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お題:『絹のドレス』『白いスーツ』+『厳選』

【週末の黄昏】


 家に帰ると、即座にPCを立ち上げる。
 起動している間に冷蔵庫から落花生を取り出し、バターと塩で軽く炒めた。
 サイドボードからはウィスキーのシングルモルトを引っ張り足すと、PCのフォルダから『厳選』とタイトルされたソレを選択する。
 グラスにウィスキーを注ぐ。
 常温で良い。常温が良い。

 ピートのフレーバーを嗅ぎながら、ソルトピーナッツを一摘まみ口に放り込む。

 画面では白いスーツのロックスターが情感たっぷりに、名曲『絹のドレス』を歌い上げていた。

 ストレートをノーチェイサーで飲み干す。
 少しはかりの酒気の混じった息で、フラりと立ち上がると、本格的に腹を膨らまそうと、キッチンに立った。

 パスタを茹でながら鼻唄を歌う。当然曲名は『絹のドレス』だ。

 高潔な女と口ずさみながらホールトマトを潰し、使い古されたフライパンで混ぜながら炒める。

 PCフォルダの『厳選』を選択し、白いスーツのロックスターを再生する。

「我が青春に」

 そう言いながら、パスタを肴にウィスキーを呷った。