>>97

30分程度の分量なんですが、倍の1時間かけても、ちょっと読み切れなかった。
バーからラビリンスに場面が変わるところで今日はギブです。残りは明日読もうと思います。

なんでそんなに読めないかと申しますと、まずカメラ視点が飛び回っててシーンがイメージできない(だからキャラの挙動も分からない)。
具体的に例を挙げます。

>  少年は(略)明るい色合いのハードレザーバッグを背中に背負っていた。

この一文、地の文の語り手はどこから見てますか? 前後からするとバー内からですよね。だけど背中が見えている。
コミックなら大丈夫です。背中から見たコマを入れればいいから。でもこれは文章作品ですよね。
おおむね、バーの女主人(マダム)の近くに地の文の語り手はいるようです。例えば、

>  女主人が慌てたような声を上げた。バックヤードへと引っ込み、タオルを持って少女の元へと走り出す。

という描写がそう。移動する女主人(マダム)に地の文の語り手は付いて行ってます。三人称一視点で視点キャラが女主人(マダム)になります。
だけど、上記のようにカメラ視点が女主人から離れたりする。だから地の文のが語る描写が見えなくなる。だから分かりにくいし、臨場感は下がります。

描写すべきもの、ことに注意が散漫でもあります。例えば、バーの女主人(マダム)。妖艶、くらいですよね。
例えば、見た目年齢とか描いてない。だから「乙女」のやり取りが有効に作用していません。
その一方、ティムは何のイベントも起こす前から、見た目だけでも異様なくらいあれこれ描写してあります。

全て、作者が想定したものから、自分が見たいものだけ喋り散らかすかのようです。簡潔に表現すれば感想です。
もう作者はティムやラセツが好きになってしまっている。好きな気持ちのまま、注意がいったものだけ書いている。
そんなもの読まされても困るのです。まず第一に状況もキャラも分からないから。第二に読者はまだどのキャラにも感情移入起こしてないから。

キャラを好きになれるかどうか以前に、とりあえずそのキャラの気持ちすら分からないわけです。キャラを理解するイベントがないから。
何らかのイベントでキャラが何を言い、何をしたかでキャラが分かるわけです。分かって来ればキャラがどうしたいかが感じられる。
だけど、延々と話をしているだけ。ときどきちょっと異変が起こるけど、それで何かが動くわけではない。設定を見せているだけ。

これでラセツがラビリンスに突入するという、ようやくツカミになりそうなイベントまで引っ張るには長すぎます。
ラビリンス突入までは思わせぶりなプロローグに過ぎません。何も起こらないプロローグはおおむね嫌われます。退屈ですから。
(続く)