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使用お題:『馬』『田中』『チモシー』『ボタン』+最後の一行が『だが、これで終わりではなかった。』

【それでも続く物語】(1/2)


 人は人生で、必ず一回だけは傑作小説を書けるって言う。「自らの人生」って名前の小説だ。
 小説の主人公は自分。だからこれも、そんな物語の1エピソードに過ぎなくて……

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「えへへぇ、2組の田中君に告白されたんだぁ」
「え? あ、そうなんだ……」

 僕の部屋の兎のゲージにチモシー・グラスを追加しながら、彼女がそんな事を言った。
 彼女……馴染の長谷川 愛奈は「立てばシャクヤク座ればボタン、歩く姿はユリの花」を地で行く様な美少女。だけどそれ故に高根の花と言うか、手の届かない存在見たいな感じで、これまで浮いた話の一つも無かった。
 そんな愛奈が、嬉しそうに告白されたと報告して来た。
 そんな彼女に、僕は惚けた様に言葉を返す事しか出来ない。

 2組の田中 敦はサッカー部のエース的な存在で、二枚目の優男。ファンクラブなんかも存在するって話のイケメン。
 成程、そんな男が相手なら愛奈が嬉しそうにしているのも分からなくも無い。
 ただ、それでも、彼氏彼女の関係に成るって事には若干の不安があるらしく、愛奈は「少し考えさせてほしい」と返事をしたそうだ。まぁ、性格も良く知らない相手だしね。

 だからと言う訳じゃないだろうけど、先ずはお互い少しでも打ち解ける為って事で、皆で遊びに行かないかって誘われたんだそうだ。
 いわゆる、グループ交際ってヤツ?