「はい、今年もやってまいりました第999万9581回目、雪山サミット開催でーす、私、委員長のチョモランマです」
「アンタエベレストちゃいますの」
「いえ、私は色々と周辺部族の付けた名前がありますが、チョモランマが一番のお気に入りなのです、エベレストはイギリスの測量のおっちゃんが勝手につけた名前なので認めません、はい副委員長挨拶をどうぞ」
「はい、わだすは副委員長のK2です」
「ケーツーて、ケーツーてなんやねん、記号みたいな名前してからに」
「はい、これまたイギリスの測量のおっちゃんが、カラコルムの連峰を測量するのに名前がなかった山にカラコルム1から順番にコードネーム振ったんですが、その後他の山には名前がついたのにわだすにはつかなかったのでそのまんまです」
「ゲラゲラ、なんじゃそれ、愛されてねーなー」
「あなたさっきからうるさいですね、誰ですか、ってコマッ」
「え? 僕ですか? 僕は富士です」
「フジ? あー、あの一部の人には無駄に有名だけどちっこい山ね、なんでここにいんの」
「雪山サミットですよね、僕が冠雪している姿は皆に愛されてますから」
「夏場に雪が枯れるような山はこの場にはふさわしくありません、あと低すぎ、なんか言ってやってくださいデナリさん」
「ほーほっほっほ、そうそう、ここに顔を出すのは少なくとも5000mは無いと話になりませんことよ」
「デナリって誰やねん」
「さすが小さな島国で威張ってるだけの小山ですわね、わたくしは長らく英名のマッキンリーと呼ばれてましたが、昔ながらの名前のデナリに変わったんですのよ」
「ああ、あの上村直己を殺したやつか、エベレストさんといい、恐ろしいね、あと、お前らみんなイギリス人にやられたい放題か、僕なんかずーっと富士だもんね、地元日本に愛されてるからなゲラゲラ」
「く、キリマンジャロさんもなんか言ってあげてください」
「あ、おいら周辺部族に愛されてキリマンジャロと呼ばれてきたけど、夏場の冠雪はちょっちビミョー」
「そんな細かい事はいいんですよ! 大きいからいいんです!」
「えと、ちょっといいですか」
「はい何ですか、南極のエレバスさん」
「オ、オラは3794mしかなくてフジさんよりちょっと高いだけだし、1800年代まで誰も知らなかったし、あんまり愛されてる感もないからなんかちょっと……、こんなとこに居ていいのかどうか」
「いいんです! あなたは委員長の私が認める筋金入りの雪山です!」
「どうでもいいけどよ、エレバスって何語なの」
「え……英語です」
「ゲラゲラゲラゲラ、お前ら揃いも揃って英語カブレかよ」
「Shutup!Noisy!Do you speak English? A small mountain on a small island Oh, Han.」
「The intersection of Shibuya is over there.」(渋谷の交差点はあっちです)
「何言ってんのお前」
「外人には大体これで通じます」
「通じるかぁ!」