酷評して欲しいです(どM)

「何事にもインプットとアウトプットが大事と言いますが、これは創作の類――それこそ小説を書くときにも必要不可欠な事です」
昔通っていた小説教室の講師がそう熱弁していたのを今でもよく覚えている。血色の良い小太りの中年女性の姿が頭に浮かんだ。
彼女の人生は、新人賞を若くして獲得、華々しいデビューを飾ったところまでは良かったのだが、その後はどの作品も芳しくない売上で、
小さい書き仕事を受けたり教室を開いたりして食いつないでいる典型的な売れない作家となってしまった。狭い教室で必要も無く声を張り上げ、
唾を飛ばす彼女の姿はいつ思い出しても滑稽だったが、当の彼女にしたら、哀れにも作家を夢みる僕達に熱弁を垂れ優越感に浸ることだけが、
傷ついた自尊心をいたわる唯一の機会だったのかもしれない。