バッチリ決めてお題をクリア〜
ラスト、死の淵しずむ語り手に向け、悪魔は語る〜、真っ当な人生を送っていれば、まだ50年は先だった! 災い転じて福となし、福は転じて災いとなる〜、588氏が幸運と不運を弄び、悪魔作者っぷりを愉しみENDォー!
0591この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/13(水) 21:39:37.92ID:wmcfehJH
今回のテーマで考えてたら、めっちゃ昔に見たSSを思い出して、久しぶりに読んでみたら泣けてしまった
パクって細部を変えてこっそり投稿しちゃおうかなと思ったけどやめたわ。あの作品を汚したくない
0592この名無しがすごい!
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2018/06/14(木) 19:06:22.08ID:7QUCR48B
>>581 初挑戦!

使用したお題:『インターネット』『オカルト』『自己紹介』

【忍び寄る黒い悪魔】

 夏季休暇が明けたあとの大学で、パソコンに詳しいという友人から『メリーからのメール』について聞かされていた。
 それは今まさに僕が体験していることで、思わず飛び上がりたくなるほど驚いた。
 最初のメールは何気ない挨拶文と自己紹介文が並び、僕との交流を持ちたいという内容だ。
 翌日からはバイトから帰るたびにメールが届いており、内容は送り主の近況がしめていた。
 初めのうちは興味半分で返信をしてみたが、もれなく宛先不明だと返ってくるだけだった。
 誰かに相談しようにも、親しくパソコンに詳しい人間がそのへんにいるわけじゃない。
 最初のメールから一週間ほどが経ってようやく相談できると思っていたけど、まさか向こうから話を振られるとは思わなかった。
 僕の方からも症状を告げると、大仰な身振りをして現代のオカルトを体験できるなんてお前ついてるなと言われた。
 ちょっと強い口調で咎めると、友人は涙目で笑いながら種明かしをしてくれた。
 結局そのメールは、インターネットを介して感染したウィルスによるものだったらしい。
 後日友人が家に来て、首を傾げながらもパソコンを綺麗にしてくれた。
 それから気味の悪いメールが届くことなく一週間が過ぎて――――。

 再びメールが届くようになっていた。
 それも若干内容が不自然で、不定間隔に来ていた。
『メリーよ。いまゴミ捨て場にいるの』
『メリーよ。いま駅前の広場にいるの』
『メリーよ。いまタバコ屋さんの角にいるの』
『メリーよ。いま不細工な猫に追われているの』
『メリーよ。いまあなたの家の前にいるの』
 僕は恐怖を感じながら玄関を覗いてみたが誰もいない。
 恐る恐るチェーンロックを掛けて扉を開くが、すぐそこで隣の家の黒猫が寛いでいただけだった。
 再びパソコンの前に座ってニコニコチューブを見ていると、再びメールが届いた。
『メリーよ。いま目の前にいるの』
 見るとキーボードの陰から台所の黒い悪魔がでてきた。

〈おしまい〉
0593この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/14(木) 22:11:55.15ID:jDxtXfDr
>>592
面白かったけど、これ前半と後半繋がってないんじゃない?
前半のオカルトチックな奴は、「メリーさんウィルスが収まったあと、まさかの展開が!?」的なホラー落ち(もしくはギャグでもいいけど)にした方がいいと思うし、
後半のメリーさん(G)は違う掘り下げ方、例えばそれこそギャグ路線とかで読みたかった。着眼点自体はすごくいいと思ったけど・・・
0594この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/14(木) 23:10:51.21ID:7QUCR48B
>>593
感想ありがとうございます!

やっぱり無理がありましたか
「友人が首を傾げながらもパソコンを綺麗にした」というのは、
「ウィルスに感染してないのになんでだ?とりあえずいらないアプリを消しておこう」
という表現のつもりでもありました
まあそれでも一週間ほどメール送信の空白ができた理由にはならないけど

ついでにどうでもいいことを言うと、メリーの言う「不細工な猫」は隣の家の黒猫です
0595この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/14(木) 23:24:42.13ID:/axbF7D8
>>592
最初のメリーさんのメール内容も見てみたかったですね
良く読むと、後半のメール内容が小さな者視線に成っているので、対比が見たいと思いました
でも、そもそも“黒き者”からのメールと言う時点で、結構なオカルトですよねw
0596この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/14(木) 23:52:38.08ID:LKXIT+28
連載の話の筆がめっちゃ進んでこっちの事忘れてたw

>>589
真っ当な人生さえ送れば、死後に魂は持っていかれるものの、事故をしても無傷だったり、病気になる事もなかったり、宝くじが大当たりしたりという人生でした。
悪行を繰り広げた事でそのトラブルの解消にそれらを使い果たした為にこうなったので自業自得ですね。

>>590
新規さん用の悪魔召喚の魔術書なので、すでに契約済みの人間が使う事は想定されてなかったっていうね。
悪魔の世界も色々大変なのでしょう。
それにしても悪魔作者ってw
0597この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/15(金) 06:16:18.60ID:viEpKyQp
>>592
選択お題は、『インターネット』『オカルト』『自己紹介』! ホラー開演、忍び寄る黒き艶々のあいつ!
初登場592氏が描いてみせる、夏季休暇明けの大学生〜、彼のメールボックスに届くのは、メリーさんの『自己紹介』と挨拶文〜
こんな『オカルト』体験できるなんてツイてるなと、友人が『インターネット』をクリーンアップ、
しかーし、メールは止まらず戦々恐々〜、さあお題を消化し、オチはどうなる、メリーさんが家の前〜、玄関の、扉あけたる主人公、そこには寛ぐ黒き猫、こ、コイツが黒い悪魔か!?
かかったな、ソレはフェイントだぜとゴッキー現れ、私でしたオチw 私でしたじゃねえよ、何めっちゃメールしてきてんのwって感じで、人類に対して永劫続く、あいつの嫌がらせEND〜! 初陣592氏がフェイント・フィニッシュをカサカサと決めてくれたァ!
0598592
垢版 |
2018/06/15(金) 18:51:00.77ID:CGVGBxJw
感想ありがとうございます!

>>597
黒猫はフェイントのつもりじゃなかったけど、確かにそういう見方も出来ますね
黒猫が好きなので、猫を出すか→じゃあ黒猫で、といった流れでした
意図して何か仕掛けておけばよかったな

>>595
最初期の書き殴りから引っ張り出してみます
この時はまだ黒い悪魔じゃないどころか、オチと共に何も決まっていない状態でした

『始めまして。私はメリー。あなたと交流を持ちたいの』
『メリーです。ようやく地球についたの』

後付のメール内容としては
・家族が一杯いるよ、春に生まれた子供たちが元気に飛び回ってる
・たまには日光浴しなきゃね
・丸1日外出していたら美味しい食べ物を手に入れて食べ尽くしていたらしく自慢された(ホウ酸団子)
・みんな死んでいく…………悲しい
・気分を一新してこの家から離れることにしたよ、あなたにも会いに行くね
と言ったものでしょう、たぶん

いま考えると『僕』が受け取ったメール内容と『友人』の話すメール内容とで噛み合わないという描写を入れておくべきだった
0599この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/16(土) 17:13:05.03ID:mHO6u/9H
>>581
使用したお題:『新人賞』『講演』『自己紹介』

【ああ黒歴史よ】(1/2)

 以下は、実話のようで実話ではない、とあるとても悲しい出来事の一片を散々噛み砕いて誇張したものである。
 人の持つ大きな自意識、緊張したときにいらないことを口走ってやっちまった感、そういったものを以下から感じ取ってもらえれば幸いである。



 ……あ、もう喋ってもいいんですか? あ、そうですか。
 あー、マイクこれ大丈夫です? え? いや、大丈夫かって。なんか、音出てます? あ、出てる? 本当に?
 あー、あー。出て無くないですか? あ、出てる? 本当に? あー、あー。あ、出てますね。

 いや、すみません、こんな、ねえ。せっかくの新人賞の講演なのに、ぐだっちゃって。
 あはは、まあ、えー、はい。……なに言うんだったっけ(笑)。あー、すみませんねえ。ちょっと緊張しちゃって。
 こういう、改めた場面での挨拶っていうのをする立場になかったものですから。

 だって、こういうのって、なんか、ためになること言わなくちゃいけないじゃないですか? 人生の糧的なこと?
 校長先生みたいな? いやいや、無理だって、ねえ? 僕なんか若輩者にそんなの、何が言えるかって話じゃないですか?
 いや、まあ、まあ、ね。新人賞取っちゃったからね、しょうがないと言えばしょうがないんですけど、
 あ、取っちゃったって言い方はまずいですね、すみません、すみません。新人賞逃した方本当にすみません。

 こんな僕が新人賞取っちゃってすみません。ね。はー……もう講演時間無くなったんじゃないですか?
 あ、まだある? あ、結構ありますね、あはは。はー、それでは、自己紹介をしましょうか。はい、どうも。どうも。いや、いいですね。
 自己紹介とかやめましょう。まどろっこしいことをやめましょう。どうも、数いる応募者から何かの間違いで新人賞を取ってしまった者です。
 ね。ほんと、何かの間違いかって思いますね。こういったらなんですが、審査員の方は見る目ないんじゃないんですかね? 僕みたいなのを選ぶだなんて?
 僕のほかにたくさんいいのがあったでしょうに。どうして、わざわざ僕の奴に目を留めて、あげくこんな賞与えちゃって。ね。勘違いしちゃいますよー。
 才能あるって勘違いしちゃいますよー。
0600この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/16(土) 17:17:42.47ID:mHO6u/9H
【ああ黒歴史よ】(2/2)

 ね。ほんと、どうかしてますよ。世界、どうかしちゃってませんか? ここにいる人たちは、わかると思うのですが、世界に対する、違和感。ね。
 こういう、職業柄、ね。四六時中、心象を面白おかしく弄って遊んでいると、ね。
 わかっちゃいますね。世界がもう、歪んでるって。あ、もう駄目だなって。世界が崩壊しかけてるなって(笑)。
 わかっちゃう(笑)。皆さんは自分が誰だかわかっていますか? この世界で自己を明確に表現できる方はいらっしゃいますか?
 はい、手を挙げてみてください! ……あ、誰も手を挙げない(笑)。んー、まあ、そうですね。

 ぶっちゃけて言うと、誰も自分のことなんてわかってないんですね。自分のことも、他人のことも、何もわかっちゃいないで、この世界を生きるしかないんです。
 でも、みんなわかっている気でいる。それが僕には、我慢ならない。だから、世界が、嫌になる。
 僕は毎日夢を見ます。終わった世界の中で、血みどろの海に浮かんで、自分が殺した彼女のことを夢想する。ね。

 それが、僕が今回表現した小説なのです。あ、人生の糧、喋っちゃいましたね(笑)。
 時間もそろそろ、いいころなので、それでは皆様方、こんな僕のことを、よろしくお願いしますね?




 ……。
 ……。
 ……お分かり頂けただろうか。

 皆も、大きな場に立つときは気を付けよう。
0601この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/16(土) 18:14:40.89ID:8VpD0ALI
>>599
予想外な告白w
果たして何をどう“ヨロシク”したら良いのでしょう?
先ずは落ち着いて電話でしょうか?w
0602この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/16(土) 18:20:03.52ID:8VpD0ALI
何やら、ネタが被った気もしますが……

使用お題:『インターネット』『新人賞』『講演』

【故郷の錦】(1/2)


「ほうら、お父さんも、そんな怖い顔してないで……」
「煩い、地顔だ」

 妻、節子の言葉に、隆正は不機嫌そうに言った。

 街の人が勢ぞろいしているのでは無かろうか? そんな風に思える程に駅の前には人が集まっている。
 駅前には横断幕が張られ、待ち人を今か今かと待っていた。
 そうこうして居る内に駅に電車が到着する。鼠色のくたびれたスーツに黄土色のコート、手には土産の詰まった紙袋をこれでもかと持った男が改札から出てきた時、集まっていた街の衆がワッと沸いた。

「な、なんだぁ?」

 驚きに目を瞠っていた男は、横断幕に書かれた文字を認め、羞恥に顔を染めると共に苦笑した。

 ――――横山 清太郎センセイ お帰りなさい――――

 小説家、横山 清太郎の帰郷である。

 ******

 町長に注がれた、零れそうになる麦酒を清太郎は慌ててすする。

「いやぁ、清太郎センセイ、今回の講演を快く引き受けてくだすって、本当に助かりました」
「いえ、自分の話程度で良ければ……」
「はは、御謙遜を」

 機嫌よく呵々大笑する町長とは裏腹に、清太郎は曖昧な笑みを浮かべる。
 チラリと、横目で宴会場の隅で黙々と酒を呷る父の姿を確認し、小さく溜息を吐いた。

 清太郎の父、隆正。彼も清太郎と同じ小説家である……いや、清太郎自身は自分が小説家であると言う意識は薄い。
 彼の思い浮かべる小説家の姿と言うのは、一日中机に向かい黙々と筆を走らせ、時にはそれらを放棄し、また筆を進める。
 そして書かない時は、行き詰まった思考を落ち着かせる為に少しだけ休んで散歩等をしている……と言う、父の姿そのものだったからだ。
 それ故に、仕事の片手間に依頼を消化している様な自身をもって、“小説家”等と名乗るのはおこがましいとさえ感じていた。

 そもそも清太郎は小説家になど成ろうとは思っていなかった。今やっている仕事のストレスが溜まり、それを発散させようとインターネット上に細々と小説の様な物を書いたのが始まりであった。
 それがある編集者の目に留まり、「一冊にまとめてはどうでしょう?」と勧められた本が、何を間違ったか、文学の新人賞を取ってしまったのだ。
 当初は、こんな短編とも連載ともつかない様な小説モドキが賞を取る等とと、受賞を辞退するつもりだったが、そこは海千山千の編集に言いくるめられ、あれよあれよと言う内に新人賞、そして2冊目の本を出す事まで決まっていた。

 それ等の本が更に幾つかの文学賞を取り、話題と言う意味では都合が良かったのだろう。そうこうして居る内にエッセイの依頼なども来た為、それを受けたりしていたのだが……

 今回、帰郷したのは、それらエッセイで述べた内容を講演する為だった。
 既に故郷を離れ10年近く経つ。
 少ないながらも連絡のやり取りはあったが、それまで一度も顔を合わせて来なかった両親に会うには、良い機会だとも思った為、この講演を引き受けたのだ。
 嫁すら貰っていない、親不孝を続けて来た自分が少ないながらも孝行が出来るのでは? と言う思いもあったのだが、そんな両親とは駅で挨拶を交わした以降は、まるで話をしていない。

「はぁ……」
「おや、清太郎センセイ、お疲れですか?」
「え? あ、あぁ、そうですね、少し、疲れたのかもしれません」
「それは大変だ、旅の疲れでしょう、では、この辺で一旦お開きにして……」
「あー、いえ、それには及びません、少し、休憩してきますから」

 盛り上がる会場を目にし、清太郎はそう言うと席を立った。
0603この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/16(土) 18:23:11.43ID:8VpD0ALI
【故郷の錦】(2/2)


 ******

「結構、変化しているものだな……」

 宴会場のあるイベントホールの、ベランダに作られていた喫煙所で電子タバコを喫しながら、清太郎は郷里の風景を眺める。
 十年一昔と言う言葉も有る。彼の視界には、それまで無かった建物もちらほらと映っていた。

「清太郎」
「ん? あ、母さん……」

 声を掛けられ振り向くと、そこには母、節子の姿があった。皴の増えた顔で、しかし昔と変わらない笑顔を清太郎に向ける。

「まぁ、立派になったわねぇ」
「……偶々だよ、僕の実力って訳じゃない」

 母の言葉に清太郎が皮肉気に笑う。隆正がどれだけ小説に心血を注いでいたかを知っているだけに、周りに流されるままにここまで来た清太郎の心中は複雑だった。

「そう言うのも実力と言うのよ」

 節子が苦笑する。

「親父は……怒ってるかい?」
「何で?」
「いや、だって……」

 再開して以降、顰めっ面で黙ったままだっ隆正を思い出し、清太郎がそう言う。節子はくすくすと笑った。

「まぁ、心中は複雑でしょうねぇ、あのひと文学賞なんかには、とんと縁が無かったから……」

 「やっぱりか」と言う思いが清太郎の胸中に渦巻く。隆正の小説は、自身を体現する様な硬質な感じの物で有り、万人に受け入れられると言う類では無かったが、しかし根強いファンもいる為、生活に困らない程度には売れていた。
 しかし、自分はどうだろうと考えれば、偶々最初の小説が話題になり、編集者の営業手腕によって、続けて出した本も売れてくれたに過ぎない。
 つまりは一時の流行り病の様なものだ。

「悔しくはあるわよ、でも、それ以上に誇らしって思いも有るから、どういう態度をとって良いか分からないのでしょうね? だって、万年中堅作家のお父さんが、幾つもの賞を受賞している作家サマに、上から目線で『よくやった』……なんて言えないでしょう?」
「え?」

 その言葉に清太郎は思わず目を見開いた。隆正は古いタイプの人間である。
 だからこそ、インターネットで書かれた様な、軽薄と言われそうな自分の作品に対し憤りを抱えているだろうと思っていたし、そんな自分が“センセイ”等と呼ばれ、まるで一端の小説家の様に振舞っている事が気に入らないだろうと思ったからだ。
 それ故の、あの態度だと思っていたのだが……

「貴方は知らないでしょうけど、あのひと、最近ネット小説も書き始めたのよ? 誰に感化されたのかしらねえ」

 笑いながらそう言う節子の話に驚きながらも、“あの”父親のネット小説である。電子書籍すら敬遠しそうな隆正の意外な作品の情報に、清太郎は「探して読んでみなければ」そう思った。
 もっとも、「あの頭の固い親父は嫌がるだろうなぁ」とも思っていたが。

「だから、貴方の方から話し掛けて御上げなさい?」
「うん、そうだね」

 少しばかり予想外な父の近況に笑みが零れる。
 電子タバコをケースに仕舞いながら、清太郎は「麦酒を注ぎに行かなければ」……と、そう思ったのだった。
0605この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/16(土) 18:28:10.98ID:KpEPGEbd
あ、作品投稿が安価なんだね
投票する時に安価付けるのかと思ってた
0606この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/16(土) 18:40:41.88ID:8VpD0ALI
前は投票時だけだったのですが、代理さんの時に投稿時にもと成り、そのまま継続……と言った感じです
0607この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/16(土) 18:54:28.13ID:mHO6u/9H
>>601
感想ありがとうございます
オチが無くてちょっと紛らわしくなったかもですが
一応言っとくと殺人の告白とかではないです
ただ痛い痛い痛いと読んだ誰かがのたうち回る話です……
0608この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/16(土) 20:14:11.83ID:V5nd8k52
>>599
こういうの大好物、意味が分かると怖い話系。
だけど可能ならもうちょっと隠してほしかったかなぁ・・・隠すとわからなくなっちゃうかもしれんが
0609この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/16(土) 20:47:16.08ID:mHO6u/9H
いや違うんですよそういうアレじゃないんですよ
ただ痛い人間を書きたかっただけで……
あれ? 失敗したかな……
0610この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/16(土) 22:53:06.73ID:C0RyTztJ
>>599
講演する前にテーマを考えてないとこうなりそうw
というか俺も過去の殺しをポロリしたのかと思っちゃった
0612この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/17(日) 08:18:15.20ID:h1YIBqu3
>>599
お題選択は『新人賞』『講演』『自己紹介』だ、キリキリ舞い・スピーキング・ターイム!
さあ、599氏が描く、『新人賞』の受賞者が、『講演』会でマイクテス〜、スピーチ内容忘れた彼が、気を取り直して『自己紹介』、〜て言いつつやめるんかいw
このグダグダ感! アガっている〜イイ具合にアガっているぞ〜、卑下するためとはいえ、やれ審査員は見る目がない、やれ自分の才能は云々と、空気を読まぬ失言で、聴衆はもう冷え冷えだ〜
焦りまくる登壇者がテンパりながら問いかける〜、感じてるかい、世界に対する違和感をww 「皆さんは自分が誰だかわかっていますか?」←自分、自分、キャラを見失ってるのは完全に自分だよ!
混乱トークが厨二方面に転がって、こいつ殺人鬼なのかオチw ユニークな作品だ、技巧派599氏が文字だけでテンパりを描き切る、新機軸アガリ短編・爆笑ENDォ!

>>602
力作続いて、602氏がネタ被りで『インターネット』『新人賞』『講演』に挑む〜、錦を飾ろう、あの故郷〜!
さあ、主人公の帰郷を祝う人々の横断幕で物語はスタート〜、「お帰りなさい」の文字に戸惑う『新人賞』の小説家〜、『インターネット』の手すさびが、いつしか『講演』漕ぎ着けた〜
しかーし歓待受けるも上の空〜、小説家が気に留めるのは、酒を呷る父・隆正の姿〜、不安渦まく主人公、母が語るは驚愕の事実! あの漢・隆正が、ネット小説に手を染めたァ!?
宴会片隅で酒呷るのは、もはやいぶし銀のアイツじゃねえ! 帰ってきた息子の勇姿に頬緩む、一人の老いた父親だあ!
ラスト、理解しがたきを理解したいと互いに手伸ばす物書き親子、麦酒片手に距離縮め、ねぎらい祝っておつかれEND! 電子化親父・プリティーオチが決まったァ〜!
0613この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/17(日) 10:36:34.97ID:WmEswtj4
>>611
感想を有難うございます
テーマ的には、家族故の微妙な距離感を描ければ……と思い書いたものです
上手く伝わっていれば良いなぁと思いますが、どうでしょうね?

>>612
いつも感想有難うございます
可愛いお年寄りは自分的に“萌え”だと思ってます
同意者は皆無ですが……
いや老人専と言う訳でなく、何かほっこりすると言う意味でw
0614この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/17(日) 22:03:43.50ID:WmEswtj4
>>581
使用お題:『オカルト』『チェンジ』『召喚』

【疾風攻機ブロウゲイル】(1/2)


 クラッチを握りシフトを上げる。アクセルを回すと同時に滑らかに加速した。
 夜の高速、疎らな車の間を縫うように風祭 瞬はバイクを走らせる。
 増加する圧力が摂理に逆らったスピードを否定するが、瞬は身を固める様に頭を下げると、さらにアクセルを捻った。
 バイクは良い。自動車にはない、体で風を切り裂く感覚。全てを振り切り、ただ独り先へ進む興奮。

(先へ、もっと、もっとだ!!)

 ピピピー、ピー、ピピピピッ、ピピピー、ピー、ピピピピッ。

「チッ」

 舌打ちを一つ、瞬はレシーバーONにした。

『瞬、仕事だ』
「……はいよ……」

 端的に告げられ、座標がヘルメット内のモニターに表示される。
 瞬は前輪のブレーキをかけると、後輪を滑らせターンした。

 ******

 淡く光る魔方陣の中から怪物としか呼べないモノが這いずり出てくる。
 繁華街で有る筈の町の一角、そこは、不自然に街の明かりが消え、人通りも皆無だった。
 幾つもの乗り捨てられ、主の居なくなった自動車群の、その取り残された自動車一つの中で、女性が腰を抜かして顔を引き攣らせていた。
 どこかの噂では聞いた覚えがある。良く有るオカルト系都市伝説の類いだと思っていたモノ。

 “ラルヴァ”

 悪霊と言う名を付けられたその怪物は、闇夜の中から這い出し人を襲うと言う。現れる時に魔方陣を伴う為、何処かの邪悪な魔導士が召喚しているとか言う噂であるが、その真相を知る者は極少数の者だけだった。

 半透明の蜥蜴の様な形状の、ゲル状の肉体の中に人らしき肉片や骨の浮かぶ、吐き気をもようす様なラルヴァの姿、女性は短い悲鳴を上げ気を失う。

 のっぺりとした、目も鼻も無いラルヴァの貌。だが、生ある者を認識できるのか、取り残された女性に対し、巨体をくねらせると、途中にある無人の自動車を残骸に変えながら、その元までたどり着く。
 と、ラルヴァは、無貌の頭部をバックリと開いた。


 ババッ! ババッ! ババババババッ!!

 ラルヴァの体表が弾け、幾つもの風穴を開ける。
 だがその傷も、ゲル状の体が直に塞ぎ、致命傷とはならなかった。
 だが、ラルヴァの敵意を引くのには成功したらしい。ゲル状の背から幾本もの触手を伸ばすと、攻撃を仕掛けて来た敵に対して鞭の様に伸ばした。

 パスン! パスン!

 銃音が響き、その度に触手が寸断される。


『!! !!!!!! !!! !!!!!!』

 声なき悲鳴が闇夜に響いた。

 パパ―――――――――ヴン!!

 爆音が轟き、昏闇の中から鉄の塊が高速で飛び出す。
0615この名無しがすごい!
垢版 |
2018/06/17(日) 22:06:04.20ID:WmEswtj4
【疾風攻機ブロウゲイル】(2/2)


「アームドチェンジ」

 静かな声がキーコマンドを発すると、その鉄の塊……武装バイクは展開し、翔の体を鎧の様に包み込んだ。
 脚部のスフィアが回転し、エアロスラスタがバランスを制御する。
 その身にかかるGに舌打ちをしながらも、翔はガトリングガンをラルヴァの体にばら撒いた。

『!!!! !! !!!!!!』

 度重なる攻撃にラルヴァの怒気が膨らむ。背からの触手が、あたかもミサイルの様に射出され、武装バイクのスタンド形態“ブロウゲイル”に襲い掛かる。
 だが翔は、スフィアとエアロスラスタ―を駆使し、まるでダンスを踊る様にその触手を避けると、追撃のガトリングをさらに叩き込んだ。

『!!!!!! !!!! !!!!』

 ラルヴァがブロウゲイルの方を向く。完全に敵だと認識したのだろう。だが、翔はそれを確認すると全力で後退を選択した。
 すでに、怒りに支配されたラルヴァは、ブロウゲイルの後を追い足を走らせる。翔は、敵が思った通りに動いたのを見て、口の端を吊り上げた。

「追って来いよ、ここは死への一本道だ!」

 現場から十分に離れたと感じた翔は、ブロウゲイルの背面パックからエネルギーバイパスを引き出すと、ガトリングのグリップに接続する。
 ガトリングは砲身中央から二分割に割れ、その間にバチバチと放電が始まった。
 ラルヴァもまったく馬鹿と言う訳では無い。ドスドスと走りながらも触手弾をブロウゲイルに向かい発射し続ける。
 背面走行の上、加速重粒子砲の狙いを付けている翔に、それを避けている余裕はない。
 だが、鎧と成っているブロウゲイルの装甲は伊達では無かった。
 幾つもの触手弾が、掠り、間直で爆発するも、その装甲は凹みこそすれど、内部にまでダメージを通す事は無かった。

『!!! !!!!』
「次元の狭間に還れ!!」

 その一瞬、ヒョボッと言う音と共に、ラルヴァの体は四肢を残し消滅した。

 ******

 21世紀もとおに過ぎ、エネルギー不足は深刻な状況に陥っていた。
 そんなある時、科学者の一人が相違次元から“まだ何物にも成っていない粒子”を取り出す事に成功する。
 何物でもない粒子、シュレディンガー粒子と名付けられたそれは、エネルギー問題を解決する新たな粒子として受け入れられた。
 だが、その粒子こそ幻創世界で語られた“魔力”で有る等と誰も知り得る者は居なかった。
 魔力の満ちる時、幻想だと思っていたかつての怪物達が蘇る時である。
 今はまだ、都市伝説だとしてしか語られないそれらが、完全に復活した時、果たして人類に……

 ******

 朝の高速、疎らな車の間を縫うようにして走るバイクがある。
 風祭 翔、彼が人類存続の為の戦いに身を投じる事に成る等、彼もまだ気づいては居なかった。
0617二代目進行 ◆rZF28D1ulBTo
垢版 |
2018/06/17(日) 22:21:22.91ID:YZ/eoUZl
お題『インターネット』『オカルト』『新人賞』『講演』『自己紹介』『チェンジ』『召喚』締切

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