0066この名無しがすごい!
2018/07/08(日) 04:10:30.08ID:NXIYKbpv使用お題:『交換』+『海開き』『デスゲーム』『ネジ』『幼馴染』
【夏の日の中年】(1/2)
監視カメラのカバーを開け、そこに付いているネジを外す。
カメラ本体をカバーに入っているレール部分に嵌め込むと、新しいネジでそれを固定した。
梅雨明けの宣言自体はつい先日行われたたばかりだが、すでに一週間以上も真夏日が続いていた事もあり、海開き当日の今日、大量の人々が海岸に詰めかけている。
「何で、こんな事してんだろうなぁ」
「仕事だからだろ……」
梅雨明けが例年よりかなり早かった事もあり、海の家の準備はまだ整っていなかった。
外装のペンキ塗りしかり、監視カメラの交換しかり。
雨宮 好信は、脚立の上に座り込みながら、鬱陶しい程の夏空を恨めしそうに見上げる。
「手ぇ動かせ、ボケッとしてても仕事は終わんないんだからさぁ」
「へいへい、だけどさあ」
「言うなよ?」
海で騒ぐ色とりどりの水着達に視線を落とす好信の様子に、何を言いたいか察した香坂 忠司が声を低くした。
流石に、これ以上不満を垂れ流していると本気で忠司の怒りを買うと感じた好信は、肩を竦めて作業に戻る。
大人しく作業をしているとは言え、不満が無くなると言う訳でもない。炎天下の中、長袖長ズボンでの監視カメラの交換作業。その上ヘルメットまで着用となれば、いい加減に頭も湯だってくる。
そんな時にキャッキャと楽しげな海水浴客……特に場をわきまえずにいちゃつくカップル等を見ていれば、いかな聖人だったとしても多少の暗黒面に入ってしまったとしても仕方がないだろう。
「……全員、サメに襲われね〜かなぁ」
「何を言っている!」
ギョッとして、好信の顔を見る。
「いやぁ、冗談だよ? 冗談」
「本気にしか見えなかったぞ?」
ハハハと乾いた笑いをする好信に、忠司は渋い顔をする。
「カップルなら200てーん」
「うおおい!!」
「ハハハ、冗談だよ、冗談」
本当かよと思いつつも、大人しく作業に戻った好信から視線を外し、自分の作業に戻る忠司。
「……全員、デスゲームに巻き込まれれば良いのに」
「って、うおい!!」
「…………」
「……じ、冗談だよな? ……な?」
「チッ」
「よし、休憩だ、ちょっと休もう!」
既に目が虚ろな好信に戦慄を覚えた忠司は、慌てて休憩を入れようと提案した。