>>673
お題:『用水路』『エクセル』『脳内』『同人誌』『シスター』

【妹様の優雅な趣味】
 妹がPCの前でウンウンと唸っている。
 妹は所謂オタ系女子で、休日には同好の士と共に同人誌なんかを買いあさっていた訳だが、そんなマイシスターが、今はゲームに嵌っている。
 それも、作る方にだ。

 そもそもゲームに嵌ったきっかけは、乙女ゲームに推しメンが出来たかららしいのだが、それがどうしてゲームを作る方になるのか?
 マイシスターの脳内は、複雑怪奇だ。

「……C言語とかじゃないのか」
「お兄ちゃん、今はゲーム作れる環境って結構あるんだよ」

 自分の呟きに、エクセルを弄っているらしい妹様が律義に答えてくれる。
 自分の拙い想像力では、表計算ソフトで何故ゲームが作れるのか分からないのだが、マイシスターの異次元の脳力をもってすればそれも可能らしい。

 区切りがついたのか伸びをしてスマホツイッターを確認する。
 どうやら、友達と分担して作業をしている様だ。

 これが、テレワークと言う奴か。未来に生きてるなマイシスターよ。
 ふと、作業を眺めている自分を振り返り、妹様が言う。

「完成したら、デバックお願いね? お兄ちゃん」

 その言葉に、自分は苦笑しながら「分かった」と言った。

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 蛇足。

 完成したゲームをやらせてもらった訳だが。
 用水路にひたすら相手突き落とすゲームの何が面白いのか、お兄ちゃん分からなかったよ。