ダンまちの戦闘描写見習え
読みやすさも重要なんだぞ
クソみたいな比喩はいらん

「君がモンスターを統率していたテイマーか?」
「……お喋りとは余裕があるな」
「なに、君ほどじゃない」

普段温厚である少年の眼差しは戦士の顔に変わっていた。
鋭い眼差しで敵を見上げ、容赦なく死角から槍を突き出す。
その碧眼は彼我の間合いを随時見極め、時には距離を離し、時には大胆に懐に飛び込み、常に機先を制する格好で優位な位置に自身の体を運んでいく。
武器を失っている彼女は攻めあぐね、そしてそれ以上に、ファンの立ち回りが上手を行っている。
冒険者の首を容易く折ってのける怪力の徒手も、蹴りも全て空を切り、その小さな体には掠りもしない。
堪らず長槍を掴み取ろうとするが、先読みされていたように穂先が逃げ、そこから連動するように石突きが振り上げられる。
頬を削った一閃に、女の顔が苛立ちに歪んだ。

「調子に──乗るなッ!」
「っ⁉」

振り上げられた左足が地面に打ち込まれ、爆発する。
目を疑うような威力の踏鳴によって岩盤は割れ、発生した衝撃は綿毛を飛ばすように体を宙に浮かせた。
地面から足が離れ、行動の自由を奪われるフィン。
正面で浮遊している彼に向かって、赤髪の女は思い切り腰をひねり、裏拳のごとく薙ぎ払いを放った。

槍の柄を真っ二つに折った女は、左眼を、見開いた。
攻撃を回避したフィンご、天地逆転した体勢で眼前に浮いている。
咄嗟に槍を地面に突き立てる事で高度を稼ぎ、横一直線に走った腕の上すれすれのところを転がるようにして飛び越え、躱したのだ。
逆さまになった頭を地に向けるフィンは、瞳から光を消し、腰に備えた鞘からナイフを素早く抜刀する。
右手を振り抜いた体勢で固まる赤髪の女へ、そのまま一気に、白刃を振り上げた。

「ぐっっ──⁉」

血飛沫が舞う。
下方から伸びたナイフの斬り上げに胸を切られ、鮮血を飛ばす赤髪の女。
ぐらりと体が後ろへ傾く彼女に