妹はオタフクソースのラベルに貼られているお多福顔に似ている。
 美人ではない。
 何方かと言えばブスの部類に入るのではないか。
 尤も平安時代であれば絶世の美女と言えなくもないが……。
 妹は中学の頃から男にモテるのである。
「アタシは男で不自由したことはない」
 と常々、私に自慢するのである。
 お多福顔には不釣り合いの背の高いジャニーズ顔の男を彼氏にする。
 不思議だ。
 彼氏になった男たちに聞くと、妹は甲斐甲斐しく尽くすのだそうだ。
 学校のお昼のお弁当、お菓子、実家で料理をするなど、マメに尽くす。
 お多福の顔の様に笑顔を絶やさない。
 外面だけはいい。
 しかし、一度己のモノにしてしまえば、一変し彼氏を束縛する。
 自分の彼氏に浮気は許さない癖に自分には甘い。
 本命の彼氏以外にも送り迎えのアッシー君、プレゼントを買わせる貢君までいたのだ!
 この構図はどこかで聞いた事がある!
 そう、私の父親だ!
 父の妹である叔母さんに話を聞いたところ、父は女を手籠めにするまで甲斐甲斐しく尽くすのだそうだ。
 得意の料理、プレゼント攻勢でターゲットである女の脳味噌を麻痺させる。
 そして、己のモノにしてしまえば、甲斐甲斐しく尽くさせるのだ。
 妹が三歳の時に離婚して以来、父とは暫く会っていなかったのだが、血は争えない。
 教えていないのに行動パターンは似てしまうのであろうか。