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全体を通して感じられる最大の問題点は、テーマが感じられない以前に、「どこで、誰が、何の話をするのか」が曖昧なことでしょうか。
そのため、読むモチベが湧きません。楽しみのために読んだら読めないとお伝えするために最後まで読みはしましたが。

・キャラは立っているか? 魅力的か? 不快ではないか?
立ってない。魅力的でも不快でもない。なぜなら、覚えられないというのが一因です(細かいことのようで、結構でかい)。
まず名前表記。一人称主人公がなぜか上の名前で他のキャラを呼んでますね(本人の好みで)。
主人公以外(妹の夕凪等)は下の名前で呼んだりする。読者としちゃ、これで混乱します。

どれが誰なんだと。上の名前で呼ぶのはリアルではあります。特に親しくもないのに下の名前で言うのは変ではある。
ですが、読者に対してはそうしたほうがいいのです。上の名前で統一してもいいけど、下の名前にはメリットがある。

まず性別。多くの下の名前は男女が分かるものが多いですよね。これだけでも、読む(覚えて見分ける)のがずいぶん楽。
逆に上の名前と下の名前が混在して記述されたら最悪です。キャラの名前見るたびに「これ、誰だっけ?」と感じたら感情移入以前です。

キャラの特徴が肩書だけのものが多い。例えば主人公は高校生で貧乏とするために、ややこしい境遇を与えてある。
だけど、それがドラマに絡んで来るわけではない。主人公の境遇に同情すれば感情移入されるという狙いでしょうか。
もしそうなら、効果を上げていません。その境遇から出てくるキャラの動き、ドラマがないと実感がないわけです。

主人公の境遇は、リアルにしようとして嘘くさくもなっています。普通、中学生が保護者失ったら、行政が放置しません。
学校だって気づくはずだし、近隣住民も怪しむ。通報されると考えるべきですし、通報されたらほぼ強制的に保護されます。
中高生の意思で保護者抜きで働きながら暮らすというのは、非現実感を招きます。リアリティのバランスが悪いようです。

ヒロインにしても、ハーフ(ダブル)、モデル、フィギュア趣味と雑多に肩書だけがあります。
フィギュア趣味は突端のイベント用に出てくるのみで、ドラマを駆動する要素になってない。容姿も同様。
サブヒロインらも同様です。ストーリー上の役割はあるようですが、ドラマに対する立ち位置等が雑然としてます。

全キャラがおしなべて、操り人形に感じます。キャラの意思が感じられず、作者の言う通りに動かされている。
動かすために作為的なハプニングが挿入されてもいる。これでは例えばキャラの衝突も起こらず、ドラマも生じません。
だから、例えばキャラが激情を発しても、なんでそんなに激しているのか、首をかしげたくなります。

現実の人間(高校生)ならこうする、だけどそれでは何も起きない、じゃあハプニング起こして、みたいな流れになってしまっている。
名前のことといい、どうもリアルにしようとし過ぎているんじゃないかと思います。
フィクションなのにリアルを求めたら、リアリティ(迫真)がなくなります。嘘が真に迫るからフィクションは楽しめるのに。
(実際の事件を小説化する実録ものなんかでは別ですが。その場合は、報道の表現手法等で迫真性を出したりする。)
(続く)