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なんかどっかで見た話…………悔しい、でも投稿しちゃう! びくんびくん

お題:『うさぎ』『パイロット』『鰻』『そらまめくんと仲間達』『偽進行』

【巨大怪獣は南からやってくる】

 四機編成を組む戦闘機パイロット達が南部離島地域のはてまで愛機を飛ばしてその目に映したのは、海面上をムーンウォークするうさぎだった。

 そのうちの一機を操る新人が思わずこぼした、なんてデカさだという言葉は、それぞれのヘルメットに内蔵されたスピーカーを震わせた。

 実に200mを超える白い体高の持ち主は、時速40kmという巨体の割には微妙な速度で離島に近づく。
 このままでは人里が荒らされるのも時間の問題だ。
 予測では遥か南東―東側の海上を通って何事もなくやり過ごせるはずだった。

『くそっ、偽進行ルートを掴まされてるじゃないか! 観測所は何を見てたんだ!』

 そう叫びたくなるのはわかるが、巨大怪獣は気ままに進路を変えるものであり、意表をついて直角に曲がることだってざらにある。
 そんな進行ルートを正確に予測することなどとても無理だ。
 だからこそ彼らがいる。

『そらまめリーダーより各機へ。これより対怪獣ミサイルによる攻撃を行う。攻撃目標はうさぎの鼻っ柱とする。各機攻撃準備せよ』

 そらまめリーダー麾下となる二番機、三番機が応答するのに続く。

『そらまめ4、攻撃準備完了』
『よし、これより攻撃に移る。続け』

 そらまめリーダー機が右に傾けて高度を落としつつ、ムーンウォークのために後ろを向いている怪獣の真正面に合わせる。

『発射準備、5、4、3、2、1、今!!』

 各機が両翼に搭載している、全機合わせて16発ものミサイルが5秒の間にすべてうさぎへと向かっていく。
 発射したら離脱のために高度を上げるが、新人の機体は追従が遅れた。

 機体がうさぎの攻撃範囲をかすめると、うさぎの目から赤い怪光線が放射される。
 幸いうさぎの視線が定まらなかったために、回避行動せずとも当たることはなかった。

 そらまめリーダーは新人の鍛え直しを決めた。
 新人とは言え、優秀なパイロットの中から選ばれたさらにひと握りなのだ。これ以上の失敗をさせてはならない。
 だがうさぎの注意を逸らすこととなっていたためか、対怪獣ミサイルは迎撃されることなく全弾がうさぎの鼻へとねじり込まれ、爆発のエネルギーを余すところなく巨体に叩き込むことになった。

 うさぎは顔面から煙を上げて前のめりに倒れると、光の粒を撒き散らしてかき消えた。

『ふう。そらまめリーダーより管制、目標の消滅を確認。こちらの損害は無し。これより帰投する』

 こうして彼らは国民を守っている。

  ☆ ☆ ☆

 そんなそらまめ隊の活躍は、そらまめくんと仲間達というマスコットキャラクター化されていることもあり、さらなる期待と羨望を集めていた。
 そして今この時も国民を守るために、南の大空を舞う。

『今日はまたとんでもないデカさだな』

 彼らの眼下には2,000mを超える体長の鰻が海面よりも上を泳いでいた。

 そらまめくんと仲間達の戦いに終わりはない!!

〈おしまい〉