滑稽に描きたい人物に文句の付けようのない正論を言わせちゃダメ。

>彼女の人生は、新人賞を若くして獲得、華々しいデビューを飾ったところまでは良かったのだが、

なぜ文章を切らない?

こう書け。


新人賞を取った所までは良かったんだよな。

「ちゃんと聴いてますか!」
 ヒステリックな怒鳴り声が耳を劈いた。まさしく鼓膜を破りそうな勢いだ。
 カリカリすると文章が書けるんだろうか。
 結局この先生は一冊しか本を出していない。そのことはこの教室では禁句だ。 
 藁にも縋る思いでそんな先生のところで学ぶ私は、一体カネに換算してどの程度の価値があるのか。
 文章なんて言うものはカネにはならない水物だ。売れたものに価値があり、一旦売れれば先生先生と、崇め奉ってもらえる。
 一度そうなっただけでもとんでもないことなのだが。
 そうなっていない私は、さしずめゴキブリのようなものだろう。人々に忌み嫌われる、頭の悪い夢想家。
 私はまだ「人間」になれていないのだ。

 やっと「人間」になれたこのおばさんが、いつの間にかゴキブリに戻っている。そんなイメージが頭に浮かんだ。
「すいません」

 ゴキブリよりは人間の方が偉い。