>>245 いみふめいなおはなしができたよ

使用したお題:『幽霊』『百』『ひみつ道具』『乳酸菌くんの家族』『チューハイ』

「俺な、乳酸菌くんが見えるようになったんだよ」

 チューハイの缶をお供に友人とサッカーゲームで対戦していると、不意にそんな言葉がかけられた。

「乳酸菌くんには家族がたくさんいるんだ」

 ぐびぐびとチューハイを煽る。
 俺は疑問に思って尋ねた。

「家族って何人くらい?」
「え? ……えーと、百万人くらい、かな?」
「ダウト。乳酸菌の代表ビフィズス菌は一兆から十兆は体内に存在している」
「…………………………………………………………………………それでな、乳酸菌くんの家族は今とても大変なことになってるんだ」
「続けるの?」

 ヤツは微笑を絶やさずに続けた。

「今お前、チューハイ飲んでるだろ?」
「そうだね」

 チューハイをぐびぐび飲む。

「そのアルコールのせいで、乳酸菌くんの家族がたくさん死んでるらしいんだ」
「ダウト。乳酸菌は胃酸でほとんどが死滅する」
「それでな、俺には今、乳酸菌くんの家族の幽霊が見えるんだ」
「Oh……」

 幽霊はよくないな。
 よくない。

「乳酸菌くん曰くな、乳酸菌界に代々伝わるひみつ道具があるらしいんだ。それがとても優れモノで、乳酸菌くんの家族を生き返らせることができるらしい」

 コントローラーをぽちぽちするとゴールが決まった。
 これで8対0だ。
 弱すぎない?

「……でもそれを発動するためには、宿主の協力が必要不可欠なんだ。乳酸菌くんも言ってるよ。『みんなで協力すれば、きみの腸内環境もよくなるよ!』……ってね」

 ふーん。

「ダウト。乳酸菌は死んでも効果があるやつもいる。勝手に死んでろ」
「…………で、その協力ってのがね、手を全く動かさないことなんだけど……」
「さっきからなんなん?」
「いや乳酸菌くんがそうしろって言うから――」
「なんなん?」
「…………」

 コントローラーをぽちぽちすると9対0になった。
 なんなん?
 弱すぎない?