>>11

未完では物語として面白いかどうかの評価は不能です。ただ、ブラバ率が高そうだなと思います。

1.日記、絵本風の文章で退屈

一つには、絵日記風なんです。あるいは絵本風。絵を見ながら説明している感じ。既に絵があることが前提。
しかし文章しかありません。肝心の絵がない。描写が絵を説明している風なのでシーンが見えづらい。

絵日記風と申し上げたのは、理由がありまして「顕子」の日常が延々と続いていることです。おおむね「11:Moonlight Syndrome」の途中まで。
確かに冒頭は自殺しかけて化け猫風の女に救われる、入社したデパートでは怪異に遭遇するといったイベントはあります。
でも、その後はデパート外商部員として、いかにもありがちな日常が延々と続いてますよね。
退屈ですし、特にキャラ特徴表現とか感情移入の効果がない。

2.キャラの感情変化が平坦

さらに、三人称一視点視点主の「顕子」に大きな変化、特にピンチと対処は起こらないですよね。
「9:In the darkness」で「顕子」は異変に見舞われますが、あくまでも受動的だし、即座に助けも入る。
ハラハラしようもないわけです。読者としては、どうなるのか単に見守るだけ。そもそもどのキャラも慌てもしない。
(これが絵日記、絵本だと絵でキャラが感情表現するので、本文は淡々としていても大丈夫なんですが。)

キャラの雰囲気からすると、なぜか先行きを知りつつ演技している感じがあります。つまり作者の知識を借りてしまっている。
この先どうなるか知っているキャラなら慌てませんよね。キャラが慌てないから読者も慌てない。作品として非常に損をしています。

3.視点切り替えの問題

視点の切り替えとブレも問題でしょう。視点切り替えは禁則事項ではありません。が、御作では混乱しました。
まずどこから見ているかがブレる。そのため特に描写が分かりにくくなる。でも、もう1つの問題に比べると些細かもしれません。
「11:Moonlight Syndrome」で徐々に視点移動が起こっています。そこまでの視点主「顕子」の状態変化のせいではある。
新たな視点主は「枸橘」ですが、読者は延々と「顕子」に沿って、「顕子」を理解しようと読んできたわけです。

そうしておいて、状況的には「顕子」が示された範囲では最大のピンチに陥るシーンで、作者により視点を「顕子」から外されてしまう。
読んでいて「これはないわー」と思ってしまいました。いきなり「枸橘」に感情移入できませんよ。
だけど、シーンから察せられる「ここは山場(の1つ)」からすると、きちんと「枸橘」を追わないといけない。
正直、簡潔に申し上げます。無理です。作者には可能でも、読者には不可能です。

4.蘊蓄語りが過多

無駄な説明、語りも過多なように感じます。宇宙、量子、生命等々、小出しのうんちく語りがありますが、不要では?
いいこと言ってる感がありますが、読者的にはウザい。これは御作に限りません。説教は説教であるだけで嫌われるという一般則です。
どうしても出すなら、語らずに行動で示すべきですし、逆に醜い、無様、カッコ悪い等々で逆説的に示すべきです。
(文章量オーバーにつき続く)