供養枠ですorz

お題:『コレクション』『打ち切り』『宿題』『シャイン』『魚釣り』

【最弱講師の実戦魔術】(1/3)


 聖アルマウス魔法学園は、国家魔術師への登竜門として有名な学園だった。ここには貴族、平民を問わず、様々な学生が在籍していた。

「……『シャイン』と言う魔法がある。これは、物体に光魔法を付与し、光らせると言う……」
「先生!!」
「……何だい? メルシア・フォン・グライクン」
「何故、今更、そんな基本的な魔法を学ばなければならないんですの!?」

 講師であるアイザックの言葉を遮ったのは公爵家令嬢であるメルシアだった。彼女は父親で、王室筆頭魔術師でもあるグライクン公爵の背を追い、この聖アルマウスに入学して来た。
 だが、彼女の父親であるグライクンが「彼の授業は受けておいた方が良い」と言う言葉通りに受講したアイザックの授業は、彼女を落胆させるに足る講義内容だった。

「……この講義は、より深く魔術に対する認識を深める為の物だからだ」
「知っています!! ですが、そんな初歩中の初歩など、このクラスに居る者であれば、誰だって分かって居る事です!! 私だって中級魔術の『ファイアランス』程度なら使えます。いまさら、そんな下級魔術など、学ぶ必要など無いでしょう?」

 そんなメルシアの言葉に受講している何人かも頷いている。

「……『下級魔術』ね、では、こんな下級魔術の具体的な使用方法は?」
「? 使用方法も何も、明かりが欲しいのであれば『ライト』の方が便利ですし、戦闘に役に立つのは『フラッシュ』ですわ。ほんのりと対象を光らせるだけの『シャイン』は攻撃にも使えない、言わばハズレ魔術です」
「……本気で言ってる?」
「そうですわ!」

 アイザックは大きく溜息を吐く。

「……あのな、本当にそう考えてるってんのなら、そんな考え、捨てっちまえ」
「は?」

 アイザックの言葉に、メルシアが目を剥いたその瞬間。

 キーンコーンカーンコーン……

「……今日の講義はこれで打ち切りだ。ああ、そうだ、『シャイン』で何ができるのかは、宿題にしておく、各自次の講義までに考えて置け」
「ちょ、お待ちなさい!!」

 そう言ってアイザックはメルシアの言葉をサラッと無視して、教室を出て行ってしまった。