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ワイが文章をちょっと詳しく評価する!【201】
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0001この名無しがすごい!
垢版 |
2020/10/11(日) 21:17:03.63ID:+2nqYCmF
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点数の意味
10点〜39点 日本語に難がある!
40点〜59点 物語性のある読み物!
60点〜69点 書き慣れた頃に当たる壁!
70点〜79点 小説として読める!
80点〜89点 高い完成度を誇る!
90点〜99点 未知の領域!
満点は創作者が思い描く美しい夢!

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前スレ
ワイが文章をちょっと詳しく評価する!【200】
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0593美世だが
垢版 |
2020/10/24(土) 13:20:04.48ID:oYiurErw
 東京で出会ったみのりは地方の農家の家に生まれた。男児に恵まれず一人娘だったみのりは、跡継ぎになる責を負っていて、それは決して譲れないと言うことだった。俺が脱サラして婿になった理由だ。
 農家とは言うが義理の両親は農作業はしない。70町ほどもある農地は小作人が耕しており、毎年年貢が納められる。
 その他にも広大な山林を所有しており、保安林や国定公園に指定されている事から何らかの補助金が支給されており、何がどうなっているのかは知らないが、働かずとも極端な贅沢をしなければ普通に暮らしていけるようだった。
 ゆえにみのりの家族は少し浮世離れした雰囲気があった。同じく入り婿である義父は小柄で白髪頭を綺麗に流し、スラックスにポロシャツ姿でひがな本を読んでいた。少し冷たい印象の義母は綺麗な人だった。みのりと顔立ちは似ているものの、何か得体の知れない品格があり、和服の似合う、およそ農家の嫁とは程遠い雰囲気があった。
 そんな家族の中で、盆正月の他になにかと忙しい田舎の行事に急き立てられるように、みのりは忙しくしていたが、俺はそんな事は大して意識せずに、農協での事務や軽作業を日々こなして過ごしていた。努力しなかったわけではないが、子供は出来ず
そうして1年が過ぎようとしたある日、みのりが暗鬱な表情で言った。
「今日、ノギの参りの日なんですが」「ん? なんだ」
「あなたがこの家の当主だって事わかってらっしゃいますか」
 そういえば義父は俺達の結婚当初
「私はもう引退だな、だから君がこの家を背負って立つんだよ」
 などと言っていた。いまいちピンと来ない発言に、舅との軋轢を避けたい俺は笑って流していた。みのりが敬語で俺に接するようになったのも結婚してからだ。
 ノギの参りとはなんだとの質問にみのりは、稲が芽吹いたお礼参りだと言う。わけのわからぬまま俺はみのりに連れられて、日の暮れた農道を歩いた。さして役割があるとも思えない街灯が頼りなく水田を照らしている。
 田植えは終わり、種籾から育ったであろう苗は植わっている。田に水が引かれた頃からカエルが鳴き始め、今に至っては大合唱となっている。田舎は静かだと思っていたが、この時期だけは別のようだ。
「なあ、どこで何をするんだ?」
 カエルの声にかき消されたのか、先導するみのりは何も答えない。梅雨の空気に汗が滲む額を腕で拭いながら夜空を見上げた。
 美しい星空に感動したのはもう去年の事だ。
 ふいにみのりが小道に入った。正月にはみのりの家だけが代々参る祠に続く道だ。しかし祠に辿りつくと、みのりはその裏手に回った。
 不思議に思いながらついていくとそこには細い沢があり、小さな土橋が掛かっている。周りには無数の蛍が乱舞していた。みのりは立ち止まって横に控え、うやうやしく頭を下げた。
「行ってらっしゃいませ旦那様」
 かえるの声が聞こえない。俺はこの時既に何かに魅入られていたのかもしれない。特に質問する事もなく、光が乱舞する橋をふらふらと渡った。
0594美世だが
垢版 |
2020/10/24(土) 13:20:14.76ID:oYiurErw
 俺は板の間にいた。襖が目の前にある。襖を開くと、布団が敷いてあり、その奥で白衣の女性が三つ指をついて頭を下げている。顔を上げた女性が言った。
「よろしくお願いします」
「お、おか」
 それは紛れもなく義母さんだったがそう呼ぶのはいけない気がして口を塞いだ。何かが違う。弾けるような肌の艶と、普段纏めている髪を下ろしてもそうはならないだろうというほど畳の上に垂れた髪の毛。
 正常な状態ではなかったように思う。俺はゆっくり近づき、身を屈めて頬に触れると、膝をついて口着けた。その後は断片的にしか思い出せない。
「次はホツミの儀でお会い致ししましょう」という言葉だけが頭に響いていた。

 気がつくと俺は寝室で寝ていた。やおら起き出して行くと、台所のテーブルにみのりが突っ伏している。
「おはよう」
 そう声をかけるとビクっと起き上がって向こうを向きながら顔をまさぐっている。「おはようございます」
 とそっぽを向いたまま
返す声が少し震えている。何か異様な体験をしすぎて頭が回転しなかった。そんな所へ義母が入ってきて俺はドキリとした。義母はたじろぐ俺の顔をじっと見ると微笑を浮かべて頭を下げた。
「お勤めご苦労様でございます」
 俺以外の皆が何かを知っているようだった。

 それからしばらくして、みのりが妊娠した事を告白した。小躍りして「どっちだろう」と言う俺にみのりは言った。
「女の子よ」
 4週目でそんな事がわかるのかと不思議に思ったがそんな事はどうでもよかった。
 秋。日々大きくなるみのりのお腹に期待しながら仕事をしていると、今年はここ数年来の豊作だと農協に知らせが届いた。その日だった。またみのりが言いにくそうに言った。
「今日はホツミ参りの日です」
 俺はその言葉に数ヶ月前の事を思い出して胸が騒いだ。みのりが俺の顔をじっと見ていた。
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