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使用お題:『はっぱ』+『W杯』

【晩酌の肴】


「しちしにじゅうはち、しちごさんじゅうご、しちろくしじゅうに……」

 w杯を見つつ、息子が九九の暗記をしているのを肴にビールを飲む。前回のw杯の時にはまだこんなにハッキリと話など出来なかった様に思うのだが、子供の成長は早いものだと感心する。

「しちしちしじゅう……ろく?」
「四十九だ」
「あ! うん! しちしちしじゅうく、しちはごじゅうろく、しちくろくじゅうし……」
「六十三だろ?」
「え?」
「七×九、六十三」
「あ! う〜」

 七の段か、俺も苦手だったなと思い出し苦笑する。

「おとうさん、わらわないでよ!!」
「え? あー、ごめん」

 自分が笑われたと思ったらしい。ちょっと泣きそうな顔で俺を睨む。

「しちくろくじゅうさん。はちいちがはち……」

 まだたどたどしい九九に耳を傾ける。今では暗算で出来る事。それでも昔は俺も苦労して覚えたんだったか。
 ただ、俺は八の段は得意だった覚えがあるから、数字が大きくなるにつれ苦手になって行くのは、妻の血だろうか? 後で聞いてみよう。

「はちろくしじゅうはち、はちしちごじゅうろく、はっぱ……」
「ふみふみ」
「……おとうさん! じゃましないでよ!!」

 流石にこのギャグは通じなかったか、涙目の息子に「悪い悪い」と謝る。その代わり、息子には九九の裏技を教えてやろう。
 実は半分覚えればもう半分は逆にするだけで計算ができると言う裏技だ。
 妻は良い顔はしないだろうけどな。